ファクターx日本のコロナ犠牲率が低い理由|消費者経済総研|2020年7月12日
このページの執筆時期は、2020年です ■日本のコロナ 犠牲率(致死率)が、 少ない理由 とは? ファクターX は何か? ■亜種のコロナに感染済みで、免疫獲得した → これが 最も有力 理由はアジアは「IgG先行型」が多いから ■BCG・衛生意識・まじめに自粛・日本モデル → いずれも、根拠薄い 「ウイルス対策」は「最高の経済対策」 新型肺炎から、人々の健康生命を守るため、 コロナ・ウイルス対策は、重要なテーマです。 同時に経済を守るため、ウイルス対策は、同じく重要です。 「ウイルスの制御や制圧」がなされれば、 激しく落ち込んだ「景気はV字回復」でしょう。 つまり「ウイルス対策」は「最高の経済対策」でもあります。 消費と経済の消費者経済総研では、 「経済対策」は、主たるテーマの一つであります。 コロナ問題を、公衆衛生の問題としてのみではなく、 経済問題として連載しています。 そのため、消費者経済総研は、 コロナ関連テーマを、連載で、お届け致しています。 |
■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、 お電話・メールにてご連絡下さい。 ■初稿:2020年6月14日、 最新更新:2020年7月12日(その後、部分更新有り) 本ページは、修正・加筆等で、 上書き更新されていく場合があります。 ■ご注意 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、 自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、 対応して下さい。また「免責事項」をお読みください |
はじめに 新型コロナウイルスに、罹患された患者さま、 被害に遭われた皆さま、影響を受けた皆さま、 またその関係者の皆さまに、 心より、お見舞い申し上げます。 |
- ■今回号のポイント
- ■日本の「ファクターX」は何か?
日本のコロナ犠牲率(致死率)が、少ない理由 とは?
日本は「衛生意識が高く清潔」「まじめに自粛した」
「日本モデルが成功」→ いずれも違う
■BCG説は、根拠薄い。
◆BCG接種国は、百万人あたり犠牲率が、低い?
→ これも違う
犠牲率は、
①欧米371で、
②欧米(BCGあり)370、
③欧米(BCGなし)372
この3つは、ほとんど同じで、
BCGは欧米では関係性が、ない
◆日本株のワクチンなら犠牲率低い?
→ 犠牲率は45で、これも因果関係は薄い
■犠牲率が低いアジア人は、
亜種のコロナに感染済みで、免疫獲得した
→ この「交差免疫」説が、最も有力
◆亜種に感染済み説の根拠は、
アジアでは、「IgG先行型」が多いから
◆日本でも、新型コロナ感染時に、
IgMより、IgGが先に立ち上がるケースが多い
◆新型コロナに未感染だが、亜種に感染済みで、
コロナ系の免疫力を持ったから、IgGが先行
◆「抗体による免疫」が働かなくても、過去感染で
「T細胞による免疫」という別系統が働く
◆2003年のSARS流行などで、亜種コロナを
アジアは経験済みで「交差免疫」が働く
※ 「IgM」 と 「IgG」とは、本ページ下段で、後述
■「交差免疫」との予想が、的中?
後に、「ファクターXは、交差免疫である」ことを、
裏付ける研究論文が、登場した。
ファクターXは「交差免疫」との予想が的中。
その内容は、下記ページでご覧頂きたい。
「予測が当たったかを検証|ファクターX」
■アジア人の人種・遺伝子が、コロナに強い?
→ これも、違う
◆米国内での人種別の調査では、
アジア人の犠牲率は、低くない。
◆英国内での人種別の調査では、
アジア人の犠牲率は、逆に高い。
◆アジア地域に居る人は、犠牲率が低い。
しかし、米英にいるアジア人の犠牲率は、上がる。
◆よって、「人種の差」ではなく、
「地域(場所)の差」である。
■犠牲率が低いアジアの中でも、
差が出る 理由とは ?
◆サーズ(SARS-CoV-1)と、今回の新コロナ
(SARS-CoV-2)は、似たウイルス(80%も同じ)
◆SARS未感染の国は、新コロナ犠牲率が高く、
SARS流行国は、新コロナ犠牲率低い
◆アジア諸国と日本の比較で、日本の犠牲率が高い
→ SARSが上陸しなかったから?
◆SARS発信源の広東省から、
遠ければ遠いほど、新コロナの犠牲率が上がる
■犠牲率のまとめ
◆欧州411、欧米BCG無372、欧米371、
欧米BCG有370、日本株45、アジア5
→BCGよりも、欧州とアジアの地域差が、歴然
■T細胞に注目
◆抗体の保有率は、低い。
しかし、有効T細胞の保有者が多くいる?
■コロナは、想定よりも、脅威ではなかった?
◆アジアの被害は、イタリアの100分の1。
アクセルとブレーキの見直しも検討へ
◆アクセルは、社会活動・経済活動を活発化
することで、ブレーキは、自粛等での感染警戒
◆基礎疾患のある方や高齢者には、
引き続きケアを。一方で、若年等は社会活動を
- ■日本 コロナ犠牲率が少ない理由とは ?
- 新型コロナウイルス(以下:コロナ)の、
日本の犠牲者数が、少ない理由が、見えてきました。
何が原因か?と注目されています。
「ファクターX」は何か?と話題になっています。
なお、新型コロナは、ウイルス名は、
「SARS-CoV-2」で、病名は「covid-19」です。
「死亡者数」を「犠牲者数」、
「百万人あたりの死亡者数(死亡率)」を「犠牲率」
と表現します。
また、「平均」は、特記ない限り「単純平均」
ではなく「加重平均」で計算しています。
*犠牲率の計算と根拠データは下段に記載
◆日本が清潔だから?
百万人あたりの新コロナ犠牲者数は、
イギリス599人、スペイン581人、イタリア559人。
日本は、百万人あたりの犠牲者数は7人※で、
2桁も違います。(※以降、犠牲率7と表記)
新コロナによる日本の犠牲率が、
低い理由は、何でしょうか?
日本人は、マスクを着用し「衛生意識が高い」とか、
日本は「清潔」と、言われます。
また「日本人が、まじめに自粛をした」や
「日本モデルが、成功した」とも言われます。
しかし、アジアの中では、
日本のコロナの犠牲率の「7」は、高い方なのです。
アジアの主要国では、
韓国5、インド5、中国3、台湾0.3、ベトナム0等です。
これらの国の犠牲率は、日本の7より、優れています。
アジア諸国に滞在を経験した人は、
「日本は、衛生水準が大変高い」と言います。
アジア諸国と日本を比較した場合は
「日本が清潔・衛生だから、犠牲率が低い」
とは言えません。
上記の国以外でもアジアは全般的に犠牲率が低く、
日本はアジアの中では犠牲率は高い方です。
では、アジアの犠牲率が低いのは、なぜでしょうか?
- ■ 犠牲率の地域差は、どうか?
- ◆欧州は?
イギリス、スペイン、イタリア等の
欧州のコロナ禍の映像に、ショックを受けました。
欧州の犠牲率はどうでしょうか?
欧州の犠牲率の平均は、411です。※1
◆欧米は?
犠牲率ではなく犠牲者数では、
アメリカが、一番悪い状況です。
上記の欧州に北米(アメリカ+カナダ)を加えた
欧米では、犠牲率は371です。
◆アジアは?
アジアの犠牲率の平均は、5です。※2
欧州とは2ケタ違います。
※注:
ロシアは欧州にもアジアにもまたがることや、
欧州は国の数が多いこと、
イタリア、英国、スペイン等に蔓延していること等から、
欧州は次の西側諸国とした。
また、アジアは、中国南東部を中心に考察することから
次の国とした。(その考察は後述)
*欧州
イタリア、オランダ、ベルギー、ドイツ、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、スウェーデン、スイス、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイルランド、ルクセンブルク、マルタ、アイスランド、アンドラ、モナコ、サンマリノ、バチカン
*アジア
中国 (本土)、シンガポール、香港、台湾、モルディブ、パキスタン、アフガニスタン、日本、バングラデシュ、ブルネイ、スリランカ、ミャンマー、ブータン、カンボジア、ラオス、東ティモール、ネパール、フィリピン、インドネシア、韓国、インド、マレーシア、タイ、マカオ、モンゴル、ベトナム
※1:「411」 =
コロナ犠牲者数166,050人÷人口404,065,600人×百万
※2:「5」 =
コロナ犠牲者数18,923人÷人口4,144,081,403人×百万
※国別の犠牲者数・人口は、下段に記載
- ■ BCG接種国は犠牲率が低い?
- 新コロナの犠牲率の高・低は、
BCGワクチンが関係しているという説があります。
◆BCG集団接種が無いと?
欧米の中には、BCGの集団接種を、
実施していない国があります。
それは、ベルギー、イタリア、オランダ、
アメリカ、カナダの欧米5か国です。
犠牲率は、ベルギー830、イタリア559、オランダ
352、アメリカ341、カナダ208と高いです。
この5各国の犠牲率の平均は、372です。
◆欧米でBCGの有無の差は?
欧米の犠牲率の平均は、371でした。
欧米のBCG集団接種の実施国の犠牲率は370です
※1
一方欧米でBCG集団接種ない国の犠牲率は372。※2
欧米の平均は371で、
BCG無しは372、BCG有りは370で、
3つは、ほとんど同じです。
BCGの有無は、欧米では、関係性が、なさそうです。
※1:370 =
コロナ犠牲者数116,613人÷人口314,879,100人× 百万
※2:372 =
コロナ犠牲者数169,306人÷人口455,662,400人×百万
※国別の犠牲者数・人口は、下段に記載
◆日本株のワクチンが関係?
BCGワクチンは、複数の種類があります。
日本株ワクチンで犠牲率が下がるとの説があります。
日本や、いくつかの国では「Tokyo172」という
日本株のワクチンを採用しています。
「Tokyo172」のBCGワクチン接種の国では、
コロナの犠牲率が低いでしょうか?
ワクチン接種のデータベース※1があります。
筆者(松田)は、国別データを、全部見てみました。
「BCG Strain」※2の欄に「Tokyo172」と
記載された国の犠牲率の平均は、45です。※3
その「Tokyo172」の国のうち、アジアの国の
犠牲率は6で、非アジア国の犠牲率は159です。※4
※1:THE BCG WORLD ATLAS BCG reccommendation only for specific groups
※2:BCG Strain:BCGの株のこと。日本(Tokyo172)の他
ロシア株、デンマーク株等がある
※3:「45」=
コロナ犠牲者数8,998人 ÷ 人口201,400,303人 × 百万
※4:「6」
= 新コロナ犠牲者数923人÷人口150,461,203人× 百万
「159」=
新コロナ犠牲者数8,075人 ÷ 人口50,939,100人 × 百万
台湾・日本をアジアとし、カナダ・クウェート・タジキスタンをアジア以外と分類している。
アジアの範囲は、別掲の理由による。
- ■ やはり、BCGよりも、地域差が大きい?
- ここまでに記載した条件別の犠牲率を並べると、下記の通りです。
欧州 411
欧米BCG無 372
欧米 371
欧米BCG有 370
非アジアTokyo株 159
Tokyo172株 45
アジアTokyo株 6
アジア 5
やはり、欧州とアジアの地域差が、歴然です。
- ■アジア人という人種・遺伝子が、
コロナに強い?→ これも、違う
この項では低被害なのは「アジア地域」なのか?
「アジア人」なのか? を見ていきます。
◆米国では、アジア人の犠牲率は、低くない
米国内での人種別の調査では、
アジア人の犠牲率は、低くないのです。
ニューヨーク市での、百万人あたり犠牲率は、
白人102、アジア人84です。
前項で既述のとおり、
アジア地域での犠牲率は、5でした。
犠牲率の差は、「NY市におけるアジア人」が、
「アジアにおけるアジア人」の17倍です。
( 17倍 ≒ 84 ÷ 5 )
同じアジア人でも、アジアにいるより、
NY市にいる方が、17倍も犠牲率が高くなります。
犠牲率は、イタリアは、アジアの約112倍ですが、
NY市では白人はアジア人の1.2倍です。※1
◆英国では、アジア人の犠牲率は、高い。
上記は米国でしたが、英国では、どうでしょうか。
英国内での民族別の調査では、
アジア人の犠牲率は、高いのです。
「英国公衆衛生庁」(Public Health England)
のレポートからは、
アジア人の死亡率は、白人より高いとされています※2
米国・英国の調査から、犠牲率の高低は
「人種ではなく、場所」と捉えることができます。
※1出典:「covid-19-deaths-race-ethnicity-04082020-1」
(The Official Website of the City of New York
|April 6, 2020)
ニューヨーク市|人種・民族別の10万人当たりの
covid-19症例の年齢調整済み死亡率
白人10.2 アジア人8.4
Age adjusted rate of fatal lab confirmed covid-19 cases per100,000by race/ethnicity group
White 10.2 Asian 8.4
※2 出典:「Disparities in the risk and outcomes of COVID-19」
(PHE:Public Health England:英国公衆衛生庁|June 2020)
COVID-19による死亡率は、黒人およびアジアの
民族グループの人々の間で最も高かった。
Death rates from COVID-19 were highest among people of Black and Asian ethnic groups.
COVID-19による死亡率は、白人と比較して、
黒人とアジアのグループの方が高かった。
Death rates from COVID-19 were higher for Black and Asian ethnic groups when
compared to White ethnic groups.
- ■なぜアジア地域は、犠牲率が低いのか?
- ◆亜種に感染済み説
「BCG説」以外には「亜種のコロナウイルスに、
過去に感染したから」という説があります。
新型コロナウイルス(正式名称:SARS-CoV-2)
の亜種のことを、
「コロナファミリーウイルス」や「SARS-X」
とも言われます。
◆亜種説の根拠(IgG先行型が、多い)
「IgM」抗体が、先に立ち上がり、
次に「IgG」抗体が、立ち上がる
これが、ウイルスに対する、
免疫反応の教科書的な解説です。
IgMは、いわば、第1次偵察隊で、
敵と戦いながら、敵の様子を調べます。
続いて、その敵の状態にマッチする
第2次攻撃隊のIgGが、敵(ウイルス)を攻撃します※1
交戦済みの敵と再会の際は、既に敵を理解している
ので、1次偵察隊IgMは、重要ではありません。
すかさず、攻撃隊のIgGが出撃します。
IgG先行は会敵済み(感染済み)の根拠となります※2
日本人には、新型コロナ感染時に、IgGが
先に立ち上がるパターン(IgG先行型)が多いのです※3
新コロナには未感染だが、
亜種コロナ感染済みで、コロナ系免疫力を持つ
ということです。
※1出典:独立行政法人理化学研究所
免疫システムでは、病原体が体内に侵入すると
病原体に対する特異性が低いIgM抗体が最初に産生され、
病原体の感染や増殖を第一線で防御します。
その後、病原体に対し特異性が高いIgG抗体を産生し、
病原体を完全に撃退します。
※2出典-1:抗体産生のしくみ│研究成果
国立研究開発法人 科学技術振興機構
私たちの体は、1度出会った細菌やウイルスなどの
抗原に再び出会うと、1度目よりも大量の抗体を迅速に
作り出して速やかにその抗原を除去し生体を防御します。
これは、抗原に初めて出会うIgM型ナイーブB細胞よりも
1度目の免疫反応で抗原を記憶したIgG型メモリーB細胞
が素早く反応するためです。(省略箇所あり)
※2出典-2:長崎大学熱帯医学研究所
初感染例では先にIgMが上昇し、ついでIgGが上昇します。
しかし再感染例では最初からIgGが陽性で、
上昇もIgGが先で、遅れてIgMの上昇、となります。
(ツツガムシ症例でのコメントから参考)
※3出典:
下図2枚:サイエンス映像学会第11回大会2020年5月23日
児玉龍彦(東京大学 先端科学技術研究センター リーダー
/東京大学 名誉教授)
- ■亜種のSARS経験説は有力
SARS流行国は、新コロナの犠牲率低い - ◆SARS流行国は?
犠牲率は、アジアは5で、
欧米の371と比べて、少ないです。
アジア圏は、2003年に
サーズ(SARS-CoV-1)が、流行しました。
それを経験したので、新型コロナ(SARS-CoV-2)
への免疫力を、獲得したという説です。
SARSは2002年11月に、中国の広東省で
最初に報告され、流行が発生したと言われます。
アジアで感染数の多い順は中国5327人、
香港1755人、台湾346人、シンガポール238人です
この上位4か国での新コロナの犠牲率の平均は、
「3」※で、アジア平均の「5」より小さいです。
サーズの感染経験で、新コロナの免疫を獲得し、
犠牲率が低いと、考えられます。
※「3」= 4,670人 ÷ 1,470,625,103人 × 百万
◆SARS未感染の国は?
日本でのSARSの感染例は、確認されませんでした。
日本の新コロナの犠牲率は7です。
アジア平均の5より大きいです。
日本以外にSARS感染例がゼロの国は、あります。
それらの国の犠牲率の平均は、6で、
こちらも、アジア平均の5より大きいです。※
※「6」=4,064人÷675,167,900人×百万
SARSの感染例がゼロの国:
パキスタン,バングラデシュ,日本,ミャンマー,アフガニスタン,ネパール,スリランカ,カンボジア,ラオス,東ティモール,ブータン,モルディブ,ブルネイ
◆流行源の広東省からの距離では?
アジアをSARS流行源の広東省に近い順に並べると
東アジア→東南アジア→南アジアの順です。
犠牲率は、
東アジア3.5→東南アジア4.5→南アジア5.5と、
流行源に近いほど犠牲率は低いです。
◆SARSと新コロナの関係は?
上記のように、新コロナの犠牲率は、SARSの
経験国で低く、SARS未経験の国は高いです。
SARS(SARS-CoV-1)に感染し新コロナ(SARS-CoV-2)
の免疫力を獲得した可能性があります。
新コロナウイルス(SARS-CoV-2)と
SARS(SARS-CoV-1)は、ファミリー関係です。
この二つのウイルスの遺伝情報は、
80%も同じで、同じウイルス種とされています。※
亜種のコロナウイルスは、
SARS-CoV-1以外にもあります。
ヒトに感染するコロナウイルスは計7種類で、
動物に感染するコロナウイルスも別途あります。
また認知せず感染した未確認の別の亜種のコロナ
ウイルスの可能性を示唆する意見もあります。
SARS(SARS-CoV-1)をはじめ、亜種コロナウイルス
に暴露し、コロナ系免疫を獲得という事です。
※出典:
ScienceDirect-Analysis of therapeutic targets for SARS-CoV-2
and discovery of potential drugs by computational methods -
ヒト由来のすべてのコロナウイルスの中、SARS-CoV
(80%)は、SARS-CoV-2に最も高いゲノム配列同一性を示しました。
Among all coronaviruses from human, SARS-CoV (80%) exhibited
the highest genome sequence identity to SARS-CoV-2.
- ■「T細胞」に注目
初稿2020年6月14日→2021年4月12日更新 - ◆感染したのに「抗体」がない?
一般的に、ウイルスに感染すると、
そのウイルスに対応する抗体が、できます。
しかし、新コロナ感染者において、抗体反応が
見当たらない人がいる、と言われています。
◆「抗体による免疫力」と
「T細胞による免疫力」の2系統?
単純な言い方をすると、
・「抗体 」 は、敵であるウイルスを攻撃します。
(液性免疫という)
・「T細胞」はウイルスに感染した細胞を破壊します
(細胞性免疫という)
◆抗体がなくても、T細胞が、働く
そこで、スウェーデンの
「カロリンスカ研究所」の論文に注目です。※1
無症状・軽度の新コロナの患者の大半が、
抗体が無いにもかかわらず、高機能の
耐久性「メモリーT細胞」の反応を示したのです。
「T細胞」の活性化は、急性の新コロナでの
特徴であることが、わかりました。
新コロナに対応するT細胞が、
回復期に、機能を獲得したのです。
抗体がない人でも、感染から数ヵ月後に「T細胞」
の反応を示し、免疫保有の可能性があります。
「抗体による免疫力」と「T細胞による免疫力」
の2系統があるのでは、と考えています。
スウェーデンでは、抗体の保有率が
6~7%程度とされています(初稿2020年6月時点)
その倍くらいの人々に、
「T細胞による免疫力保有」の可能性が、あります。
このスウェーデンの研究以外でも、
「T細胞による免疫力の保有者」が、
2~6割くらい存在との研究もあります。※2
※1出典:Robust T cell immunity in convalescent individuals with asymptomatic or mild COVID-19
(Karolinska COVID-19 Study Group)
「カロリンスカ研究所」の論文
※2出典:自民党・新型コロナウイルス感染症対策本部
*T細胞は、ウイルス未感染の健常人の40-60 %に
認められ、市中の風邪コロナウイルスとSARS CoV-2
の間で交差反応するT細胞の認識が示された。
[Cell, 181, 7, 1489 1501.e15, June 25, 2020 ]
*SARA CoV 2 に暴露されていない健常人対照者の
10人中 2人で、低いレベルの SARS CoV 2に反応する
T 細胞を認め、“風邪コロナウイルス”の過去の感染
による交差反応と考えられた。
[Science Immunol, 5, 48, eabd2071, June 26
(first release), 2020 ]
- ■ 抗体以外の免疫システム とは ?
◆抗体検査が陰性でも、免疫力ある?
上記で、免疫には「抗体」と「T細胞」の
2系統があるという話をしました。
これは、ウイルスに感染したことで獲得した免疫
なので「獲得免疫」といいます。
「獲得免疫」のほかに「自然免疫」があります。
自然免疫は、ウイルス感染とは関係なく、
もともと人体に備わっている免疫力です。
いわば、「自然免疫」は、
入り口に立っている「警備員」のような役割です。
入り口の警備員である自然免疫で、ウイルスに
対処し、感染せず終わる場合があるのです。
この場合「ウイルスに暴露したが感染しなかった」
という言い方が、されます。
自然免疫で、防御できない場合に、次に、
攻撃隊である獲得免疫(抗体やT細胞)が戦います。
- ■ 集団免疫
- ◆抗体の保有率が低いのは?
抗体検査で陽性率が低いことに関して、
下記が言われています。
① 自然免疫やT細胞が、戦っていて、
抗体が出動していないので、抗体値が上がらない。
② 感染後、月日の経過とともに、
抗体の値が下がり、検出限界未満になる。
②でも、再感染したら、休んでいた抗体が、
活動を再開するので、免疫力があると言われます。
よって「調査結果では、抗体の保有率が低いから
"集団免疫" には程遠い」とは言い切れません。
抗体の保有率が低くても、
「自然免疫」で勝てる人 + 「T細胞」で勝てる人
が、それ以上にいる、という可能性があります。
自然免疫+抗体+T細胞の3系統で、多くの人が、
既に、免疫力を持っている可能性があります。
免疫力を持っている人が、
大半(65%など)になれば、収束に向かいます。
これを「集団免疫」と言います。
※関連テーマの下記↓ページもご覧下さい。
「コロナいつまで・いつ終わる?|収束予想は2021年11月」
- ■アフターコロナに向けたウイズコロナ
- ◆アジアの被害は、欧州の100分の1程度
イタリアの医療崩壊の映像に、衝撃を覚えました。
日本もこの姿になるかと、心配されました。
しかしアジアは、イタリアのようにならず、
アジアの犠牲率はイタリアの100分の1未満です。
基礎疾患のある方や高齢者には、
引き続き、注意をしながらの生活になるでしょう。
これらの比較的リスクが高い方々へのケアを、
大切にすべきです。
一方で若年層を中心に、社会活動を2019年型へ
戻していく検討も必要だと思われます。
つまり、アクセルとブレーキのバランスの
見直しも、検討対象だと思います。
アクセルは、社会・経済活動を活発化することで、
ブレーキは、自粛等での感染警戒です。
※このページの執筆時期は、2020年です
- ■犠牲率の根拠数値
地域/死亡数/人口/犠牲率(百万人あたり)
◆SARS流行国
アジア/中国 (本土)/4,634人/1,433,783,700人/3
アジア/シンガポール/25人/5,804,300人/4
アジア/香港/4人/7,436,200人/1
アジア/台湾/7人/23,600,903人/0.3*T
◆SARS感染国
アジア/フィリピン/994人/108,116,600人/9
アジア/インドネシア/1,801人/270,625,600人/7
アジア/韓国/273人/51,225,300人/5
アジア/インド/6,946人/1,366,417,800人/5
アジア/マレーシア/117人/31,949,800人/4
アジア/タイ/58人/69,625,600人/1
アジア/マカオ/0人/640,400人/0
アジア/モンゴル/0人/3,225,200人/0
アジア/ベトナム/0人/96,462,100人/0
◆SARSなし
アジア/モルディブ/8人/531,000人/15
アジア/パキスタン/1,935人/216,565,300人/9
アジア/アフガニスタン/327人/38,041,800人/9
アジア/日本/916人/126,860,300人/7*T
アジア/バングラデシュ/846人/163,046,200人/5
アジア/ブルネイ/2人/433,300人/5
アジア/スリランカ/11人/21,323,700人/1
アジア/ミャンマー/6人/54,045,400人/0
アジア/ブータン/0人/763,100人/0
アジア/カンボジア/0人/16,486,500人/0
アジア/ラオス/0人/7,169,500人/0
アジア/東ティモール/0人/1,293,100人/0
アジア/ネパール/13人/28,608,700人/
◆欧州BCG集団接種あり
欧州/サンマリノ/42人/33,900人/1,239
欧州/アンドラ/51人/77,100人/661
欧州/イギリス/40,465人/67,530,200人/599
欧州/スペイン/27,135人/46,736,800人/581
欧州/スウェーデン/4,656人/10,036,400人/464
欧州/フランス/29,142人/65,129,700人/447
欧州/アイルランド/1,678人/4,882,500人/344
欧州/スイス/1,921人/8,591,400人/224
欧州/ルクセンブルク/110人/615,700人/179
欧州/ポルトガル/1,474人/10,226,200人/144
欧州/ドイツ/8,769人/83,517,000人/105
欧州/モナコ/4人/39,000人/103
欧州/デンマーク/587人/5,771,900人/102
欧州/フィンランド/322人/5,532,200人/58
欧州/ノルウェー/238人/5,378,900人/44
欧州/アイスランド/10人/339,000人/29
欧州/マルタ/9人/440,400人/20
欧州/バチカン/0人/800人/0
◆欧米BCG集団接種なし
欧州/ベルギー/9,580人/11,539,300人/830
欧州/イタリア/33,846人/60,550,100人/559
欧州/オランダ/6,011人/17,097,100人/352
北米/アメリカ合衆国/112,096人/329,064,900人/341
北米/カナダ/7,773人/37,411,000人/208*T
◆Tokyo172採用(下記以外に *T)
クウェート/254人/4,207,100人/60
タジキスタン/48人/9,321,000人/5
※出典:2020年6月7日時点
国・地域毎の2019年コロナウイルス感染症流行状況 – Wikipedia
国の人口順リスト – Wikipedia
- おわりに
あらためて、新型コロナウイルスに、
罹患された患者さま、被害に遭われた皆さま、
影響を受けられた皆さま、またその関係者の皆さま
に、心より、お見舞い申し上げます。
- 【筆者プロフィール】
- 松田優幸が登壇のセミナーの様子
- 【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】
*1986年
私立 武蔵高校 卒業
*1987年
慶応大学 経済学部 入学
経済学部で、
・マクロ経済学(GDP・失業率・インフレーション・投資・貿易収支等)
・ミクロ経済学(家計・消費者、企業・生産者、取引市場等)・労働経済学を専攻
経済学科「高山研究室」にて、貿易経済学・環境経済学を研究
*1991年
慶応大学 卒業 東急不動産(株) 入社
*1997年
親会社の東急電鉄(株)へ逆出向
消費の現場である商業施設と街づくりの計画担当
*2000年
東急不動産 復職
各種の商業施設の企画開発・運営、接客等で消費の現場の最前線に立つ。
*2005年
東急不動産から、消費・商業・経済のコンサルティングをおこなう
株式会社 リテール エステートへ移籍し14年間、
全国の消費の現場を視察・調査。その数は多岐にわたる。
*現 在
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼 リテール エステート リテール事業部長
*資 格
・ファイナンシャル・プランナー
・宅地建物取引士資格者
・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで)
・簿記3級
【消費者経済総研について】
■研究所概要
名称 : 消費者経済総研
所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
事業内容: 消費・商業・経済の、調査・分析・予測のシンクタンク - 【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】
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- チーフ・コンサルタント 松田優幸
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