【岸田総裁 経済政策 解説】公約・経済対策はどうなる?|消費者経済総研|2021年10月6日

岸田総裁の経済政策を採点・解説

経済対策・公約は?日本はどうなる?
アベノミクスは継承?分配・成長どちら?

金融政策・財政政策・成長戦略を、
中間層・中小企業・税金・株価など
様々な切り口でわかりやすく採点・解説

-消費と経済をわかりやすく解説する-
  -「消費者 経済 総研」-


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最新稿:2021年10月6日
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新総裁 岸田氏の 経済政策は?
新総裁 岸田文雄氏の経済政策を、徹底解説する。

岸田総裁の経済政策は、景気(GDP)を伸ばすのか?
「私たちの年収・暮らし」を、良くするのか?

本稿では、政策の中で「経済政策」を検証していく。
新総裁の経済政策を、僭越ながら評価・採点する。

筆者(松田)は、34年以上前に、慶応大学 経済学部
に入学以来、経済を研究している。

しかし本稿は、経済学の知識なしでも
わかるような簡単解説としている。

岸田氏の経済政策の解説では、筆者の解説が、
「日本で2番目にわかりやすい」と思っている。


なお、消費者経済総研は、特定の政党や人物に、
肯定・否定の姿勢を、とっていない。

政党や人物ではなく、
あくまで「経済政策」にフォーカスしている。


さて、岸田氏の政策で、日本は、どうなるか?

私たちの年収は、増えるのか?
景気(GDP)は、伸びるか?

結論を先に言うと「改善してほしい点あり」だ。

 「ピザを、分ける前に、ピザを大きくする」
 「ピザが、大きくなってから、分ける」

消費者経済総研は、分配の順番に、提言したい。

「他人の意見を、よく聞くのが得意」
と、岸田氏は、おっしゃっている。

本稿は、批判することは、目的としてはいない。
「評価・肯定する政策項目」も、もちろんある。

減点になった項目には、提言をしている。
僭越ながらの提言だが、ぜひ聞いて頂きたい。


※わかりやすい「ピザを分ける」話は、下段に後述




「大方針」 岸田氏の経済政策とは?
大方針は、

脱 「 新自由主義 」 → 「 分配と成長 」 へ


◆「新自由主義」を脱する とは?

小泉政権は、規制緩和・改革を、推進した。
それは 「 新自由主義 」 である。

小泉氏の後の政権でも、基本的には継承された。
それで経済は、体質強化され、成長をもたらした。

一方で 「格差や分断」 も生んだと言う人もいる。
(実はデータにより、格差は、縮小・拡大の両方ある)

「 成長・規制緩和・構造改革 」だけでは
幸せには繋がらないと、岸田氏は考えている。

そこで岸田氏は「新自由主義を脱する」考えだ。


-- 消費者 経済 総研 --

◆「新しい日本型の資本主義」へ

岸田氏は「成長」と「分配」の両面を、重視する。

「成長なくして 分配なし」
  同時に
「分配なくして 成長なし」

成長と分配の好循環を作る。
これを「新たな 日本型 資本主義」としている。


-- 消費者 経済 総研 --

◆中方針は?

上記「大方針」に対し、下記2つの「中方針」がある。

・令和版 所得倍増 のための 【分配施策】

・国民を幸福にする 【成長戦略】




「分配施策」の中身 とは?
岸田氏は「分配施策 岸田4本柱」 と名付けた。
下記[1][2][3][4]が、岸田氏の方針である。


-- 消費者 経済 総研 --

[1]中間層や、子育て世帯 を支援する

中間層を拡大し、中間層の所得を増やす

分配強化で、中間層を拡大する。
また、中間層の所得UPを、目指す。

それを 「令和版 所得倍増」策 と名付けた。


子育て世帯を支援する

子育て世帯の、住居費・教育費の支援を強化する。


-- 消費者 経済 総研 --

[2]三方良しの経済 にする

~株主・労働者・中小企業が、三方良しへ~

▼大企業に、従業員・取引先を、大切にさせる

株主以外に、従業員・取引先にも恩恵の
3方良しの経営を、大企業に対し強く要請する。


▼下請取引の監督を強化する

「下請けいじめゼロ」のスローガンを述べている。

大企業の利益と、中小企業の利益の配分変更へ。
中小企業の取り分のアツプを目指す。


▼大企業に 「長期視点を、持つように」 変える

四半期開示の見直しをする。
非財務情報の開示の充実をする。


▼税制改正で、分配も強化する

富裕層への課税を強化し、庶民へお金を回す。


-- 消費者 経済 総研 --

◆ [3]公的労働者の 所得UPへ

▼看護介護、幼保等の公的労働者の賃金をUPする。

「公的価格 評価検討 委員会」 の設置も実施する。

 ※「公的労働者」とは、
  いわゆるエッセンシャルワーカーのこと


-- 消費者 経済 総研 --

◆ [4]財政の 単年度主義の 弊害を是正する

科学技術や経済の安全保障は、国家課題とする。

国家課題には、長期的・計画的な視点で、取り組む。
よって国家課題の財政は、単年度予算を是正する。




「成長戦略」の中身とは?
岸田氏は、「成長戦略 岸田4本柱」 と名付けた。
下記[1][2][3][4]が、岸田氏の方針である。


◆ [1]科学技術に 強い日本 にする

▼大学ファンドを設立する

日本の科学技術を、伸ばす。
そのために、世界に負けない大学にする。

大学ファンド運用益を、大学の研究費等に充てる。
また地方大学による、地方活性化の基礎にもする。


▼未来への投資のための税制を作る

科学技術の研究開発と人材育成等を、応援する。
そのため「未来投資」を支援する税制を導入する。


-- 消費者 経済 総研 --

◆ [2]デジタル田園都市国家構想 とは?

東京一極集中を是正し、地方を復活させる。
そのために、地方のデジタル化を進める。

▼都心と故郷の 二地域生活 を進める

それをテレワークやデジタル化で実現する。


▼デジタル・インフラの地方整備をする

5G等の早期展開で、地方もデジタル社会へする。


▼デジタル落伍者を、出さない

全国に、デジタル推進委員を、展開する。
その委員が、高齢者もフォローする。


-- 消費者 経済 総研 --

◆ [3]経済の安全の保障を 強化する

▼「経済安全保障推進法」を策定する

経済の重要物資(半導体等)を、確保する。
日本の技術の流出の防止に努める。


▼DFFを推進する。

 ※DFFTとは、Data Free Flow with Trustの略
  自由で信頼あるデータの流通のこと。

ビッグデータには、価値がある。
これを独占させず、国境を越え自由に利活用する。

同時にプライバシー等も保護する。
こうして、信頼あるルールも、整備する。


▼専任大臣を設置する

経済安全保障・DFFTの専任大臣を設置する。


-- 消費者 経済 総研 --

◆ [4]人生100年時代 の不安を 解消する

~誰もが安心 社会保障の対象拡大へ~


▼「勤労者 皆社会保険」 を実現する

年金の対象者を、拡大する。
パート・バイトの厚生年金の適用範囲を拡大する。

最終的に「全ての働く人」を、厚生年金加入とする。
働き手は、誰もが充実の保障を受けるようにする。


※以上が、岸田氏の政策である。

※本ページで掲載の政策の発言・主張内容は、
簡略化した箇所がある。
また岸田氏の言葉・文そのままでは通じにくい部分
があったため、筆者が言葉を言い換えた箇所がある。




政策の評価は?|3分類で比較
①金融政策 ②財政政策 ③成長戦略
この3点に分類して、比較する。




① 金融政策は?
-- 消費者 経済 総研 --

◆岸田氏は、物価2%目標を、維持か?

大胆な金融政策機動的な財政政策成長戦略
この3本は堅持すると、岸田氏は述べている。

つまり 「アベノミクスの3本の矢の継承」 である。
第1の矢は、金融政策だ。

よって金融政策の物価2%目標は、継承であろう。
経済学的な評価としては、加点ポイントである。

しかし、金融政策に関しての
掘り下げた見解・主張は、見当たらない。

なお、総裁選4候補においては、
高市氏は、3本の矢の継承・発展を、強調していた。

岸田氏が詳細を語らない事は、若干の不安がある。


「アベノミクス3本の矢」 とは?

下記の わかりやすい解説を、ご覧頂きたい。

アベノミクス成果,評価とは?3本の矢の効果


-- 消費者 経済 総研 --

◆物価上昇が、必要な理由 とは?

ところで「物価の上昇」は、なぜ必要なのか?
物価下落だと、給料等の下落に、なりうるからだ。

この点は、下記の簡単解説を、ご覧頂きたい。
では、物価の上昇率は、どのくらいが、良いのか?
1%UPがいいのか? 2%UPがいいのか?


-- 消費者 経済 総研 --

◆物価目標が「2%」である理由 とは?

物価の上昇は、2%が良いのである。
物価上昇目標2%は、世界標準でもある。

この目標を降ろすと、
世界経済の中で、日本にはマイナスに働く。

なぜ、2%じゃないと、ダメなのか?
この点は下記の簡単解説を、ご覧頂きたい。
-- 消費者 経済 総研 --

◆物価を上げる方法 とは?

物価を、上げる方法は、いくつかある。
1つの方法は「お金の量を増やす」のだ。

つまり 「量的な金融緩和の政策」 である。

「お金の量が増加 → 物価上昇 」 のメカニズムは、
下記のわかりやすい解説を、ご覧頂きたい。
-- 消費者 経済 総研 --

◆金融政策は、「低金利」と「量的緩和」

*低金利 とは?

企業が、投資をする際の資金は、借金も活用する。

金利が低下すると、どうなるか?
企業の費用(支払利子)が減り、投資意欲がUPする。

現在の日本の政策金利の水準は、どうか?
短期はマイナス金利で、長期はゼロ金利だ。

金利の引き下げは、これ以上の深堀りは、難しい。
よってこれ以上、政策としてやる内容は無いのだ。


*量的な緩和 とは?

「量的な金融の緩和策」 の手法は、
「日銀が国債を、民間銀行等から買う」 等による。

国債の売買代金が、民間銀行等へ渡る。
こうして、お金の量が、民間(市中)に増える。

日銀は、国債どころか、「上場株式」まで買って、
その代金を、市中に供給してきた。

中央銀行の株式購入は、世界的にも異例だ。
「大胆な金融緩和」と言うが、まさに「大胆」だ。

株式等まで買うことを、「的な緩和策」と
日銀は、名付けている。


*これ以上の金融政策は、できるか?

金融政策は、大胆に実行してきた。
つまり、もうこれ以上、やることはないのだ。

しかし、2%の物価目標を、維持するのは必要だ。
「物価上昇率2%は、世界標準」であるからだ。

なぜ2%なのか? 至らない場合のリスクは、
下記の わかりやすい解説を、ご覧頂きたい。


岸田氏は、リベラル?
小泉政権、安倍政権、菅政権は、「保守」である。
一方、岸田氏は、「リベラル」寄り である。

岸田氏が所属する派閥の「宏池会」は、
伝統的にリベラル寄りである。

 ※「宏池会」の通称は、岸田派

保守・リベラルの特徴や、メリット・デメリットは?


-- 消費者 経済 総研 --

◆保守とリベラル とは?

民主党(リベラル) ⇔ 共和党(保守)

米国では、
民主党がやさしい党で、共和党ががたくましい党。



「リベラルは左派、保守は右派」との言い方もある。
なお左右の語源は、かつてのフランス議会からだ。

議長席から見て、

・「右側に 保守勢力」が陣取り、
・「左側に 革新勢力」が陣取っていた事が由来だ。

これが「右翼・左翼」の語源である。


▼分配と成長 では?

左派(リベラル)は、再分配・平等 を重視する。
右派( 保 守 ) は、競争・成長 を重視する。


▼政府の大きさは?

左派は、大きい政府だ。右派は、小さい政府だ。



▼保守とリベラル どっちが?

どちらが良いかは、価値観の問題でもある。

なお米国では、保守(共和党)とリベラル(民主党)の
バトンタッチが、繰り返されてきている。


-- 消費者 経済 総研 --

◆外交や軍事は?

本稿は、政策の評価は「経済」だけに特化している。
しかし、少しだけ「外交・軍事」にも言及しておく。

わかりやすい例は、米国のオバマ政権である。

民主党のオバマ政権は、リベラルであり、
外交・軍事面では、穏健派だった。

その前の共和党のブッシュ政権や
後の共和党トランプ政権と、比較すれば明確だ。

「やさしいリベラル・たくましい保守」 の特徴は、
経済面のみならず、外交・軍事でも現れる。

なお、右派をタカ派、左派をハト派
との言い方もある。


-- 消費者 経済 総研 --

◆大きい政府 と 小さい政府 とは?

左派は、大きな政府で、右派は、小さな政府だ。
大きい政府では、収入も支出も、両方大きくなる。

 ※なお政府収支は、収入を歳入、支出を歳出と言う。
  ここでは難解化回避で、平易な表現とした。

▼大きい政府は、支出が多い?

収入・支出のうち、まず「支出」はどうか?
大きい政府は、積極的な財政支出をする。

米国民主党も、道路・橋・通信網のインフラや、
生活、教育へ、積極的に支出をする。


▼大きい政府は、「収入→税収」も、大きい?

前項は支出だったが、「収入」はどうか?
大きい政府は、収入も大きい。

収入が大きいとは 「税収も多い」 という事だ。
つまり、「 国民や企業の 税負担は、高く 」 なる。

税負担が高ければ、経済にブレーキがかかる。
国民の不満や、企業の反発も、招きやすい。


▼支出は大きく、収入は小さく?

そこで 「支出は大きい」 ままだが、
「収入(税収)を、増やさない」 では、どうなる?

支出> 収入」 なら、財政は赤字である。
税収増やさず、支出増では、赤字になる事がある。


-- 消費者 経済 総研 --

◆岸田氏は、支出は大きいが、収入は小さい?

▼岸田氏は、「支出」は大きい?

短期的には、数十兆円の経済対策を、予定する。
つまり「支出」を増やす「大きな政府」だ。


▼一方で、「収入」の方は、どうか?

消費税の増税は、10年程度は、無いと述べている。
「金融所得税の強化」に言及した。

株で儲けた富裕層への課税強化は、どうか?
累進課税ならば、良いことである。

「貯蓄から投資へ」向かう庶民には、どうか?
現行税率の20%のままで、良い。

なお「金融所得税を強化」しても、規模は小さい。
つまり税収による、政府収入の大幅な増大はない。

数十兆円の経済対策の財源は、国債発行だ。

税収での「収入面での、大きな政府へ」の動きは、
今のところ、ない。

数十兆の支出増加しかし収入の大幅増加なし
この点では、岸田氏の政策は加点ポイントだ。


▼株式市場の岸田氏の評価は?

「金融所得税の強化」は株価には、マイナスに働く。
株式市場は「成長」がテーマで「分配」は嫌われる。

しかし市場に嫌われても、やるべきだろう。


▼岸田氏の財政政策の短期的な評価は?

数十兆の支出を増加、しかし収入の大幅増加なし。
この点では、岸田氏の政策は、加点ポイントだ。

「収入不変・支出増加」では、財政赤字が拡大する。
岸田氏は、財政赤字を拡大するのに、なぜ加点か?


-- 消費者 経済 総研 --

◆「財政赤字は、善」 の 理由 とは?

ところで、財政の赤字は、「悪」なのか?
悪ではない。むしろ「善」だ とも言える。

経済理論のMMTが、近年、注目を浴びている。
MMT理論では、「赤字は、むしろ善」なのだ。

MMTのデメリット(副作用)は、インフレだ。
日本はデフレなので、インフレ副作用は好都合だ。

こうして、財政赤字は、経済成長に寄与する。
日本では、デフレ脱却にも寄与する。

「MMTなんて、とんでもない!」と言う人がいる。
しかし既に、日本は「MMTな理論」を実施中だ。

これらは、下記の簡単解説を、ご覧頂きたい。

-- 消費者 経済 総研 --

◆先進国は、財政赤字?

アメリカ、イギリス始め、外国は赤字の国も多い。
財政赤字は、何も珍しいことではない。

2020年のG7(先進7国)では、7か国は、全て赤字だ。
コロナ前の2019年でも、大半が赤字国だ。

財政赤字の躊躇は不要だ。やればいいだけの話だ。
しかしワイズ・スペンディングである事は必須だ。

「財政支出を増やす」とは、具体的にはどうか?
例えば、土砂災害・洪水を防ぐために、堤防を作る。

すると、コンクリートに対する需要が、増える。
つまり 「 需要↑ > 供給 」 に傾く。

それで、受注企業の売上も増加し、GDPも増える。
企業の売上増加は、社員の給料増の原資になる。

 ※わかりやすいので「コンクリートの例」を出した。

  財政支出の対象は、コンクリートではなく、
  教育、福祉、脱炭素、デジタル化などが良い。

また 「 需要↑ > 供給 」 で、物価上昇へ傾く。
物価上昇目標2%の達成にも、貢献する。

財政支出を増やせば、日本の総需要は増える。
GDPを、簡単にプラス・オンできる。

民間企業の売上も増える。プラスがプラスを呼ぶ。


-- 消費者 経済 総研 --

◆赤字の増加→借金も増加 これも、OK?

前項の通り、財政支出の増加は、良いことが多い。
しかし、「国の財政の赤字」の問題がある。

財政赤字が発生すれば、国の借金は増加する。
しかし「国の借金」も、問題ではないのだ。

積極的に、財政支出を、して良いのだ。
こうして、財政の収入側の「増税」も不要なのだ。

財政赤字も、国の借金も、問題なしとの理由は、
下記の3編の簡単解説を、ご覧頂きたい。




② 岸田氏の 財政政策は?
さて、岸田氏の財政政策は、どうか?
既述の通り、岸田氏は「リベラル」寄りであった。

-- 消費者 経済 総研 --

◆支出側|岸田氏は、大きい政府? 小さい政府?

▼財政収支は、赤字にしない?

岸田氏は、基本的な姿勢は
「財政健全化の旗を、降ろさない」である。

「健全化」 とは、赤字にしない ということだ。

既述の通り、先進国の大半は、財政赤字である。
財政赤字は、普通のことだ。


▼財政の「支出」は、短期は増加。長期は?

一方で岸田氏は、2021年内に、
「数十兆円の経済対策を、準備する」 と述べた。

今年度は、緊縮財政ではなく、積極財政の姿勢だ。

元々、岸田氏は 「財政 健全化派」 なので、
コロナ禍での短期的対策、との理解でよいだろう。

しかし、短期のみでなく、
長期的にも「 積極財政 」にすべきだ。


▼財政の「収入」の方は、どうか?

前項の話は、「 国の支出 」 側の話である。
国の財政は 「支出」 と 「収入」 の両面だ。

収入の主たるものは、税収だ。
税収では、岸田氏の姿勢はどうか?


-- 消費者 経済 総研 --

◆消費税の 減税と増税は?

総裁選4候補で、消費税の増税を語ったのは誰か?
河野氏1人だけだった。

岸田氏は「10年は 消費税増税 しない」と述べた。

この点は良い。これは、加点ポイントだ。
しかし、消費税の減税の検討がない。

次の衆議院の総選挙では
野党は、消費税の減税を、打ち出すだろう。

自民・公明も、増税回避だけではNGだ。
消費税の減税の検討を、視野に入れるべきだ。

諸外国では、消費税の減税を、実施している。

非常時としての「短期の減税」でもよい。
結果を見てから、長期的な減税の検討でもいい。

消費税の減税をした国は、下記をご覧頂きたい。

 「世界各国では、どうしている?


▼消費税の増税のたびに、日本にダメージ?

1997年消費税増税で、失われた20年が始まった。
せっかく上昇中だった私たちの年収が下落




2014年増税では、アベノミクスを台無しにした。



消費税・増税のグラフやダメージについては
下記のわかりやすい解説を、ご覧頂きたい。



◆「競争と成長」、そして「再分配と平等」

「再分配」とは、
富裕層→庶民へ、お金を配分 することだ。

メリット・デメリットを、例え話で解説する。

競争の中で努力をし、高収入を獲得した人がいる。
その人は、より高い収入をと、さらに努力をする。

高収入目指し、努力家やチャレンジャーが増える。
すると、産業も発展し、GDPも成長拡大する。

その人の年収は、大きく増えるし、GDPも増える。

努力しなかった人は、どうなる?
経済成長の恩恵に預かり、少ないが年収は増加だ。

 これが 「 競争 と 成長 」 である。

一方で 「 再分配 と 平等 」 は、どうか?

高収入の人から、高い税金を徴収する。
一方、低収入の人の税金は、ゼロ 又は 安くする。

こうしてその両者の「税引後の手取り」は、近づく。

メリットは、平等である。
デメリットは、高収入の人の意欲が下がることだ。

意欲が下がれば、国全体のGDP成長が、減速する。

「競争・成長」「再分配・平等」は、
どちらが良いかは、価値観の問題だ。

昭和の日本では、どうだったか?
前者を自民党が、後者を社会党が、主張した。

議席数は、自民党が多かった。

昭和の世界では、どうだったか?
前者をアメリカが、後者をソ連が、主導した。

経済では、アメリカ陣営の方が、繁栄した。


-- 消費者 経済 総研 --

◆岸田総裁は、「再分配」 派?

「成長と分配の好循環」と、岸田氏は言う。
岸田氏は、再分配に積極的である。

再分配は、「格差解消・平等実現」へ寄与する。
つまり、分配は手段であり、目的は「平等化」だ。

しかし平等化は、「成長減速」に、なりうる。
A「競争→成長」と、B「再分配→平等」は相反する。

成長・平等の両方の獲得は、
前項の例え話のように、原理的に難しいからだ。

平等の路線では、成長は減速する。
成長・競争の路線では、平等は満たされにくい。

なお、両者をミックスすることは、できる。
これを「混合経済」という。

混合経済では、両方を尊重できる。
しかし、実現度は、それぞれ低下する。

平等の要素を、増やせば、成長は低下する。
成長の要素を、増やせば、平等は低下する。

再分配の政策は、
日本全体のGDP成長率に、影響を及ぼす。

この点では岸田氏プランは、加点できない。

これは、「食べ物の配分」の話に、よく例えられる。
聞いた事あるかもだが、「ピザ」や「パイ」の話だ。

「ピザを平等に分配」 するより前に、やる事がある。
「ピザ全体を、大きくする 」 のだ。

 ※「ピザの分配」の わかりやすい話は、下記参照

 下宿学生A君、B君、C君は、ピザをどう分ける?

再分配方針は、国全体の成長減速につながる
懸念があり、加点しがたい。


※しかしこれは既述の通り価値観の問題である。

昭和では、今よりわかりやすい与野党構造だった。
社会党・共産党が、分配・平等を重視した。

自民党が、競争・成長を重視した。
(もっとも自民党は分配も対応した向きもあるが)


-- 消費者 経済 総研 --

◆労働分配率の向上 とは?

「労働分配率」とは?
単純に言うと、「 企業の 人件費 ÷ 粗利益 」 だ。

様々な経費を引いて、企業の利益は、最終的には、
「株主への配当」 または 「内部留保」 になる。

①内部留保 ②株主配当 ③人件費

この3つのうち、「人件費の割合をUP」 する。
これが、「労働分配率の向上」だ。

内部留保とは、「会社の貯金」 のようのなものだ。

日本の生活者は、将来不安から貯金の傾向が強い。
日本の企業も同様に、リスクに備えて溜め込む。

岸田氏の 「企業から、労働者へ分配」
については、加点ポイントだ。

「労働分配率のUP 」 は、消費拡大になるからだ。

個人消費は、GDPの約6割を占める。
つまり、個人消費は、経済のメインエンジンだ。

企業は内部留保を増やし、お金を貯めこんだ。

「内部留保に課税すれば日本企業は海外へ逃げる」
と、岸田氏は、かつては否定派だった。

内部留保課税の方法によらないインセンティブの
設計の具体化を、期待したい。




③成長戦略は?
成長戦略は、ここでは下記とした。
「産業が発展する戦略、ビジネスが拡大する戦略」

岸田氏には、現時点、疑問符が付く。
規制緩和・構造改革に、消極的すぎるからだ。

「規制緩和・構造改革」は、格差を生むと言う。

格差が生まれても、まずは緩和・改革で成長し、
その後で、分配と平等を、実現すればいいのだ。

 「ピザを、平等に分ける前に、ピザを大きく」
 「ピザが、大きくなってから、分ける」


-- 消費者 経済 総研 --

◆ビジネスと産業の成長

どうすれば、ビジネスは拡大するか?
どうすれば、産業は発展するか?

①金融政策 ②財政政策 ③成長戦略
この中で、一番難しいのが、③ だ。

これがわかっているなら、企業家になれる。

古いしきたりや、古くからの規制がある環境では、
新ビジネスは、生まれにくいし、成長しにくい。

しきたり・規制を、撤廃する突破力が、重要だ。

個別の具体策よりも、
「ビジネスが、活発になる 環境づくり 」 が重要だ。

岸田氏の政策には、現時点、疑問符が付く。

小泉改革以降の規制緩和・構造改革の
「新自由主義」からの転換を、うたっている。

改革においては、河野氏に期待が、集まっていた。

高市氏も
「イノベーションを阻害する規制・慣行を見直す」
と述べていた。

岸田氏の具体的な政策は、様々ある。
しかし、規制緩和・構造改革の政策は、見えない。

よって、加点できない。




様々な提言と議論を
「他人の意見を、よく聞くのが得意」
と、岸田氏は、おっしゃっている。

本稿は、批判することは、目的としてはいない。
「評価・肯定する政策項目」も、もちろんある。

減点ポイントの項目では、提言をさせて頂いた。
僭越ながらの提言だが、聞いて頂きたい。

そして様々な議論を経て
「幸福な日本」の実現へ向けて、皆で進みたい。


※冒頭に既述の通り消費者経済総研は、特定の政党や
人物に、肯定・否定の姿勢を、とっていない。

政党や候補者ではなく、
あくまで「経済政策」にフォーカスしている。




分配|学生は、ピザをどう分ける?
下宿学生A君,B君,C君は、ピザをどう分ける?

「下宿学生2人が、ピザを注文する」例え話をする。

大雨なので、食べ物を買いに出るのを、嫌がった。
そこで 「ピザを注文し、2人で食べよう」となった。

2人は、A君とB君だ。なおA君は努力家だ。
Mサイズのピザは、8切れ(8ピース)だ。

B君は、次のように、言った。

 「Mサイズを、宅配で注文し、
 計8切れを、1人4切れで、2人で分けよう」

それに対し、努力家のA君は、下記の提案をした。

 「宅配ではなく、持ち帰りにしよう。
 持ち帰りならば、料金は半額で、お得だよ。

 半額だから、ピザが、2枚買えるよ。」

ピザ1枚(8切れ) では、1人 4切れ だ。
ピザ2枚(16切れ) なら、1人 8切れ だ。

しかし大雨なので、ピザを取りに行くのは、面倒。

そこで、努力家のA君が、
「自分が取りに行くよ」 と提案した。


◆16切れを、どう分ける?

ピザ2枚の16切れを、下記のように分けた。
努力家のA君は9切れ +B君は7切れ

B君の当初の案は、1人4切れだった。

A君の努力で、ピザの全体量が、大きくなった。
何もしないB君も、4切れ→7切れと、増えた



A君は、大雨の中、頑張って、お店に取りに行った。
よってA君が「多めの9切れ」なのは、納得だろう。

A君の努力で、全体のボリュームが増えた。

つまり、「ピザが、大きくなった」のだ
「大きくなったピザ」を、分けたのだ。


◆平等分配の C君 の場合は?

A君は、次の週は、別のC君と、一緒になった。
前回のB君との時と同じく、また大雨だった。

C君も、ピザが好きである。
C君は、面倒屋で、雨も嫌いで、宅配を提案した。

そこで、努力家のA君が、下記の提案をした。

 「自分(A)が、取りに行くよ。

 同料金で、8切れ→16切れ に増えるから
 自分(A)は、多めの9枚で、いいかな?」

しかし、C君は平等にこだわる人で、

 「反対! 2人とも平等に、1人8枚だ。」

と言った。


これをA君は、納得しなかった。

 「なぜ大雨の中、濡れながら、
 自分(A)1人で、取りに行くのに、同じなの?」

 「増えた8切れの全部を
 自分(A)が、取るのじゃないよ。

 C君も、増えるんだよ。」

C君は、平等主義で、「分け前の格差」を認めない。
努力が、報われないのを、A君は納得しなかった。

結局、宅配注文になり、少ない1枚(8切れ)になった。
各自の分け前は、「少ない4切れ」となった。

平等主義は、
「全体のピザを、大きくする」ことができなかった。

努力家が報われるならば、全体を大きくし、
自分の分け前も、他人の分け前も、両方増える。




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引用
真っ暗なトンネルの中から出ようとするとき、
出口が見えないと大変不安です。

しかし「出口は1km先」などの情報があれば、
真っ暗なトンネルの中でも、希望の気持ちを持てます。

また、コロナ禍では、マイナスの情報が飛び交い、
過度に悲観してしまう人もいます。

不安で苦しんでいる人に、出口(アフターコロナ)という
プラス情報も発信することで、
人々の笑顔に貢献したく思います。

つきましては、皆さまに、本ページの引用や、
URLの紹介などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。
引用・転載の注意・条件をご覧下さい。
【著作者 プロフィール】
■松田 優幸 経歴
 (消費者経済|チーフ・コンサルタント)

◆1986年 私立 武蔵高校 卒業

◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業

*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
  
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究

◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
 東急(株)、(株)リテール エステートで勤務

*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※

​※親会社とは、広義・慣用句での親会社 

*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
 会社のリテールエステートに移籍

*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。

各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ

*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。

商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築

◆25年間の間「個人投資家」としても、活動中

株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。

◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動

◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長

◆資格は、
 ファイナンシャル・プランナーほか


■当総研について

◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
 調査・分析・予測のシンクタンク

◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。

従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立

*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング

■松田優幸が登壇のセミナーの様子

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