なぜ値上げラッシュ?2021/10月~2022値上げ食品一覧・原因理由|消費者経済総研|2021年11月28日
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 ■最新稿:2021年11月28日 本ページは、修正・加筆等で、 上書き更新されていく場合があります。 ■ご注意 「○○の可能性が考えられる。」というフレーズが続くと、 読みづらくなるので「○○になる。」と簡略化もしています。 断定ではなく可能性の示唆であることを念頭に置いて下さい。 本ページ内容に関しては、自らの責任において対応して下さい。 また「免責事項」をお読みください ■引用 皆さまに、本ページの引用や、 リンク設定などで、広めて頂くことを、歓迎いたします。 引用・転載の注意・条件 をご覧下さい。 |
- ■ 今回は「生活経済」
- 消費者経済総研が、最近投稿した内容は、
「マクロ経済テーマ」が、続いていました。
経済政策、年金問題、負債問題、GDP、短観等です。
今回は、身近な「生活経済」のテーマを解説します。
私たちの暮らしは、どうなってしまうのか?
今回は「生活経済」のテーマなので、
「わかりやすさに」にこだわり、丁寧に解説します。
筆者(松田)は、TV局や新聞社から、
経済テーマの取材を、受けています。
経済担当ではない記者の方は、苦労されています。
社会・情報バラエティーと全般の記者さんだから、
経済テーマでは、苦労されて、いらっしゃいます。
そこで「わかりやすい解説」を、していきます。
今までも「日本で2番目に、わかりやすい解説」を
モットーに、してきました。
今回は「生活経済・私たちの暮らし」テーマなので、
より一層、わかりやすく解説していきます。
例えば、「円安」とは?も、
基本に立ち返り、丁寧に説明します。
- ■2021年度は、値上げラッシュ?
- 2021年度は、値上げラッシュの年度?
値上げが続き、私たちの暮らしを直撃しています。
値上げによる「物価上昇」よりも
「給料上昇」の方が上、なら良いですね。
しかし、日本の給料水準は、低迷状態です。
「給料がUPせず、物価だけUP」だと大変です。
そこで今回号は「生活経済編」として、
私たちの暮らしを直撃する値上げを、解説します。
・「何が値上がり」したのか?
・今後の「値上げ予定」とは?
・値上げは「いつまで続く」のか?
そして、
・値上げ幅は? ステルス値上げは?
・値上がりの「理由」とは?
以上を、解説します。
- ■ 2021年度の「上期」は?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆既に、値上げが、続いている?
2021年度は、既に上期(4月~)にも、
値上げが、続いていました。
▼外食では、
モスバーガー、丸亀製麺、一風堂 など
▼食材・食品は、
小麦、食用油、サンマ缶詰 など
これらが、今年度の4月に、値上げされました。
上記は、消費者経済総研が、
「新年度の値上げ特集」で、取り上げた内容です。
-- 消費者 経済 総研 --
◆値上げの原因 とは? 「上期編」
需要が増えると、値段は上がります。
供給が減ると、値段は上がります。
値段は「需要と供給のバランス」で、決まります。
昨年より今年の方が、コロナは沈静傾向です。
そこで「需要が回復」しています。
一方で、まだ「供給は不足」しています。
なぜ「供給不足・モノ不足」なのでしょうか?
コロナ禍で、各国で出勤制限が、あります。
よって、工場の稼働率が、低いのです。
工場での生産量(供給量)が、少ないのです。
原材料は、品薄なので、値上がりしました。
コストUPを、企業は値上げで、対応します。
これを「コスト プッシュ インフレ」と言います。
上期の具体的な原因を、下記に整理しました。
様々な費用UPや、旺盛な需要があります。
▼コスト要因
・人件費の上昇
・食材の価格の上昇
・包材費の負担増加(テイクアウト増)
・物流費の上昇
▼天候等の要因
・米国:寒波による生育不良の懸念
・南米:天候不順(ラニーニャ現象)での減産懸念
・欧州:雨による作付面積の減少
・日本:サンマの不漁(資源量減少・海水温上昇等)
▼需要要因
・中国やインド等の旺盛な需要
- ■ 2021年度の下期は?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆下期は、どうなる?
前項は「上期の値上げ」でした。
上期の値上げの詳細な解説は、
本ページの下段に、記載しています。
先に上期詳細を見る場合は、下記リンクをどうぞ。
「上期の値上げ 詳細編」
さて、下期(10月~来年3月)は、どうでしょうか?
上期に続き、下期も値上げが、続きます。
下期はさらに、悪材料が加わりました。
それは、「円安の急伸」と「原油高」です。
原油から作られるプラ製品の食品容器も値段UPし
運搬燃料・工場燃料の重油、軽油も上昇しています。
-- 消費者 経済 総研 --
◆上期は、円安は軽微?
企業の値上げ決定の時期は、いつ頃でしょう?
値上げの実行日より、だいぶ前の時期になります。
既述の4月の値上げを、決めた1~2月頃は、
円安の影響は、まだ軽微でした。
下期は、値上げ要因に、円安が加わります。
一層、私たちの暮らしを、圧迫します。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「 円安 → 物価上昇 」の理由とは?
・円安→物価上昇 の理由 とは?
・円安発生の仕組み とは?
これらは、マクロ経済の解説になります。
今回は「生活経済」のテーマなので、
円安の解説は、飛ばします。
「でも円安の解説も知りたい」という方のために、
本ページの下段に、円安解説を掲載してあります。
「円安の解説」へ移動
- ■ 2021年度下期
- -- 消費者 経済 総研 --
◆下期に、値上げしたもの・値上げするもの
▼10月
・スイーツ・和菓子
・コーヒー
・輸入小麦
▼11月
・冷凍食品
・味付メンマ
・食用油
▼12月
・小麦粉(業務用)
-- 消費者 経済 総研 --
◆値上げは、いつまで続く?来年は?
▼2022年 1月
・食パン・菓子パンなど
▼2022年 2月
・パスタ・パスタソース
・冷凍食品(ハンバーグなど)
上記の値上げ一覧は、一部です。
その他は、文字数の関係から、割愛しています。
-- 消費者 経済 総研 --
◆値上げ幅などは?
次項からは、値上げ幅なども含め、
それぞれの品目・商品を、解説していきます。
- ■ 2021年10月の値上げ
- -- 消費者 経済 総研 --
◆10月 牛丼 吉野家
吉野家は、2021年10月29日から値上げしました。
牛丼(並盛)は、
387円 → 426円 (税込)と、10%値上げです。
▼値上げの理由は?
値上げの理由は、下記です。
・昨今の急激な輸入牛肉の価格高騰
・原油高の影響
-- 消費者 経済 総研 --
◆10月 輸入小麦 政府
「輸入小麦」が、また、値上がりしました。
2021年4月に、値上げが、あったばかりでした。
半年後の10月に、再び値上げです。
小麦の輸入では、下記の仕組みになっています。
「政府が購入し、国内の製粉会社等へ売る」
その売り渡し価格が、2021年4月1日に、
「5.5%の値上げ」となりました。
そしてその4月の価格に対して、
10月には、さらに約2割も、値上げです。
1年前からは、約25も%の値上げです。
パンの値段も、どんどん、上がりそうですね。
▼値上げの原因は?
・中国の爆買い
米国・カナダ産小麦への、中国の旺盛な買付け
・トウモロコシが高騰
飼料の「トウモロコシ」も高騰し、
その代わりとして、小麦が買われた
・6月以降の気候変動で品薄
米国・カナダの小麦産地が、高温乾燥で不作
・太平洋の輸送需要が増加→海上運賃が大幅上昇
これらで、国際価格が上昇したことが、原因です。
-- 消費者 経済 総研 --
◆10月 コーヒーの値上げ
味の素AGFや、キーコーヒーは、
2021年10月1日納品分から、値上げしました。
コーヒー製品の店頭価格は、約2割UPです。
コーヒーの「生豆」の国際相場は、
2021年2月から、上昇が続いています。
7月には、7年ぶりの高値を、付けました。
▼コーヒーの高騰の理由は?
◇需要面では?
世界のコーヒー消費量が、拡大し続けました。
今後も、コロナ沈静化→活動再開で、需要UP見込み
◇供給面では?
・昨年 11月から続く降雨不足による天候不順
・今年7月、ブラジルで、27年ぶりの大規模な降霜
(しも が、降りた)
・コロナ禍で発生した海上輸送網の混乱
・2021年1月からの円安傾向
-- 消費者 経済 総研 --
◆10月 スイーツ・和菓子
山崎製パン、フジパンが、
スイーツ・和菓子を、値上げしました。
▼山崎製パン
2021年10月1日の出荷分から、
スイーツ・和菓子の出荷価格を、平均で7%値上げ
▼値上げの理由は?
◇供給面では?
・天候不順で穀物が高騰し、原料(油脂・糖)が高騰
・鳥インフルエンザの拡大で、鶏卵価格が高騰
・電気・ガス・軽油等も上昇
・物流費や人件費も増加
◇需要面では?
・世界的な需要拡大
▼フジパン
フジパンも、スイーツ・和菓子を、値上げしました。
10月1日納品分から、8.4%の値上げです。
値上げの原因は、山崎製パンと、ほぼ同じです。
- ■ 2021年11月の値上げ
- 家庭用の冷凍食品、メンマ、食用油が、値上げです。
-- 消費者 経済 総研 --
◆11月 冷凍食品 ニチレイフーズ
ニチレイフーズが、家庭用の冷凍食品を、
2021/11/1の納品分から、約4~8%値上げです。
▼値上げの理由は?
◇需要面では?
・世界的な食料需要の増加
◇供給面では?
・原材料(特に、油・畜肉原料・小麦粉の急激な高騰)
-- 消費者 経済 総研 --
◆11月 味付メンマなど 桃屋
桃屋が「味付メンマ」等の通販価格を、値上げです。
2021年11月1日から、
味付メンマ100gが、300円 → 313円(税込)です。
▼値上げの原因は?
・原料価格が、国内外の需要拡大により高騰
-- 消費者 経済 総研 --
◆11月 食用油 J-オイルミルズ
J-オイルミルズは、2021年11月1日納品分から、
食用油の価格を、値上げしました。
家庭用の油脂製品は、30円/kg以上の値上げです。
2021年は、なんと、4月、6月、8月、10月と、
頻繁に連続的に、値上げです。
▼値上げの原因 需要面では?
・世界的な大豆への旺盛な需要
▼値上げの原因 供給面では?
・油の原料(大豆・菜種・パーム油)のコスト上昇
・菜種は、カナダの高温少雨で、減産見通し
・パーム油は産地マレーシアがコロナで生産不足
・海上運賃の大幅な上昇
- ■ いつまで続く?来年は?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆1月 ポテトチップス カルビー
カルビーは、2022 年1月24日から
順次、長い期間で、実施していきます。
2月は、ポテトチップス(フレンチサラダ)が値上げ、
3月は、ポテトチップスギザギザ🄬コク深いチキンコンソメ
4月以降は、じゃがいもチップス(花藻塩味)が値上げ
上記のように、値上げが続きます。
▼値上げの理由は?
・高温・干ばつで「北海道ばれいしょ」が減少見通し
・原材料価格が、大幅に上昇
▼値上げと減量は?
値上げ幅は、7~10%程度です。
「ポテトチップス うすしお味」の
(60g)は、値上げです。
「ポテトチップス うすしお味」の
(85g)は、値上げではなく、量を減らします。
価格据え置きで、85g→ 80gと、約6%減ります。
カルビーは、減量の情報を開示しています。
しかし世の中には、知らずのうちに「減量」する
「ステルス値上げ」も、増えそうですね。
- ■ 2022年1月
- -- 消費者 経済 総研 --
◆1月 食パン等 フジパン
フジパンは、食パン、菓子パン、総菜パンなどを、
2022年1月1日の納品分から、値上げ予定です。
「本仕込食パン」などの食パンは、約10%UP(平均)
▼値上げの原因 需要面では?
・原料(小麦粉、油脂類、糖類、レーズン)の世界的な需要拡大
▼値上げの原因 供給面では?
・原料が、産地の天候不順で、大幅に高騰
・鳥インフルエンザの拡大で、鶏卵価格が高騰
・包装資材、物流費・燃料費(軽油)などの高騰
*なお、山崎製パンも、食パン・菓子パンを、
2022年1月1日の出荷分から値上げします。
-- 消費者 経済 総研 --
◆2月 パスタ 日清フーズ
日清フーズは、2022年2月1日の納品分から、
パスタ等を約3~9%、冷凍食品を約4~7%値上げです。
▼値上げの原因 供給面では?
・原料の輸入小麦が、2021年10月1日に値上げ
・デュラム小麦、その他原料、包材費、人件費の上昇
-- 消費者 経済 総研 --
◆2月 ハンバーグ 味の素冷凍食品
味の素冷凍食品は、
2022 年 2 月 1 日の納品分より、値上げします。
「洋食亭Ⓡ」和風ハンバーグなどの
家庭用は、約4~13%UPです。
▼値上げの原因 供給面では?
・原材料費、エネルギー費、包材費等、物流費の上昇
- ■上期の値上げ 詳細編■
- ここから、2021年度「上期の値上げ 詳細編」です。
新年度開始の4月での値上げを、掲載しています。
- ■ ファストフードは?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆モスバーガーは、値上げ?
メイン商品の「モスバーガー」では、
2021年4月1日から、値上げしました。
・イートイン : 377円 → 390円 (13円値上)
・テイクアウト: 370円 → 390円 (20円値上)
※価格は、いずれも税込
2021年4月1日から、
消費税の税込表示が、義務化されました。
これに合わせて、モスバーガーでは、店内飲食も、
持ち帰りも、同じ税込価格に、してしまいます。
イートインでもテイクアウトでも、上記商品では、
同じ税込390円なので、シンプルで良いですね。
さらに、同時に、税込価格つまり実際の支払額を、
1円単位の端数を、廃止しました。
10円単位にすることで、
さらに、わかりやすさを、向上しました。
シンプル is ベストですね。
◇値上げの理由は?
・人件費や食材の高騰など、様々なコストの増加
・コロナ禍でテイクアウトが増え、
無料提供の包材費の負担の増加
これらが、値上げの理由です。
-- 消費者 経済 総研 --
◆丸亀製麺は? 値上げ?
うどん専門チェーン店の「丸亀製麺」では、
どうでしょうか?
かけうどん、ぶっかけうどん、釜玉うどん、
明太釜玉うどん、とろ玉うどん、カレーうどん
以上、いずれも、20円(税込)値上げしました。
※いずれも並サイズ
しかし看板商品の「釜揚げうどん」(並サイズ) は、
3/31まで290円(税込)→4/1から 290円(税込)
と、変更なしです。
◇値上げの理由は?
昨今の外食産業をとりまく厳しい環境と、
人件費高騰が、値上げの理由です。
-- 消費者 経済 総研 --
◆一風堂は? 値上げ? 値下げ?
主力商品のラーメンの白丸元味は、
現行の825円→790円、
赤丸新味は、902円→890円、
極からか麺は、935円→930円 に値下げです。
一方で、下記のように、値上げされました。
替玉:100円→150円、
博多ひとくち餃子:462円→470円、
明太子ごはん:429円→430円、
チャーハン:649円→650円、
ハカタノチカラめし:462円→470円に
◇値上げ・値下げの理由は?
値上げの理由は、
外食産業を取り巻く厳しい環境や、
原材料費や物流費の高騰が理由です。
一方で、今後も一風堂を気軽に利用できるよう、
主要なラーメンについては値下げとなりました。
- ■ 輸入小麦は? 値上げ?
- 輸入小麦は、政府が購入し、
国内製粉会社等へ売る、仕組みになっています。
その売り渡し価格が、2021年4月1日に、
5.5%の値上げとなりました。
パンの値段も、上がっていきそうですね。
◇値上げの原因は?
・米国・カナダ産小麦への、中国の旺盛な買付け
・ロシアの小麦輸出税の引上げ
・2月中旬の米国中央部の寒波による、
小麦生育への影響懸念
これら等で、国際価格が上昇したことが原因です。
- ■ 食用油は? 値上げ?
- -- 消費者 経済 総研 --
◆日清オイリオグループ
日清オイリオグループは家庭用・業務用・加工用の
「食用油」を、4/1納入分から値上げしました。
◇値上げ幅は?
家庭用の食用油は、
1㎏当たり20円以上の値上げとなりました。
◇値上げの原因は?
・原材料の価格上昇
(大豆は6年半ぶり、菜種は8年半ぶり、
パーム油は10年ぶりの高値)
・大豆の高騰の理由は、
米国産の需給逼迫、
天候不順(ラニーニャ現象)を背景とした
南米産の減産懸念、
中国をはじめとする旺盛な需要
・菜種の高騰の理由は、
旺盛な需要に加え、
雨による欧州産の作付面積減少等
・パーム油の高騰の理由は、
生産地の天候不順による減産懸念、
中国・インド等の旺盛な需要等
-- 消費者 経済 総研 --
◆J-オイルミルズ
J-オイルミルズは、2021年4月1日の出荷分から、
業務用の油脂加工の製品を値上げしました。
マーガリン製品は、25円/ kg以上、
ショートニング製品は30円/ kg以上の
値上げをしました。
なお、 家庭用の油脂製品は、
2021年6月1日出荷分から、値上げしました。
値上げ幅は、30円/kg以上です。
値上げ理由は、
日清オイリオグループの理由とほぼ同じです。
- ■ サンマ缶詰は? 値上げ?
- マルハニチロは、2021年4月1日の納品分から、
サンマ缶詰計4品を、値上げしました。
◇値上げ幅は?
1缶あたり30円です。
・さんま蒲焼 100g:230円→260円
・減塩さんま蒲焼N 100g:230円→260円
・さんま塩焼 75g :230円→260円
(値段は、税別)
◇値上げの原因は?
昨年の記録的なサンマの不漁です。
- ■ 円安の解説
- -- 消費者 経済 総研 --
◆2021年は、1月から、円安へ?
2021年のドル円相場は、どう推移したでしょう?
1月は、「1ドル 103円 」でした。
↓
11月は、「1ドル 115円 」です。
1月 103円 → 11月 115円 と、
12円もの円安・ドル高が、進みました。
115円は、4年ぶりの円安水準です。
1ドルを、手に入れるには、
以前は103円だったのが、今は115円になります。
つまり、ドルの入手コストが、UPしました。
よって、ドルの価値が、高まりました。
これが「ドル高」です。
ドルと円とは、裏・表の関係にあります。
ドル高は、円安です。
1ドルが、103円 → 115円 へ変化したことは、
米国視点ではドル高で、日本視点では円安です。
-- 消費者 経済 総研 --
◆「円安」だと、日本の物価が、上がる?
米国の1ドルの商品を、買うには、何円必要?
1月は103円で「米国の1ドル商品」を買えました。
11月では、「115円」を出さないと、
米国の1ドル商品を、買えません。
つまり、輸入品を仕入れるコストが、UPしました。
輸入品のコストUPは、日本の物価上昇になります。
-- 消費者 経済 総研 --
◆円安の理由は、米国の金利上昇?
円・ドルの相場を、決定する主な要素は、
「日米の金利差」です。
国債は、一般個人でも買える金融商品です。
日本の国債(10年)の利回りは、約0.1%です。
米国の国債(10年)の利回りは、約1.5%です。
日本国債を、100万円分を、買っても、
1年の利息は、千円しかもらえません。
米国国債を、100万円分を、買うと、
1年の利息は、1万5千円も、もらえます。
同じ国債を買うなら、米国の国債の方がお得です。
そこで、日本円を米ドルに換えて、
「米国の国債を買う」傾向が、強まります。
「円→ドル に変える」ことは、別の言い方では、
「円を売って、ドルを買う」ということです。
「円を売ってドルを買う」傾向が、高まりました。
円が売られたので、円は安くなります。
つまり、円安です。
2021年1月から急に、ドル高円安になりました。
-- 消費者 経済 総研 --
◆米国の金利UPの理由は、「正常化へ回帰」策?
2020年7月頃は、日米金利差は、0.5%でした。
(米国0.5% - 日本0% = 金利差0.5%)
安倍政権では、
アベノミクス3本の矢を、政策にしました。
3本の矢のうち、第1の矢は「金融緩和策」です。
金融緩和策 = 低金利策 + 量的緩和 です。
景気対策で、「お金を、借りやすく」するために、
金利を下げ、融資用のお金を、増やしておきます。
この金融緩和策は、世界中で実施されています。
「アベノミクス」の言葉が目立ちますが、
日本独自ではないのです。
米国をはじめ、各国で、実施しています。
さて、米国の金利は、次のように、上昇しました。
2020年の底値:8月 0.5%
↓
2021年の高値:3月 1.7%
米国は、コロナ禍の経済危機の
峠は、すでに、超えています。
金利上昇の原因は、テーパリングです。
テーパリングとは、米国の中央銀行(FRB)が、
「超・金融緩和策 → 正常化へ戻す」作業です。
危機の峠を越えたから、正常化へ戻すのです。
テーパリングは、具体的には、下記の流れです。
「FRBが国債等を買う量を、徐々に減らしていく」
▼危機の時に、FRBが国債を買った理由は?
FRBが、国債をたくさん買えば、
その購入代金が、市中に増えていきます。
これが「量的緩和策」です。
また、FRBが、国債をたくさん買えば、
国債が、品薄になります。
国債が品薄になると、国債の価格は上がります。
A:利回り = B:国債の利息の額 ÷ C:国債の売買額
C:国債の額が上がれば、分母が大きくなります。
Cの分母が大きくなれば、A:利回りは下がります。
テーパリングとは、
国債購入の減少→国債購入の終了の流れです。
国債購入の減少で、
市中のマネーの増加ペースが、落ちます。
やがて国債購入が、終了します。
国債購入終了で、市中マネーの増加は終わります。
「マネー増加が終了」することは、
「量的緩和策」が、終了に向かう ということです。
また、国債購入の増加は、
Cの国債の価格が、上がります。
Cの国債の額が上がれば、分母が大さくなります。
Cの分母が大さくなれば、A:利回りは下がります。
今までの金利低下のトレンドが、
テーパリングで、終わります。
テーパリングの後には、
金利引き上げ策が待っています。
つまり、金利相場は、上昇へ向かいます。
こうして米国は、金利が上昇しました。
米国金利は上昇し、日本金利は、ほぼ不変です。
金利が高い国債を買えば、利息も、多くもらえます
高い金利の米国国債を、買う動機がUPしました。
米国国債を買うために、ドルを手に入れます。
よって、米国ドルの需要が、高まりました。
円が売られて、ドルが買われました。
こうして「円安」になりました。
なお、今回の米国金利の上昇は、
テーパリングの実行期より、早めに起きました。
金融マーケットの参加者が、先回りして、
アクションを起こしたと、解釈されます。
- ■ なぜ、金融緩和策をする?
- そもそも、なぜ、金融緩和策を、するのでしょうか?
①金利を下げること
②お金の量を増やすこと
上記の2点を、徹底的にやることが、
「大胆な金融緩和」です。
(ここから「だ。である。調」に、変えます)
①金利を下げると、どうなる?
例え話で解説する(金額などは仮の数値)
自動車メーカーが新しい工場を増設を検討する。
費用は、100億円だ。
100億円を、銀行から借金する。
金利10%なら、1年で10億円の利子を負担する。
金利が1%なら、1年で1億円の利子を、負担する。
金利が低いと、企業は工場を、増設しやすい。
工場が増設されれば、車の生産台数が増える。
その増えたクルマを、海外へ輸出する。
こうして、その企業の売上は、増える。
「売上UP→給料UP」 にもつながる。
金利低下で、景気が良くなるのだ。
-- 消費者 経済 総研 --
②お金の量を増やすと、どうなる?
金利が下がっても、融資する資金が不足だと、
自動車メーカーは、借金できない。
借金できなければ、工場の増設ができない。
そこで「金利を下げる」だけではなく、
「お金の量も増やす」のだ。
「大胆な金融緩和」とは、下記2つだ。
①金利を下げること
→ゼロ金利・マイナス金利策
②お金の量を増やすこと
→量的緩和策
コロナ禍で傷んだ経済を、各国の中央銀行が、
金融緩和策で、対処したのだ。
米国は、テーパリングで、
その対策の出口に向かったのだ。
つまり、金融緩和を縮小し、
低金利→正常金利へ向かい、米国金利は上昇だ。
-- 消費者 経済 総研 --
◆需要サイドは?
前項の自動車メーカーの例え話は、供給サイドだ。
需要サイドでは、どうか?
同じく、例え話で、解説する。
パワーカップルが、1億円の
マンションの購入を、検討している。
住宅ローンの金利が、8%ならば、
1年で、800万円もの金利を、負担する。
金利が0.5%ならば、50万円だ。
1年間で、上記のように、大きな差が出る。
30年間のローンなら、とても大きな差になる。
(経年で、元本が減れば、支払利子の額も減少する)
金利が下がれば、
マンション買おうとする人が、増える。
「金利ダウン → マンション需要はアップ」だ。
マンション売上UP
↓
不動産会社の売上UP
↓
社員の給料UPへ
低金利は、企業だけでなく、消費者も恩恵がある。
消費拡大すれば、景気もUPする。
金融緩和策(低金利策+量的緩和策)すれば、
景気は拡大するのだ。
- ■ 関連ページは?
- 下記のわかりやすい関連ページも、ご覧頂きたい。
- 2つの悪いインフレ
- ◆【悪いインフレとは? 】
日本の物価上昇・値上げラッシュの原因理由
◆【最近の悪い円安とは? 】
円安円高のメリットデメリット,背景要因理由
- 3つ目のインフレ|ウクライナ危機由来インフレ
- ◆【Vol.1直接の影響】ウクライナ情勢の
日本への影響をわかりやすく解説 物価上昇は
◆【Vol.2間接の影響】ウクライナ情勢の
日本への影響を簡単解説 物価上昇は加速?
- 値上げラッシュ|食べ物等の品目別
- ◆【21年上期】4月からの値上げ・値下げとは?|
2021・新年度の日本どうなる?
◆【21年下期】なぜ値上げラッシュ?
値上げ食品一覧・原因理由
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- 【著作者 プロフィール】
- ■松田 優幸 経歴
(消費者経済|チーフ・コンサルタント)
◆1986年 私立 武蔵高校 卒業
◆1991年 慶応大学 経済学部 卒業
*経済学部4年間で、下記を専攻
・マクロ経済学(GDP、失業率、物価、投資、貿易等)
・ミクロ経済学(家計、消費者、企業、生産者、市場)
・労働経済
*経済学科 高山研究室の2年間 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究
◆慶応大学を卒業後、東急不動産(株)、
東急(株)、(株)リテール エステートで勤務
*1991年、東急不動産に新卒入社し、
途中、親会社の東急(株)に、逆出向※
※親会社とは、広義・慣用句での親会社
*2005年、消費・商業・経済のコンサルティング
会社のリテールエステートに移籍
*東急グループでは、
消費経済の最前線である店舗・商業施設等を担当。
各種施設の企画開発・運営、店舗指導、接客等で、
消費の現場の最前線に立つ
*リテールエステートでは、
全国の消費経済の現場を調査・分析。
その数は、受託調査+自主調査で多岐にわたる。
商業コンサルとして、店舗企業・約5000社を、
リサーチ・分析したデータベースも構築
◆25年間の間「個人投資家」としても、活動中
株式の投資家として、
マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替)の分析や
ミクロ経済(企業動向、決算、市場)の分析にも、
注力している。
◆近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、
番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演で活動
◆現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼、(株)リテール エステート リテール事業部長
◆資格は、
ファイナンシャル・プランナーほか
■当総研について
◆研究所概要
*名 称 : 消費者経済総研
*所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者 : 松田優子
*U R L : https://retail-e.com/souken.html
*事業内容: 消費・商業・経済の、
調査・分析・予測のシンクタンク
◆会社概要
「消費者経済総研」は、
株式会社リテールエステート内の研究部署です。
従来の「(株)リテールエステート リテール事業部
消費者経済研究室」を分離・改称し設立
*会社名:株式会社リテールエステート
*所在地:東京都新宿区新宿6-29-20
*代表者:松田優子
*設立 :2000 年(平成12年)
*事業内容:商業・消費・経済のコンサルティング
■松田優幸が登壇のセミナーの様子
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事前許可も事後連絡も不要で、引用できます。
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- チーフ・コンサルタント 松田優幸
- 松田優幸の経歴のページは「概要・経歴」をご覧下さい。