続編 ウクライナ情勢の日本への影響を簡単解説 物価上昇は加速?|消費者経済総研|2022/3/2
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- ■間接的な影響で、インフレ加速へ?
- ウクライナ情勢の日本への影響を、
前編に続き、今回号は、後編として解説する。
前編は、ウクライナ情勢の日本への直接的な影響、
後編は、間接的な影響である。
前編は、下記の解説を、ご覧頂きたい。
ウクライナ情勢の日本への影響を、
わかりやすく解説 物価上昇は加速?
- ■ 間接的な影響 とは?
- 「ロシアと日本、ウクライナと日本」での貿易では、
直接的な影響は軽微だと、前編で、わかった。
ロシアと日本の貿易、ウクライナと日本の貿易が、
少ないのが理由だ。
とはいえ、ロシアは、化石燃料の輸出大国だ。
化石燃料は、石油、石炭、ガスである。
ロシアの輸出は「化石燃料」が、圧倒的に多い。
ロシアの輸出の約半分(48.6%)を、占める。
※出典:経済産業省|ロシア及び中央アジア:通商白書2018年版
世界の原油の輸出国のランキングではどうか?
ロシアは、サウジアラビアに次ぐ、2位だ。
※2015-2017年
※出典:米国CIA|Crude oil–exports-The World Factbook
日本と直接的な影響は、小さくても、
世界貿易の中で、間接的に、日本に影響がでる。
ロシアの原油の輸出量が、減れば、どうなる?
不要不急の品目なら、輸入減少でも影響は小さい。
しかし、原油は、必要不可欠の品目である。
ロシアの原油輸出が減っても、
世界各国は、原油の購入を、そうは減らせない。
需要>供給↓で、原油は、高騰してしまうだろう。
-- 消費者 経済 総研 --
◆ウクライナ危機の前の 原油高の理由 とは?
今回の危機の前から、原油価格は、上昇してきた。
その理由は、何か?
「脱炭素化」の世界的な潮流がある
↓
原油への需要は、長期的には減ると、見込まれる
↓
そこで、原油生産への新規投資が、抑制される
↓
またOPECは、コロナ再拡大の可能性を、懸念する
↓
コロナ再拡大による、原油の需要減少を、懸念する
↓
よって、原油の増産に、消極的である
↓
これらが、最近の原油高の原因とされる
- ■危機発生で原油価格は、どうなる?
- ウクライナ危機の発生で、原油価格は、どうなる?
原油価格は、主に下記3種類の指標がある。
*北海ブレント原油先物(欧州)
*ニューヨーク原油先物(北米)
*ドバイ・オーマン原油スポット(中東)
バンク・オブ・アメリカは、北海ブレンドの価格は、
今年半ばに、1バレル120ドルに上昇と、予想した。
※出典: ロイター|北海ブレント、ウクライナ危機悪化なら...
北海ブレンド原油価格は、
2022年2月1日は、90ドルだった。
90ドル→120ドルは、33%もの上昇だ。
原油価格の上昇で、
ガソリン価格は上昇し燃料費・物流費も上昇する。
原油からは、プラスチック、ゴム、ビニールなどの
様々な製品が、作られる。
「原油高」は、「様々な製品のコスト高」にもなる。
- ■ その他に影響する品目は?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆LNG(液化天然ガス)は?
▼LNGの輸出国ランキングは?
カタール、オーストラリア、米国に続いて、
ロシアは4位だ。(2018年)
※出典:日本ガス協会|天然ガスの取引量|2018年
米国は、LNGの生産・輸出を、急速に拡大している。
21年12月の月次では、米国のLNGの輸出量は、
カタールとオーストラリアを、上回ったとされる。
※出典:日本経済新聞電子版|米のLNG輸出、世界トップに
▼LNGは、何に使う? 使い道とは?
電力用(火力発電):60%、都市ガス用:34%に使う。
※出典:経済産業省・資源エネルギー庁|一次エネルギーの動向|
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◆その他の品目は?
小麦等の穀物や、カニ等の水産物への影響もある。
原油価格の高騰は、電気代・ガソリン価格・燃料費・
物流費など広範で、物価UPの寄与度も高い。
原油高騰は日本の経済・生活に大きなダメージだ。
なお、LNG価格は、原油価格に、つられて動く。
LNG価格と、原油価格の、相関係数は高い。
輸入額では、LNGより原油の方が、大きい。
よって、原油価格の動向が、一番重要だ。
本稿では、原油を中心に見ていく。
- ■日本の消費者物価は、どれだけUP?
- ただでさえ、日本には、
既に「悪いインフレ」が、迫っている。
さらに「悪い円安」によるインフレが、加わる。
こうして、ダブルで、日本に効いてくる。
- なお、「悪いインフレ」 「悪い円安」 については、
下記のわかりやすい解説を、ご覧頂きたい。 - ◆悪いインフレとは?
日本の物価上昇・値上げラッシュの原因理由
◆最近の悪い円安とは?
円安円高のメリットデメリット,背景要因理由
さらに、ウクライナ情勢によるインフレで、
トリプルのダメージに、なるのか?
今回の危機の日本の物価への影響を、見ていく。
その前に、携帯料金によるインフレを、解説する。
-- 消費者 経済 総研 --
◆2021年4月から、携帯料金が引き下げ
昨年の21年の4月に、携帯料金が、大きく下がった。
前の首相の菅さんの功績である。
携帯料金の低下の効果で、
CPI(消費者物価指数)が、下がった。
実は、物価には、携帯料金の比重が、大きいのだ。
CPIの変化率を、昨年比で見る。
21年4月の物価が、100だとして、
翌年の22年4月の物価が、102ならば、
「CPIは、2%上昇」である。
21年3月と、22年3月の、CPIを、比較する。
21年3月の携帯料金は、引き下げ前の高い価格だ。
昨年の 21年3月の携帯料金は、高い
↓
翌年の 22年3月の携帯料金は、安い
↓
よって、携帯料金の低下によって、
22年3月のCPIの前年比には、低下圧力が加わる。
-- 消費者 経済 総研 --
◆携帯の値下げ効果が、無くなる?
21年4月の携帯料金は、安くなった
↓
22年4月の携帯料金は、安いまま
↓
よって携帯料金は、CPI昨年比に、影響しなくなる。
22年1月のCPIは、昨年比0.5%UPだった。
携帯料金は、マイナス1.5%の効果があった。
22年1月のCPI上昇率0.5%の内訳は、次の計算
▼CPI上昇率:0.5%(=2.0%上昇-1.5%下落)
▼CPI 上昇の項目:2.0%=
光熱費0.9%UP +食料0.5%UP +その他0.6%UP
▼CPI 下落の項目:-1.5%=
携帯料金1.5% down
下図は、要因別の寄与度の図だ。
「携帯-1.5%効果」が、 22年4月に 無くなる。
※22年1月の出典:統計局ホームページ|消費者物価指数(CPI)
よって、2022年4月は、
自動的に「約1.5%の物価上昇」となるのだ。
物価上昇率は、
21年1月0.5%→ 4月2.0%へUP
-- 消費者 経済 総研 --
◆更に、ウクライナ危機で、原油高→物価UPへ
既述の通り、33%も原油高になるとの予想がある。
原油高は、光熱費をはじめ、
様々な原材料の値上げラッシュの原因となる。
ここから先は、わかりやすさ優先のため
単純化して計算する。
原油価格が10%UPで、CPI上昇率は、どうなる?
0.3%~0.4%UPとの研究結果がある。
すると、120ドルでは、1.4%の物価上昇だ。
CPI上昇率は、2.0%+1.4%=3.4%へ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆CPI上昇率の推計値の計算
本来は的確な計算式で算出すべきだが、
正確性を追求すると、全体像が見えにくく
なるため、単純化した計算式を採用した。
なお、原油とCPI上昇率を回帰分析した別計算は、
4.8%と、上記よりも、高いCPI上昇率となった。
よって、3.4%は、低めの値である。
2022年の半ば~後半は、
より高い物価水準になる可能性がある。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「日本人の暮らし」は、苦しくなる?
3.4%を超える物価上昇に、なる可能性がある。
賃金も、3.4%超に、上昇すればよい。
しかし日本の賃金は、低迷を続ける。
物価上昇よりも、賃金上昇が下なら、
日本の消費者・生活者は、苦しむ。
「3%の消費税の増税」以上の暮らしぶりの悪化だ。
賃金が横ばいで、物価3.4%UPなら、
消費税を3.4%減税をしないと、生活は苦しい。
-- 消費者 経済 総研 --
◆賃金UPは、 できるか?
消費税の減税以外の解決策には、
3.4%超の賃金UPが、できればよい。
しかし原油高は、企業のコストUPである。
よって、企業の粗利益を、減少させる。
粗利益は、賃金の原資である。
賃金の原資の粗利益が減少では、賃金UPは困難だ。
コロナ禍の危機の後は、ウクライナ危機の到来だ。
「泣きっ面に蜂」である。
国民に、10万円単位の給付金の再給付は、どうか?
しかし、給付金の7割が、貯蓄されたと言われる。
消費減税なら、消費を維持しながらの、救済策だ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆失われた20年は、いつからか?
日本の「失われた20年」は、いつから、始まったか?
↓
下図のように1997年から始った。原因は何か?
↓
↓
失われた20年の原因は「消費税3→5%増税」だ
↓
たかが2%でも、影響は大きいのだ。
↓
ウクライナ危機で、3%の物価UPは、厳しい。
消費増税のダメージの解説は、下記の
「 消費者 経済 総研 」 のページをご覧頂きたい
消費税|減税の効果・メリット,
増税の影響・デメリット
- なお、「悪いインフレ」 「悪い円安」 については、
- ■インフレ・値上げ|関連ページは?
- 下記のわかりやすい関連ページも、ご覧頂きたい。
- 2つの 悪いインフレ
- ◆1つ目 【 悪いインフレ とは? 】
日本の物価上昇・値上げラッシュの原因理由
◆2つ目 【 最近の 悪い円安 とは? 】
円安円高のメリットデメリット,背景要因理由
- 3つ目の インフレ|ウクライナ危機由来インフレ
- ◆【Vol.1 直接の影響】ウクライナ情勢の
日本への影響をわかりやすく解説 物価上昇は
◆【Vol.2 間接の影響】ウクライナ情勢の
日本への影響を簡単解説 物価上昇は加速?
- 消費税の減税で、値上げ・インフレ対策を
- ◆消費税|減税の効果・メリット,増税の影響・デメリット
- 値上げラッシュ|食べ物等の品目別
- ◆【21年上期】4月からの値上げ・値下げとは?|
2021・新年度の日本どうなる?
◆【21年下期】なぜ値上げラッシュ?
値上げ食品一覧・原因理由
◆【22年上期】2022年4月から値上げ一覧
原因理由も,値上げラッシュで悪いインフレ?
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 ■ご注意 「○○の可能性が考えられる。」というフレーズが続くと、 読みづらくなるので、 「○○になる。」と簡略化もしています。 断定ではなく可能性の示唆である事を念頭に置いて下さい。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、 自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、 対応して下さい。また「免責事項 」をお読みください。 ■引用 真っ暗なトンネルの中から出ようとするとき、 出口が見えないと大変不安です。 しかし「出口は1km先」などの情報があれば、 真っ暗なトンネルの中でも、希望の気持ちを持てます。 また、コロナ禍では、マイナスの情報が飛び交い、 過度に悲観してしまう人もいます。 不安で苦しんでいる人に、出口(アフターコロナ)という プラス情報も発信することで、 人々の笑顔に貢献したく思います。 つきましては、皆さまに、本ページの引用や、 URLの紹介などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。 引用・転載の注意・条件をご覧下さい。 |
- 【著作者 プロフィール】
- ■松田 優幸 経歴
(消費者経済|チーフ・コンサルタント)
◆1986年 私立 武蔵高校 卒業
◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業
*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究
◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
東急(株)、(株)リテール エステートで勤務
*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※
※親会社とは、広義・慣用句での親会社
*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
会社のリテールエステートに移籍
*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。
各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ
*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。
商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築
◆25年間の間「個人投資家」としても、活動中
株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。
◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動
◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長
◆資格は、
ファイナンシャル・プランナーほか
■当総研について
◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
調査・分析・予測のシンクタンク
◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。
従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立
*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング
■松田優幸が登壇のセミナーの様子
- ご案内・ご注意事項
- *消費者経済総研のサイト内の
情報の無断転載は禁止です。
*NET上へ「引用掲載」する場合は、
①出典明記
②当総研サイトの「該当ページに、リンク」を貼る。
上記の①②の2つを同時に満たす場合は、
事前許可も事後連絡も不要で、引用できます。
①②を同時に満たせば、引用する
文字数・情報量の制限は、特にありません。
(もっと言いますと、
①②を同時に満したうえで、拡散は歓迎です)
*テレビ局等のメディアの方は、
取材対応での情報提供となりますので、
ご連絡下さい。
*本サイト内の情報は、正確性、完全性、有効性等は、保証されません。本サイトの情報に基づき損害が生じても、当方は一切の責任を負いませんので、あらかじめご承知おきください。
- 取材等のご依頼 ご連絡お待ちしています
- メール: toiawase★s-souken.jp
(★をアットマークに変えて下さい)
電 話: 03-3462-7997
(離席中が続く場合は、メール活用願います)
- チーフ・コンサルタント 松田優幸
- 松田優幸の経歴のページは「概要・経歴」をご覧下さい。