日本はスウェーデンより消費税多い国?高い割合をグラフで簡単解説|消費者 経済 総研|2022/7/1
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 リモートでの出演・取材にも、対応しています 消費者 経済 総研 チーフ・コンサルタント 松田優幸 ■初稿:2019年6月13日、最新稿:2022年7月1日 ※初稿時点で入手・集計したデータはそのままで 最新項では、見やすさ・読みやすさを中心に再構成です。 本ページは、修正・加筆等で、 上書き更新されていく場合があります。 ■ご注意 「○○の可能性が考えられる。」というフレーズが続くと、 読みづらくなるので「○○になる。」と簡略化もしています。 断定ではなく可能性の示唆であることを念頭に置いて下さい。 本ページ内容に関しては、自らの責任において対応して下さい。 また「免責事項」をお読みください ■引用 皆さまに、本ページの引用や、 リンク設定などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。 引用・転載の注意・条件 をご覧下さい。 |
- ■実は、日本の消費税は多い?
- ~3分でわかる消費税の実態~
消費と経済を科学する「消費者経済総研」は、
消費税の海外比較を分析し、その内容を発表した。
消費税の税率は、
日本は10%と低く、北欧3国は25%と高い。
しかし中身をよく見ると、どうか?
「税率」ではなく、「構成比」※で見てみる。
※構成比=「消費税の税収」÷「全ての税収」
北欧3国より、日本の方が、消費税の構成比が高い。
その謎とは? について解説する。
消費者経済総研は、松田優幸を筆頭に、
消費と経済の評論家・専門家として
わかりやすい解説を、お届けしている。
※本稿は初稿時点で入手・集計したデータは
そのままで、最新項では、見やすさ・読みやすさ
を中心に、再校正・再構成をした。
- ■消費税の「税率」は、低い? 高い?
- ◆日本の消費税の税率は、低い?
日本の消費税率10%は、諸外国の中では低い方だ。
よって「さらに税率を、上げよう」との意見もある。
-- 消費者 経済 総研 --
◆北欧の 消費税の税率は、高い?
北欧諸国は、どのような特徴を、持つ国か?
「高負担・高福祉で、高い幸福度の国」と言われる。
スウェーデン、ノルウェー、デンマークの3カ国は、
消費税の税率は、25%と、高い消費税率だ。
- ■消費税のウエートとは?
- 前項は「税率」だが、続いて「構成比」に注目する。
「構成比」とは、「 消費税の税収 ÷ 全ての税収 」だ。
「構成比」では、日本の消費税は、北欧3国より多い。
日本には、様々な種類の税がある。
その中で、下記の3つが、主な税として注目される。
「法人税」「所得税」「消費税」
「全ての税収」とは、次の税収の合計だ。
「法人税 + 所得税 + 消費税 + その他の税 」
構成比の比較が、下のグラフである。
※上図2つの棒グラフは2016年ベースで、2つ目のグラフは日本は10%での試算
北欧3国の構成比を比較すると、
スウェーデン24%、ノルウェー22%、デンマーク21%
3国で、構成比が一番高いのは、スウェーデンだ。
スウェーデンの消費税収は、全税収の24%だ。
しかし日本は、それより高い26%に、なっている。
税率25%の北欧3国より、税率10%の日本の方が、
消費税の構成比は、大きくなる。
※各所における計算根拠やデータ出典は、後述
- ■ スウェーデンの構成比の謎は?
- 税率は、スウェーデン(25%)が、日本(10%)より高い。
一方で、構成比は、スウェーデンは、日本より低い。
この謎の理由を、見ていく。
-- 消費者 経済 総研 --
◆スウェーデンは、様々な 軽減税率が ある?
スウェーデンの消費税率は、25%だ。
しかしスウェーデンには、様々な軽減税率がある。
医薬品は、ゼロ税率だ。
食料品、ホテル、外食等は、12%の軽減税率だ。
新聞、雑誌、書籍、スポーツ観戦、映画、輸送等は、
6%の軽減税率となっている。
よって、平均税率(実効税率・負担率)は、
25%を、大きく下回ると、考えられる。
(14~18%程度に、なるとの試算もある。)
-- 消費者 経済 総研 --
◆スウェーデンは、その他の税金が 高い?
▼スウェーデンの「所得税」は、高い?
「消費税」以外の税で「所得税」に、注目してみる。
「所得税」は、国際比較のために、
ここから、「個人所得課税」※1 のワードにする。
そして個人所得課税の「実効税率」※2で見てみる。
※1Taxes on income,profits and capitalgains of individuals
※2 「実効税率」とは?
所得税の計算は、複雑である。
日本の所得税は「最終的な所得税額」に、
至るまで、様々な計算過程がある。
よって単に「所得税率」で、
日本とスウェーデンを、比較してはNGだ。
「最終的な所得税額」÷「年収」を「実効税率」とする。
この実効税率なら、国際比較ができる。
▼共働き家庭 での例(世帯収入が 500万円)
世帯収入が500万円の共働き家庭の例で見ていく。
実効税率は、
スウェーデンは約17%で、日本は約4%だ※3
この例では、スウェーデンでは、
日本の約4倍も、高い個人所得課税を、負担する。
※3この例での実効税率は、
内閣府の資料を参照している(詳細は下段記載)
▼個人所得課税のウエートは?
ウエート、つまり「構成比」は、
「個人所得課税の税収」÷「総税収」だ。
スウェーデンの個人所得課税の構成比は34%だ。
よって、スウェーデンの税収の構成比では、
個人所得課税が、34%で、消費税が、24%だ。
スウェーデンは「消費税が高い国」と言われる。
だが、消費税より「個人所得課税が多い国」なのだ。
下記円グラフの 個人所得課税 ・ 消費税を参照
-- 消費者 経済 総研 --
◆スウェーデンの 謎の まとめ
消費税税率 :スウェーデン25%>日本10%
消費税構成比:スウェーデン24%<日本26%
スウェーデンは消費税率は高いが、構成比が低い。
その理由は、下記2点である。
・消費税には、様々な軽減税率が、ある
・消費税以外の 個人所得課税が、高い
逆に言うと、北欧3国と比較して、
日本は、消費税の 「税率は低いが、構成比は高い」
- ■税金の負担レベルは、高い?低い?
- 日本は、税負担が高い国 なのか?
スウェーデンは、税負担が高い国 なのか?
どちらが、税負担が高い国 か?
-- 消費者 経済 総研 --
◆スウェーデンは 高い税金で、高福祉・高負担?
「総税収」は、下記の税の合計だ。
消費税+所得税+法人税+その他の各種の税
-- 消費者 経済 総研 --
◆税金規模 と 経済規模 での比較は?
「経済規模」は、「GDP」の値を採用する。
そして「総税収」と「GDP」の割合※で見てみる。
(※つまり、総税収の対GDP比)
すると「 総税収 ÷ GDP 」では、
スウェーデンは39%で、日本は18%だ。
税金の全体を、見ると、
日本は高負担ではなく、スウェーデンは高負担だ。
「総税収÷GDP」 の値を、両国で比較すると、
スウェーデン39% ÷ 日本18% = 約2.2倍だ。
スウェーデンは、日本の2.2倍も高い税金の国だ
- ■ 結論
- スウェーデンは、高い消費税率(25%)であった。
しかし消費税の構成比は、低かった。
「軽減税率」 と 「他の税金が高率」 が、理由だ。
また、スウェーデンは、高い税負担の国だ。
日本のような低負担が、いいのか?
スウェーデンのような高負担が、いいのか?
この点は、日本国内では、議論が少ない。
スウェーデンでは、高負担だが、
国民の声は、不満どころか、満足の声をよく聞く。
スウェーデンは、
「高い 負担 → 高い 福祉 → 高い 満足」だ。
一方、日本は、どうか?
「ワイズ・スペンディングで、運営する」
とは言われるが、はたして、どうだろうか?
このあたりは、また後日掲載としてみたい。
■出典 及び 計算根拠 ※初稿時点で入手・集計したデータはそのままで 最新項では、見やすさや読みやすさを中心に 再構成をした。 ◆世界各国の消費税率: 日本の消費税率10%は、諸外国の中では低い方 国税庁「消費税(付加価値税)の標準税率」 ◆参考:日本の国・地方の税収構成比 別の年度だが、総務省の資料は、全体像が見やすく、 わかりやすいので掲載する 総務省「国税・地方税の税収内訳(2017年平成29年度決算額) ◆日本の消費税の構成比 ※以降は、特記無い限り2016年 (H28) *日本の税収額 (国税消費税、地方消費税、国税総額、地方税総額) ・消費税収( 国 ):172,281億円 会計検査院「平成28年度 決算の概要」(396ページ) ・消費税収(地方):47,028億円 総務省「第14表 住民税、事業税及び地方消費税の収入状況」 ・総税収 国:589,563億円、地方:393,924億円 総務省「第25図 国税と地方税の状況」 ◆各国比較 OECDデータ 「Tax revenues by subsectors of general government」 消費税:Taxes on goods and services (General taxes) → 略称:General taxes *日本の税収額(34ペ―ジ)「Japan, Tax revenues」 単位:billion JPY ・General Taxes(消費税収) 21,931 =17,228(Central government) + 4,703(Local government) ・Total tax revenue(総税収) 98,348 =58,956(Central government) +39,392(Local government) ・「10%へ増税前」消費税 税収 構成比率 21,931 ÷ 98,348 = 22% ・「増税後」消費税税収 構成比 (8→10%へ増税後の試算) 「26,531(21,931+4,600※)」 ÷「102,948(98,348+4,600※)」 =26% ※4,600:日銀「展望レポート(2018年4月) 図表B1-3:家計負担額(2019年度増税時) 4.6兆円 =5.6兆円(消費税8→10%での増税額) -1.0兆円(軽減税率分) ◆北欧3国の消費税の構成比 *スウェーデン(48p) 単位:Million SEK ・General Taxes(消費税収)409,367 =(Central government)409,367 +(Local government) 0 ・Total tax revenue(総税収)1,700,053 =(Central government) 1,014,138 +(Local government) 685,915 ・消費税 税収 構成比 = 409,367 ÷ 1,700,053 = 24% *ノルウェー (42P) 単位:Million NOK ・General Taxes(消費税収)270,085 =(Central government)270,085 +(Local government) 0 ・Total tax revenue(総税収)1,207,126 =(Central government) 1,011,706 +(Local government) 195,420 ・消費税税収 構成比 = 270,085 ÷ 1,207,126 = 22% *デンマーク (23P) 単位:Million DKK ・General Taxes(消費税収)197,437 =(Central government)197,437 +(Local government) 0 ・Total tax revenue(総税収)958,867 =(Central government) 701,250 +(Local government) 257,617 ・消費税 税収 構成比 = 197,437 ÷ 958,867 = 21% ◆総税収÷GDP GDPデータ:OECD 「national accounts Gross Domestic Product」 *日本 (112p): 総税収 98,348 ÷ GDP 535,986 = 18% *スウェーデン (168p): 総税収1,700,053 ÷ GDP 4,385,497 = 39% ◆個人所得課税 実効税率 日本・スウェーデン比較 内閣府 「第23回税制調査会」(2018年11月28日) 「夫婦共働き(給与所得者)世帯)(収入比3:1)」 (1ページ目左側グラフから、世帯収入500万円ラインで目視測定) ◆日本 税収 構成比 (2016年を基礎に、10%へ消費増税後の試算値) 「Tax revenues by subsectors of general government」 *税収計 102,948(10%へ消費増税後の試算値) *個人所得課税 30%(30,669÷102,948) Taxes on income, profits and capital gains of individuals *消費税 26%=(26,531※÷102,948) (※10%へ消費増税後の試算値) General taxes *法人課税 19%=(19,778÷102,948) Corporate taxes on income, profits and capital gains *資産税 13%=(13,773÷102,948) Taxes on property *物品税 11%=(11,780÷102,948) Taxes on specific goods and services & use of goods and perform activities *他 0.4%=(418÷102,948) Other taxes ◆ウェーデン 税収 構成比 「Tax revenues by subsectors of general government」 *税収計 1,700,053 *個人所得課税 34%=(578,403÷1,700,053) Taxes on income, profits and capital gainsof individuals *消費税 24%=(409,367÷1,700,053) General taxes *社会保障拠出金税 12%=(204,966÷1,700,053) Social security contributions *賃金・労働力税 12%=(203,432÷1,700,053) Taxes on payroll and workforce *物品税 8%=(134,966÷1,700,053) Taxes on specific goods and services & use of goods and perform activities *法人課税 7%=(120,505÷1,700,053) Corporate taxes on income, profits and capital gains *資産税 3%=(46,254÷1,700,053) Taxes on property *他 0.1%=(2,159÷1,700,053) Other taxes |
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 ■ご注意 「○○の可能性が考えられる。」というフレーズが続くと、 読みづらくなるので、 「○○になる。」と簡略化もしています。 断定ではなく可能性の示唆である事を念頭に置いて下さい。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、 自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、 対応して下さい。また「免責事項 」をお読みください。 ■引用 真っ暗なトンネルの中から出ようとするとき、 出口が見えないと大変不安です。 しかし「出口は1km先」などの情報があれば、 真っ暗なトンネルの中でも、希望の気持ちを持てます。 また、コロナ禍では、マイナスの情報が飛び交い、 過度に悲観してしまう人もいます。 不安で苦しんでいる人に、出口(アフターコロナ)という プラス情報も発信することで、 人々の笑顔に貢献したく思います。 つきましては、皆さまに、本ページの引用や、 URLの紹介などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。 引用・転載の注意・条件をご覧下さい。 |
- 【著作者 プロフィール】
- ■松田 優幸 経歴
(消費者経済|チーフ・コンサルタント)
◆1986年 私立 武蔵高校 卒業
◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業
*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究
◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
東急(株)、(株)リテール エステートで勤務
*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※
※親会社とは、広義・慣用句での親会社
*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
会社のリテールエステートに移籍
*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。
各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ
*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。
商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築
◆25年間の間「個人投資家」としても、活動中
株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。
◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動
◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長
◆資格は、
ファイナンシャル・プランナーほか
■当総研について
◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
調査・分析・予測のシンクタンク
◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。
従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立
*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング
■松田優幸が登壇のセミナーの様子
- ご案内・ご注意事項
- *消費者経済総研のサイト内の
情報の無断転載は禁止です。
*NET上へ「引用掲載」する場合は、
①出典明記
②当総研サイトの「該当ページに、リンク」を貼る。
上記の①②の2つを同時に満たす場合は、
事前許可も事後連絡も不要で、引用できます。
①②を同時に満たせば、引用する
文字数・情報量の制限は、特にありません。
(もっと言いますと、
①②を同時に満したうえで、拡散は歓迎です)
*テレビ局等のメディアの方は、
取材対応での情報提供となりますので、
ご連絡下さい。
*本サイト内の情報は、正確性、完全性、有効性等は、保証されません。本サイトの情報に基づき損害が生じても、当方は一切の責任を負いませんので、あらかじめご承知おきください。
- 取材等のご依頼 ご連絡お待ちしています
- メール: toiawase★s-souken.jp
(★をアットマークに変えて下さい)
電 話: 03-3462-7997
(離席中が続く場合は、メール活用願います)
- チーフ・コンサルタント 松田優幸
- 松田優幸の経歴のページは「概要・経歴」をご覧下さい。