【簡単に】MMT理論|批判・問題点のインフレは間違い?|消費者経済総研|2022/5/28
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 ■初稿:2022年5月28日 本ページは、修正・加筆等で、 上書き更新されていく場合があります。 ■ご注意 「○○の可能性が考えられる。」というフレーズが続くと、 読みづらくなるので「○○になる。」と簡略化もしています。 断定ではなく可能性の示唆であることを念頭に置いて下さい。 本ページ内容に関しては、自らの責任において対応して下さい。 また「免責事項」をお読みください ■引用 皆さまに、本ページの引用や、 リンク設定などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。 引用・転載の注意・条件 をご覧下さい。 |
- ■東京新聞に掲載
- 「 日本は 借金大国 とは言えない 」
筆者(松田)が、取材を受け、
準全国紙・東京新聞に、掲載された。
- ■自民党と、MMTは?
- 前回の自民党の総裁選の4候補でも、
財政政策のスタンの差は、明白だ。
◆高市氏
物価2%までは、財政黒字化は、凍結
→ 最もMMTに近い
◆野田氏
子育て施策への投資拡充など
財政黒字化は、ペンディング
→ MMT的
◆岸田氏
数十兆円の経済対策、消費増税は、10年凍結
一方で、財政再建の旗は、降ろさない
→短期は財政拡大派、
長期は財政黒字で、増税派
◆河野氏
国債増発・財政黒字化の延期 を容認
一方で、年金財源として、消費増税
→ 短期は財政赤字容認、長期は緊縮派
- ■連載|日本は借金大国ではない?
- 「日本は 借金大国ではない 理由」を
過去2回、連載してきた。
その前編2つは、下記をご覧頂きたい。
*Vol.1【バランスシート編】日本借金大国は嘘?
負債だけではなく資産も含めた純負債で優等生
*Vol.2【日銀・政府編】なぜ借金大国ではない?
国の借金は、親子関係にある日銀が、担う
今回は、その続編Vol.3として
「 MMT理論 」と「MMT的な理論」で解説する。
- ■「借金は悪」と、言われる理由とは?
- 「次世代への、借金の先送りは、ダメ」
「日本は借金大国なので、増税が必要だ」
「日本の財政支出を、減らす必要がある」
上記のフレーズが、しばしば聞かれる。
しかしいずれも、問題視する必要はない。
なぜ「先送りはダメ」等のフレーズを言うのか?
その理由は、下記3つの、いずれかだ。
[1] そう言った方が、自分が、得をする
[2] そう言わざるを得ない立場にある
[3] 単純に情報不足
[3]は、知識の習得で解消する。
[1]と[2]は、ポジショントーク だ。
消費者経済総研は、財務を預る役所でもなく、
特定政党の支援を、する立場でもない。
つまり、当方のポジションは、ニュートラルだ。
「わかりやすく解説する」との立場に、いるだけだ。
※なお「ポジショントークは直ちにNG」
というわけではない。
先送りダメと言う人は、「だいぶ減った」と感じる。
知識の習得(情報の共有・伸展)が、進んだのだろう。
筆者(松田)は、35年以上前に、慶応大学 経済学部
に入学以来、経済を研究している。
しかし本稿は、経済学の知識なしでも
わかるような簡単解説としている。
MMTの解説では、筆者の解説が、
「日本で2番目にわかりやすい」と思っている。
- ■ 最近注目の「MMT」理論とは?
- ◆MMTとは?
最近注目されている「MMT」という理論がある。
MMTとは、「Modern Monetary Theory」の略で、
「現代貨幣理論」と訳される。
-- 消費者 経済 総研 --
◆日銀の黒田総裁は?
日銀の黒田総裁は、MMTを、次のように述べた。
「自国通貨建て政府債務はデフォルトしないため
財政政策は、財政赤字や債務残高等を考慮せずに
景気安定化に専念すべき 」 という理論
-- 消費者 経済 総研 --
◆デフォルト とは?
デフォルトとは、「 債務不履行 」 のこと。
債務(義務) を、 履行(実行)できない。
つまり 「 借金を返す義務が、実行できない 」 こと。
日本国は、デフォルトするのか?
-- 消費者 経済 総研 --
◆デフォルトに関する 財務省の見解は?
氷山(借金の塊)に衝突し、タイタニック(日本)が沈む
上記のような趣旨を、財務省 事務次官が発言した。
これを、上司の鈴木財務相は「個人的発言」 とした。
財務省の公式サイトの中には、下記の記載がある。
「日・米など 先進国の 自国通貨建て国債の
デフォルトは 考えられない。」
※出典:財務省 公式サイト
-- 消費者 経済 総研 --
◆MMTには、様々な定義がある?
MMTは、確立された理論ではなく、
様々な人が、様々な定義を、している。
その中では、概ね下記の内容である。
「自国通貨の発行権 を持つ国家は、
国の財政が、赤字でも、問題ない。
財政破綻するリスクも ない。」
上記を、かみくだくと、下記だ。
自国通貨である 「 日本円 」 の発行権を
持つ日本は、国の財政が、赤字でも、問題ない。
なお、財政破綻したことがある欧州のギリシャは、
自国通貨を、発行していない。
ギリシャは、ユーロという通貨を、使用する。
欧州連合(EU)加盟国のうち、
20か国の通貨は、ユーロである。
欧州中央銀行が、ユーロという通貨を発行する。
つまり、破綻したギリシャは、
自国通貨の発行権を、持っていないが、
日本は、自国通貨の円の発行権を、持っている。
-- 消費者 経済 総研 --
◆MMT的理論を、ワンフレーズで言うと?
国の借金?
お金を刷って、返せばいい。 簡単だろ?
-- 消費者 経済 総研 --
◆「MMT」のポイントを、まとめると?
これが、 「純MMT 理論 」 だ
消費者経済総研が、わかりやすく要点を整理する。
政府の財源は、通貨を自ら発行して、まかなう
↓
その通貨で、政府は、積極的に、財政支出をする
↓
それにより、需要が創出され、景気は良くなる
なお財源は「新たな通貨発行」で、税も国債も不要
↓
税と国債は、調整弁として使い、主な財源ではない
↓
お金の増やし方は「増税」や「借金」ではない
↓
国が、お金を「新たに発行」するのだ
-- 消費者 経済 総研 --
◆MMTを、借金のある国に、あてはめると?
これが、 「 MMT的理論 」 だ
国が、積極的に財政支出をし、景気対策等に使う
↓
国の借金が、あっても、さらに増えても、問題ない
↓
お金を、新たに作って、借金を返せばいいからだ
ということだ。
- ■ MMTを、実行する国 とは?
- MMTを、実施している国は、どこか?
あるいは、それに近いことを、行う国はどこか?
前項の内容を読んで、
気づいた方も、いらっしゃるかもしれない。
実は日本は、MMT的な事を、既にやっているのだ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「純MMT」と、「MMT的理論」の違いは?
両者の違う点は、
・純MMT は、「通貨の新規発行」が、財源
・MMT的 の方は、「税+借金」が、財源
共通点は、
「 財政赤字の肯定 」だ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「MMT的な理論」は?
赤字で、政府の借金が、増えてもよい。
↓
通貨を新たに作って、借金を返せば良いからだ。
↓
又は借金は問題ではないので、放置や拡大でよい
↓
とにかく、財政赤字でも、積極的に財政支出をする
↓
それにより、需要が創出され、景気は良くなる。
-- 消費者 経済 総研 --
◆海外は?
もちろん、財政赤字は、日本だけではない。
アメリカ、イギリス始め、外国は赤字の国も多い。
2020年のG7(先進7国)では、7か国は、全て赤字だ。
コロナ前の2019年でも、大半が赤字国だ。
財政赤字は、何も特別なことではない。
-- 消費者 経済 総研 --
◆日本政府のMMTに対する見解は?
日本は、MMT的理論の実行国のように見える。
下記は、財務大臣の麻生氏が、発言したとされる。
「国の借金? お金を刷って返せばいい。簡単だろ?」
麻生大臣は、「お札刷って返済」の発言とは別に
「日本を、MMTの実験場にする気はない」
とも発言している。(両方とも、個人的発言だろう)
政府は公式には、MMTを肯定していない。
政府の公式見解は、
「財政黒字化への旗を、降ろさない」である。
日本政府は、財政の黒字化の道を、捨てていない。
-- 消費者 経済 総研 --
◆日本政府の公式見解(財政の黒字・赤字)
▼2017年12月8日|閣議決定
2020年度での黒字化目標の達成は困難。
ただし、財政健全化の旗は、決して降ろさず、
黒字化を、目指すという目標自体は、堅持する。
▼2021年6月18 日|閣議決定
骨太方針2018 で掲げた
「2025 年度の黒字化」を、目指す。
-- 消費者 経済 総研 --
◆日本は、肯定しないが、実行中?
MMTは、財政赤字を、積極的に肯定している。
日本政府は、赤字を積極肯定は、していない。
財政赤字を、肯定しないが、実行中の状態なのだ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆日本は借金大国ではない?
会社が赤字で、借金増加したら、
倒産のリスクがある。
しかし、日本の借金は問題ではない。
現状は、日本は、借金大国ではなく、優等生だ
理由は、借金も多いが、財産も多いからだ。
つまり純負債・純資産で、G7でも上位の優等生だ
これは、過去号で、わかりやすく解説してある。
下記の2つの号を、ご覧頂きたい。
*Vol.1「純負債編|なぜ 日本借金大国は 嘘?」
負債だけではなく資産も含めた純負債で優等生
*Vol.2「日銀・政府編|なぜ借金大国ではない?」
国の借金は親子関係にある日銀が担う
- -- 消費者 経済 総研 --
◆日本での「MMT的な理論」とは?
MMT提唱者ではステファニー・ケルトン氏が有名。
ケルトン氏は、アメリカの経済学者で教授である。
ケルトン氏は2019年来日し、MMTの講演をした。
その頃から、日本でMMTが、話題になってきた。
なお2019年よりも前から日本で、長年にわたり、
「MMT的な理論」が、議論されてきた。
「お金で困るなら、自ら紙幣を、刷れば良い」
「不景気でなら、お金を国民に、配ればよい」
「ヘリコプターから、お金を、ばら撒けば良い」
このようにMMTではなくても、
MMT的な議論は、以前からあったのだ。
- -- 消費者 経済 総研 --
- ■ MMT理論は、間違い?
- MMTについては、問題点が、指摘されている。
「MMTは間違いだ」との批判もある。
MMT理論の反対派からは
「嘘だ、おかしい」とも言われる。
机上の空論か? 危険な理論なのか
逆に、MMTを評価するリフレ派の賛成派もいる。
はたしてMMTは正しいのか?正しくないのか?
先に結論を言うと、「MMTは正しい」側にある。
こうして、賛否あるなか、MMTの概要と
デメリット(欠点)と、メリット(利点)を、見ていく。
- ■MMTのメリット・デメリットは?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆デメリットは「インフレ」?
結論を言うと、
MMTのデメリットは、「インフレ圧力」だ。
MMTでは、「財源は、新たな通貨の発行」だ。
通貨の量が過剰になれば、インフレへ向かう。
しかし日本は、「デフレ脱却が未完」なので、
インフレを、心配する状況ではない。
それどころか、インフレ圧力は
デフレの日本には、逆に好都合である。
インフレ発生のメカニズムや
デフレのデメリット等は、後述する。
-- 消費者 経済 総研 --
◆メリットは?
・「財政赤字はNG」 との制約がなくなる
・「借金はNG」 との制約がなくなる
・そして、財政支出で、景気拡大に寄与できる
・お金の増加でインフレ化し「デフレ脱却」できる
・税は主な財源ではないので、重税感がなくなる
これらが、MMTのメリットである。
-- 消費者 経済 総研 --
◆国の「金融・財政の政策」でやるべきことは?
国の経済政策で、重要なのは「雇用と物価」だ。
具体的な指標は「失業率等と、物価上昇率」だ。
これは、どの先進国でも、一緒である。
米国は、FRB(中央銀行)が雇用・物価の両方を担う。
日本は、物価を日銀が担い、雇用を政府が担う。
借金の残高は、国家運営の重要指標ではない。
借金残高より、物価(インフレ率)が、重要指標だ。
MMTやMMT的理論では、物価に注視すればよい。
- ■ お金を増やして、どうする?
- MMTやMMT的な理論では、お金は下記の流れだ。
①お金の量を増やして
↓
②様々な財政支出をし、需要を創出・拡大して
↓
③景気を良くする
※財政支出では、公共事業などを行う。
公共事業と聞くと、ダムや博物館などの
無駄なコンクリートや、ハコモノが、連想される。
賢い支出(ワイズ・スペンディング)が、必須だ。
下記の内容が、その例だ。
・教育、福祉、脱炭素、デジタル化などの費用に使う
・(工事なら)豪雨被害を救う「防災・強靭化の工事」
次に①の「お金の増やし方」について、見ていく。
- ■ お金の増やし方 とは?
- お金を増やす方法は、下記となる。
A借金型
政府が、新たな国債を、民間銀行等へ販売する
↓
国債の販売代金を、政府が受け取る
↓
政府のお金が増えた
↓
その増えたお金で、財政支出をする
B硬貨の発行型
政府が、自ら「高額な硬貨を作る」
↓
政府のお金が増えた
↓
その増えたお金で、財政支出をする
C紙幣の発行型
政府が、自ら「紙幣を刷る」
↓
政府のお金が増えた
↓
その増えたお金で、財政支出をする
Aは借金で、BCは通貨の新規の発行だ。
Bは、今でも、やっているし、できる。
Cは、やったことはあるが、現在は、やってない。
Cの場合は、法改正が必要だ。
※参照
紙幣と硬貨では、発行者が違う?
通貨、硬貨、紙幣の違い とは?
これらの詳細は、下記の過去号をご覧頂きたい。
「【なぜ?】千円札は日銀,1円玉は日本国」
- ■インフレ発生のメカニズム とは?
- 世の中のお金が増えると、インフレになる。
そもそも、インフレは、どうやって起きる?
そのメカニズム とは?
いまさら聞けない
「インフレ・デフレの発生の仕組み」を、
「ミカンの値段の例」で、わかりやすく解説する
下記の過去号を、ご覧頂きたい。
「【簡単】インフレ|ミカンの例で、簡単3分解説 」
- ■日本はデフレでインフレは好都合?
- MMTを実行すると、インフレになる可能性がある。
日本は、デフレに悩んでいる国である。
インフレは、逆に好都合だ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆インフレ率の目標は、2%?
デフレ脱却と言えるインフレ率は、2%だ。
日本も、物価安定の目標を、2%としている。
なぜ、2%なのか? については
下記の過去号を、ご覧頂きたい。
「【簡単】インフレ|なぜ2%なのか?」
-- 消費者 経済 総研 --
◆日本のインフレ率は、どの程度か?
2001~2020年の20年平均では、0.1%しかない。
CPIが2%になるまでは、お金を増やしてOKだ。
インフレ率20年推移は、下記号を、ご覧頂きたい。
【簡単】インフレ,デフレ|日本のインフレ率は?」
- ■悪性インフレが、発生したら?
- ◆お金を〇兆円増やすと、物価は◇%上昇?
この点に関して、参議院が実施した試算値がある。
国民全員に、毎月10万円を、配った場合の試算だ。
つまり、毎年144兆円を、国が借金し増やして配る。
毎年のインフレ率の試算値は、どうか?
1年目1.2%、2年目1.4%、3・4年目1.8%だ。
現在の借金水準に、144兆円もプラスオンしても、
物価は、2%上昇に届かない。
※出典:
・年間144兆円国債を発行してもインフレにならない
・日テレニュース2021/10/16
-- 消費者 経済 総研 --
◆インフレ率が、2%超に、なったら?
2%になるまで、お金を増やしてOKと述べた。
また、2%を超えたら、直ちにNGでもない。
2%を超えた後、望まない物価水準に至ったら?
その場合は、マクロ政策で、冷やせばよいのだ。
「マクロ政策で冷やす」とは、
政府による、「増税」や「財政支出の縮小」などだ。
また、日銀による
「利上げ」や「量的・質的な金融引き締め」もある。
インフレが過熱しても、それらで制御するから、
心配しなくても、大丈夫なのだ。
- ■MMT・MMT的理論は、効果あり
- ◆借金増加又は通貨発行で、成長とデフレ脱却
借金増加や通貨発行で、経済対策の財源が増える。
その増えたお金で財政支出し、景気刺激策になる。
また、日本を長年悩ませた、デフレ脱却にもなる。
良いことづくめなのだ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「金利上昇→支払利子が増加」で大変になる?
借金が多いと「返済できるか」との疑念が生じる。
貸す方は、リスクを感じると低金利では貸さない。
「借金増加→返済疑念→金利上昇→支払利子増加」
上記のようになるので、問題だ、と言う人がいる。
国が支払う費用(利子)が、数十兆円も増加と言う。
しかし、これは間違いだ。
デフォルト・リスクを計算する格付け会社がある。
格付け会社は、日本国債の格付けを、下げてきた。
しかし、目立った金利上昇は、見られなかった。
金融市場は「日本国債はリスク無い」と見たのだ。
仮に金利が上昇しても、日銀が金利を下げてくる。
「 国債購入オペ(指値オペ) 」が、あるからだ。
※「国債購入オペ(指値オペ)」のページを参照
-- 消費者 経済 総研 --
◆悪性のインフレは、起きたのか?
20世紀までは、大規模な戦争が、しばしば起きた。
巨額のお金が動き、ハイパーインフレが発生した。
しかし21世紀は、大規模戦争は、起きていない。
-- 消費者 経済 総研 --
◆21世紀の先進国は、悪性インフレ起きない?
また近年では、コンピューターやネットで、
各種の指数やデータは、素早く把握できる。
21世紀では、インフレ率は、観測も制御も充分だ。
「100円のミカンが、いつのまにか、
1万円になっていた! 気付かなかった!」
→こんなことは、無いのだ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆財務省の公式見解は?
「新興国と異なり、日本は、
ハイパー・インフレの懸念は、ゼロに等しい。」
財務省の公式サイトに、上記の掲載がある(一部中略)
-- 消費者 経済 総研 --
◆ハイパーインフレの事例などは?
① ハイパーインフレは、先進国では大丈夫
② ハイパーインフレが、発生した国の事例
上記の2つは、下記の過去号を、ご覧頂きたい。
「【簡単】ハイパーインフレ」
- ■「増税」が、NGな理由 とは?
- 既述の通り、お金の増やし方には、
「借金型」と「通貨発行型」があった。
その他に従来型の増やし方の「増税」もある。
「増税型」は、後順位である理由を、解説する。
「災害後の1兆円の復興工事」の例で、解説する。
工事の財源は、「増税」または「借金増加」だ。
「増税型」と「借金型」を比較する。
先に結論を言うと、「借金型」が、
「増税型」よりも、多くのお金が、民間に生まれる。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「増税型」なら?
増税型では、
政府が1兆円を、民間人から「税」で吸い取る。
*前半は?
これで民間のお財布は、マイナス1兆円で、
政府のお財布は、プラス1兆円になる。
*後半は?
その1兆円で、政府が、復興工事を発注する。
その流れは下記だ。
1兆円が、納税で、民間部門→政府に渡る。
1兆円を、工事発注で、政府→民間企業へ払う。
民間部門は、納税でマイナス1兆円になったが、
工事受注でプラス1兆円で、合計±ゼロだ。
政府は、税金でプラス1兆円になったが、
工事支払でマイナス1兆円で、合計±ゼロだ。
最終的に、民間部門は±ゼロで、政府も±ゼロだ。
1兆円が民間→(納税)→政府→(工事発注)→民間
このように、戻ってくるからだ。
こうして「増税型」は、全体のお金の量は、不変だ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「借金型」なら?
一方で、「借金型」では、どうか?
国が借金する際は、国債発行の方法が大部分だ※
※大部分とは「国債の割合は?」を参照頂きたい
「借金型」なら、最終的に民間には、1兆円が増える。
*前半(国債の売買)
民間銀行が、政府から、1兆円の国債を買う。
これで、政府は民間銀行から、1兆円を受け取る。
1兆円は、民間銀行→(国債)→政府へ移動した。
(民間が政府に、1兆円を貸した)
民間のお財布は、マイナス1兆円で、
政府のお財布は、プラス1兆円になる。
しかし民間は、
別途、1兆円の国債という金融商品を保有中だ。
*後半(工事発注)
その1兆円を、政府が工事発注で、民間業者へ払う。
これで、民間業者は政府から、1兆円を受け取る。
1兆円は政府→(工事発注)→民間業者へ移動した。
民間は、国債購入でマイナス1兆円になったが、
工事受注でプラス1兆円で、合計±ゼロだ。
政府は、国債の販売で、+1兆円になったが、
工事支払で-1兆円で、合計±ゼロだ。
*前半(国債売買)+後半(工事発注)
前半は、
国債の売買で、1兆円が、民間銀行→政府へ移動
後半は、
工事発注で、1兆円が、政府→民間業者へ移動
1兆円は、民間部門→政府→民間部門と戻った。
こうして、民間部門は±ゼロで、政府も±ゼロだ。
ここまでは、上の「増税型」と一緒だ。
*「国債」は?
「国債」は、どうなったか?
国債は、民間銀行が持っている
そこで、民間銀行の1兆円の国債を、日銀に売る。
民間銀行には、国債の売却代金の1兆円が、入る。
さっきまで、民間部門は、合計±ゼロだったのが、
この国債の売却で民間部門は、+1兆円となる。
*最終的には?
民間は、1兆円の現金を、増やした。
日銀は、1兆円の国債を、保有中だ。
政府は、現金はプラスマイナス・ゼロだが、
日銀に対しての1兆円の借金が、継続中だ。
「借金型」では、
最終的には、国債の売却代金が
民間部門に1兆円が残った。
「増税型」では、
民間部門は、±ゼロだった。
よって 「増税型」 より 「借金型」 の方が、
民間部門に出回るおカネが、1兆円多くなる。
これで「 カネの量 > モノの量 」へ傾く。
すると物価は上昇し、経済はインフレへ傾く。
- ■通貨の新規発行は?(オプション編)
- 政府の財源は、前項の「増税型」か「借金型」である。
3番目にオプション編である。
新たに、お金を増やす方法として、下記がある。
MMTが財源とする【通貨の新規発行】だ。
その方法は、下記ABの2つある。
[A] 日本国(政府)が、自ら「高額の硬貨を作る」
[B] 日本国(政府)が、自ら「紙幣を刷る」
通貨を新たに生み出して、その通貨で、
・借金を返済する
・(借金とは関係なく)財政支出に使う
という考え方だ。
「通貨の新規発行」でも、文字通り、お金が増える。
よって副作用は、インフレだ。
政府には「貨幣の発行権」がある。(通貨法※4条1項)
政府が自らお金を作り、そのお金で返済の方法だ。
※「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」
(略称:通貨法)
なお、現行法での発行主体は、どうなっているか?
硬貨は、日本国(政府)で、紙幣は、日銀だ。
※硬貨と紙幣の内容と発行主体の違いの詳細は
「なぜ?|千円札は日銀,1円玉は日本国」を参照
[B]「政府が、お札を刷る」のは、現在はできない。
しかし法制化した上で、やろうと思えば、できる。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「B:政府が札を刷る」を、実行した事例は?
世界の歴史では、どうか?
「政府がお札を刷る」は、しばしば実施されている。
シンガポールは、今でもやっているのだ。
実際に日本も、近代に実施したことがある。
次項で解説する。
-- 消費者 経済 総研 --
◆日本政府が、自ら通貨を、発行した例とは?
A 日本国(政府)が、自ら「高額の硬貨を作る」
B 日本国(政府)が、自ら「紙幣を刷る」
*Aの硬貨は、どうか?
記念硬貨の発行で、しばしば実施された。
天皇在位記念や、五輪記念などでの記念事業だ。
政府は、様々、高額の記念硬貨を、発行してきた。
額面最高額は、10万円の記念硬貨だ。
*Bの紙幣は、どうか?
明治初期には、実施されたことがある。
しかしインフレが過熱し、以降は、なくなった※
※戦争による金属不足などの特殊環境下では、
少額の政府紙幣は、大正・昭和でも存在
- ■政府はアクセル、日銀はブレーキ?
- ◆政府は、アクセルを踏む?
政治の世界では、景気が悪化すると、どうなる?
政権の支持率が、下がる傾向にある。
よって政府は、経済政策では、アクセル側にいる。
具体的には、GDP・株価・求人倍率・賃金を
上昇させるために、財政出動や金融緩和をする。
しかし、アクセルを踏みすぎると、どうなる?
つまり、景気が過熱しすぎると、どうなる?
副作用としてインフレが加速するのだ。
世界の歴史で、インフレ過熱は度々発生してきた。
また激しいインフレの事例としては、戦争がある。
世界の歴史でも、戦争の戦費調達などの資金
として「政府紙幣」が、発行されている。
戦争由来のインフレは、程度が大きい。
よって「ハイパーインフレ」に、なることがある。
日本では、明治維新の後は、中央銀行がなかった。
政府が、紙幣を直接発行していたのだ。
明治10年に「西南戦争」が勃発した。
戦費調達のために、政府紙幣を、大量発行した。
それにより、強いインフレが、発生した。
そこで松方は、明治14年に、中央銀行を設立した。
翌年、日銀が業務を開始した。
政府の紙幣発行で、インフレになった歴史を学び、
世界各国は、政府とは独立する中央銀行を設けた。
-- 消費者 経済 総研 --
◆中央銀行は、ブレーキ役
政府はアクセルを踏み、中央銀行はブレーキ役だ。
中央銀行の第1の目的は「物価の安定」だ。
物価過熱や悪性インフレを、起こさないことだ。
適度のインフレの率は、2%とされる。
日米とも、2%としている。
なぜ適度なインフレ率は2%か?については
下記過去号をご覧頂きたい。
「【簡単】インフレ|なぜ2%なのか?」
- ■MMT・MMT的を、やらない理由は?
- 米国の中央銀行(FRB)のパウエル議長や、
日銀の黒田総裁は、MMTに対し、否定的な立場だ。
政府が、経済政策でアクセルを踏んでも、
中央銀行は、ブレーキ役で、反インフレ姿勢だ。
インフレ・リスクがある政策の肯定は、
中央銀行は、できない立場にいるのだ。
またMMTでは、中央銀行の役割は、小さくなる。
自らの存在を、小さくする議論は、やりにくい。
-- 消費者 経済 総研 --
◆経済学、自然科学、そして実験、歴史
経済学は、自然科学とは違う。
自然科学では実験ができる。
経済学では、実験するのは、ハードルが高い。
経済学は、経験則(歴史)の事例から、
検証するのが第一のアプローチだ。
しかし小規模の地域に限定して、経済政策の
実験を行うという選択肢は、ありえるだろう。
例えば「ベーシックインカム」は、
メリット・デメリットがあり、長年、議論がされた。
机上の議論を続けても、結論が出ない。
そこでドイツ、フィンランドは実験に踏み切った。
さて、MMT(MMT的を含む)については、どうか?
実際に実施しても、コントロールは可能だろう。
しかし、守旧派の中央銀行は、
「万一、大事になったらどうする!」
と考え、踏み込めないのだ。
中央銀行は、ブレーキ役なので、そうなるのだ。
- ■連載|日本は借金大国ではない?
- 今回は、連載シリーズの「Vol.3 MMT理論」だ。
「日本は 借金大国ではない 理由」を
過去2回、連載してきた。
その前編の2つは、下記をご覧頂きたい。
▼Vol.1 【バランスシート編】日本借金大国は嘘?
(負債だけではNG|資産も含む純負債で優等生 )
▼Vol.2【日銀・政府編】日本は借金大国ではない?
(国の借金は、親子関係にある日銀が、担う )
-- 消費者 経済 総研 --
◆さらなる詳細解説は?
本ページで、不足する解説部分を、
詳細解説で、一層わかりやすくしたページがある。
下記のページを、ご覧頂きたい。
随時更新 弱い日本経済,停滞の景気を良くする
- ◆本ページを、リンク等で広めて、頂きたい
- 日本には、将来に不安を、持つ方も多い
↓
「 借金は、将来世代へ、付け回し される 」
「 日本の将来は、借金で、破綻する 」
↓
このように、言われたからだ
↓
既述の通り、日本の国の借金は、問題ない
↓
過度な不安を、持たなくて良い。 楽観してよい
↓
将来不安に、おびえると、日本は、一層低迷する
↓
若者が夢や希望を、持たなく なってしまう
↓
明るい未来のために、本ページを、広めて欲しい
↓
本ページへのリンク設定の協力を、お願いしたい
松田からのお願いです。リンクをお願いします消費者 経済 総研 チーフ・コンサルタント 松田優幸
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 ■ご注意 「○○の可能性が考えられる。」というフレーズが続くと、 読みづらくなるので、 「○○になる。」と簡略化もしています。 断定ではなく可能性の示唆である事を念頭に置いて下さい。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、 自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、 対応して下さい。また「免責事項 」をお読みください。 ■引用 真っ暗なトンネルの中から出ようとするとき、 出口が見えないと大変不安です。 しかし「出口は1km先」などの情報があれば、 真っ暗なトンネルの中でも、希望の気持ちを持てます。 また、コロナ禍では、マイナスの情報が飛び交い、 過度に悲観してしまう人もいます。 不安で苦しんでいる人に、出口(アフターコロナ)という プラス情報も発信することで、 人々の笑顔に貢献したく思います。 つきましては、皆さまに、本ページの引用や、 URLの紹介などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。 引用・転載の注意・条件をご覧下さい。 |
- 【著作者 プロフィール】
- ■松田 優幸 経歴
(消費者経済|チーフ・コンサルタント)
◆1986年 私立 武蔵高校 卒業
◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業
*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究
◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
東急(株)、(株)リテール エステートで勤務
*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※
※親会社とは、広義・慣用句での親会社
*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
会社のリテールエステートに移籍
*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。
各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ
*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。
商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築
◆25年間の間「個人投資家」としても、活動中
株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。
◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動
◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長
◆資格は、
ファイナンシャル・プランナーほか
■当総研について
◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
調査・分析・予測のシンクタンク
◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。
従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立
*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング
■松田優幸が登壇のセミナーの様子
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電 話: 03-3462-7997
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- チーフ・コンサルタント 松田優幸
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