コロナショック経済損失・影響試算|GDPマイナス4.8%、27兆円喪失|2020年4月5日

■コロナ・ショックの影響による経済損失額の試算結果を「消費者経済総研」が発表

■GDPは、成長率マイナス4.8%、27兆円の喪失の経済危機

■なおリーマンショックでは、GDP成長率マイナス6.0%、32兆円喪失

■コロナ経済崩壊を防ぐ経済対策マネーの注入も、活動自粛で効き目が弱い



~ウイルス対策は「最大の経済対策」でもある~

新型肺炎から、人々を、守るため、コロナ・ウイルス対策は、重要なテーマです。
同時に、経済を守るため、ウイルス対策は、同じく重要です。

「ウイルスの制御や制圧」がなされれば、激しく落ち込んだ景気は「V字回復」でしょう。
つまり「ウイルス対策」は、「最高の景気対策」でもあります。

消費と経済の消費者経済総研では、「経済対策」は、主たるテーマの一つであります。
コロナ問題を、公衆衛生の問題としてのみではなく、経済問題として連載していきます。


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初稿:2020年4月5日 : 本ページは、修正・加筆等で、上書き更新されていく場合があります。

ご注意
このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、
対応して下さい。また「免責事項」をお読みください
はじめに

新型コロナウイルスに、罹患された患者さま、
被害に遭われた皆さま、影響を受けられた皆さま、
またその関係者の皆さまに、心より、お見舞い申し上げます。
今回号のポイント
コロナ・ショックの影響による経済損失額の試算結果を「消費者経済総研」が発表

GDPは、成長率マイナス4.8%で、年間27兆円もの喪失の影響

リーマン・ショックでは、GDP成長率はマイナス6.0%で、年間32兆円喪失

リーマン・ショックは金融危機であり、金融緩和・財政出動等の政策で対処が効く

コロナ・ショックは、マネーを注入しても、消費活動の自粛で、効き目が弱い

IMFの専務理事は「リーマン・ショックの時より、はるかに悪い」と発言した

株式市場は、更なる長期化リスクや蔓延リスクを、まだ織り込んでない可能性あり

一方、高温多湿の夏期で、感染減少の期待もあり、リスクが下がる可能性もあり

ショック発生から1か月間の株式市場の動向から、GDP下落の率・額を、試算

「日経平均株価」と「名目GDP」の相関係数は「0.91」で高度の相関関係

1つの機関による多項目の積上げ試算でなく、数十万~数千万の市場参加者で予測


経済損失額の試算|GDP:成長率マイナス4.8%、27兆円 喪失
コロナ・ショックによる経済損失額を、消費者経済総研が、試算しました。

GDPは、成長率がマイナス転じ、マイナス4.8%です。
額としては、年間で、27兆円もの経済損失となりました。※

リーマン・ショックでは、どうだったか?
リーマン・ショックでは、GDP成長率はマイナス6.0%に落ち込み、32兆円も喪失しました※

※コロナ・ショックもリーマン・ショックも、ショック前の12か月間の名目GDPとショックの後の
12か月間の名目GDPとの比較で算出。詳細は、下段記載の「計算根拠」の項目を参照下さい。


 リーマン・ショックの際には、金融緩和、財政出動などの対策で対処が効く
リーマン・ショックでは、米国のサブプライム住宅ローンの不良債権化から始まりました。
信用不安で金融機関の破綻が起きました。いわば金融バブルの崩壊です。

金融と経済が傷んだので、中央銀行の金融緩和や、政府からの財政出動で対処されました。
つまりマネーの注入で、解決へ向かうことが、できたのです。

コロナ・ショックは、マネーを注入しても、効き目が弱い。
急落した消費経済に効くか?

激しく落ち込んだ消費の喚起が期待されています。GDPの内訳では6割が個人消費です。
消費が喚起されれば、景気回復へのエンジンになります。

しかし、外食・イベント・観光・ショッピング等は、自粛要請により、活性化されません。
政府の経済対策で、消費活動を拡大と考えても、消費拡大にならないのです。

人が移動し会話することは、感染の原因となるので、新たなビジネスの商談も、進みません。
日本と海外との貿易も、大幅に減少し、資材不足からも、企業の生産水準は、低下しています。

こうして、ヒト・モノが動かないので、マネーを注入しても、効き目は弱くなります。

コロナ・ショック後の約1か月の株式市場は、リーマン・ショックほどは、下落していません。
しかし、今後、リーマン・ショックを超えていく可能性は、あり得ます。

「ヒト・モノが動かない」「経済対策が効きにくい」「長期化の懸念」
これらを、株価は、まだ織り込んでいない、かもしれません。

金融緩和は、余地が少ない。財政出動へ注目

日本では、金融緩和は、既に異次元規模で、長年にわたり実施されてきました。
金融緩和での政策余地が、あまり残っていないことは、懸念事項です。

「金融緩和策+財政出動策」の2本柱ではなく、「財政出動」が中心にならざるを得ません。
両方実施できたリーマン・ショックの時より、コロナ・ショックの方が、処方箋は少ないのです。


IMFは「リーマン・ショックの時より、はるかに悪い」と表明。

・コロナ・ショック試算は、GDP成長率は、マイナス4.8%
・リーマン・ショックでは、GDP成長率は、マイナス6.0%

コロナ・ショック試算は、株式市場参加者の予測を、反映したものです。
市場参加者は、数十万人~数千万人という数です。

既述の通り、長期化などの更なるリスクを、市場は織り込んでいない可能性が、あります。

IMFの専務理事は、2020/4/3に「リーマン・ショックの時より、はるかに悪い」と述ました。

リーマン・ショックは、金融危機でした。
金融や経済を、金額・数値として把握し、対策では、金額で制御することができました。

しかしコロナ・ショックでは、新型コロナウイルスという制御が難しい新たな敵が相手です。
今後の蔓延レベルや、どのくらい長期化するか等、予測は難しいのです。
よって、更なる下振れリスクは、残ります。


高温・多湿化で、感染減少?
更なる下振れリスクの懸念がある一方で、改善のシナリオも、あります。
高温多湿の「夏季」には、感染減少するという期待も、されています。

しかし、2020/3/6に、WHOの担当官は、コロナの終息時期について、次のように述べました。

 「夏季に、インフルエンザのように、消えるだろうという観測は、間違っている。
  そうなる証拠は、今のところ存在しない。まだわかっていないのだ。」


2020/3/25に、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、次のように述べています。

 「感染拡大が、夏季に終息する可能性は、低い。
  シンガポールのような高温多湿の地域でも、ウイルスの活動が、弱まらないからである。」


GDP試算の内容 とは ?
単一の機関での予測ではなく、多数の市場参加者の予測

既に、様々な研究所等から、コロナウイルスによる経済へ影響の試算が、出されています。
本項では、1つ機関としての当総研の予測ではなく、多数者の予測を、基礎としています。

株価は、半年~1年後を表す、と言われます。
日本の株式市場でも、数十万~数千万人の主体が売買していると考えられます。※
 
 (※日本での株式投資経験者は推定約2000万人。証券会社の口座数や各種アンケート調査から)

株式市場参加者は、今後半年~1年後等の予測を、各自が判断した上で売買をしているでしょう。
つまり、株価は、多数の予測者の集計値であるとも言えます。

積算方式では?

また、多変量・多項目を積み上げる「積算方式」では、誤差が生じやすくなります。

例えば、訪日外国人の減少数の予測、訪日外国人の宿泊代金の減少、外食費の減少、娯楽費の減少。また、国内出張者数の減少、それに伴う、宿泊費用の減少・・・多岐にわたります。

仮に、例えば、国内出張が半減すると、想定したとします。
宿泊費も半減するかといえば、そうではありません。

ホテルの需要が減っているので、ホテル事業者が、宿泊費を値下げする事も想定されます。
よって、宿泊費は、単純に半減ではありません。

また、出張に伴う外食費も、半減するかといえば、それも違います。
リスクが高い外食を控え、客室内でコンビニで購入の総菜・弁当で済ませる率が、上がります。

こうして係数・変数の設定は、多岐にわたります。
また、係数・変数の設定には、根拠が薄かったり、根拠が設定できなかったりします。

また、予測過程では、計算は多数の項目にまたがりますが、項目漏れの懸念もあります。

消費者経済総研の試算方法の特徴

1つの研究機関ではなく、数十万~数千万の市場参加者の予測を、基礎としています。
予測者が単一者ではなく、多数者の予測を基礎とするので、精度が高まります。

多項目「積算方式」では、項目漏れが生じやすく、係数等の設定根拠が薄い・無いとなります。
よって、消費者経済総研の試算では、積算方式ではなく、株価からの推定を採用しました。

株価・GDPは、高度の相関関係

下記の期間での、日経平均株価と、名目GDPの相関係数は、0.91です。


「相関係数」は、「ゼロから、1まで」の値で、表されます。
全く相関がないが、「ゼロ」です。 完全に相関するのが「1」です。

一般に、「相関係数」は、下記が目安とされます。
 * 0.7~1.0 → 強い相関がある
 * 0.4~0.7 → 相関あり
 * 0.2~0.4 → 弱いが相関あり
 * 0 ~0.2 → ほぼ相関なし

上記期間の日経平均株価と名目GDPの相関係数は0.91です。高度の相関関係にあります。


計算根拠
リーマン・ショックと震災ショックの2事例から、コロナ・ショック(CS)での影響を推定した。

2事例における「株価下落率」と「GDP下落率」の比率から「指数」を求めた。
その「指数」と「CSの株価下落率」から、「CSのGDP下落率」を求めた。

ショック発生の直前取引日から約1か月間の株式市場動向を基にGDP下落の率・額を試算。
※1か月間はそれぞれ19日間の取引日とした。

■日経平均株価 下落率(株価は終値)

◆リーマン・ショック
2008.09.12:12,214.76円 → 2008.10.10:8,276.43円 下落率-32.2%

◆東日本大震災
2011.03.10:10,434.38円 → 2011.04.06:9,584.37円 下落率-8.1%

◆コロナ・ショック(以下「CS」)
株価急落の2020/2/25をショック日とした。
2020/2/21:23,386.74円 → 2020/3/19:16,552.83 円 下落率-29.2%

■下落率補正
日銀のETF買入はリーマン・ショック時では実施がなかったが、
東日本大震災とコロナ・ショックの後には、買入がある。
日銀ETF買入は株価の下支え効果がありその貢献分を除却した。

◆日銀買入額
*CS:2020/2/22~2020/3/19でのETF(1)+(2):12,248億円
*震災:2011.03.11~2011.04.06でのETF:886億円

※補正指数(出典:独立行政法人経済産業研究所)
*当初:日銀が日経平均ETFを100億円買入れ→日経平均銘柄は平均的に0.055% 貢献
*2016年9月以降: 100億円買入れで0.020%貢献

*CS:12,248億円÷100億円=122.48 122.48×0.02%=2.45%
16,552.83円(2020/3/19)× (100%-2.45%)=16,147円
(16,147円÷23,386.74円)-1=-30.96%

*震災:886÷100=8.86 8.86×0.055%=0.49%
9,584.37(2011.04.06)×(100%-0.49%)=9538円
(9538円÷10434.38円)-1=-8.59%

*CS:補正前 -29.22% → 補正後 -30.96%(補正指数0.020%)
*震災:補正前 - 8.15% → 補正後  -8.59%(補正指数0.055%)

※買入れ額 出典:指数連動型上場投資信託受益権(ETF)(中略)の買入結果(日本銀行)

■GDP下落額・下落率

 ※金額単位:十億円
 ※出典:内閣府 国内総生産 名目 原系列 

◆リーマン・ショック(以下LS)
2008年9月15日に米国Lehman Brothers Holdings Inc.が経営破綻

*LS前の12か月
2007年10-12月期138,754 2008年1-3月期130,947
2008年4-6月期129,712 2008年7- 9月期 126,389
→2007年10月~2008年9月の合計525,801(ショック前12か月)

*2008/9/15にLS発生。比較対象のGDPは、前が2008年の9/30まで、後が10/1以降

*LS後の12か月
2008年10-12月期133,668 2009年1- 3月期119,713
2009年4- 6月期121,353 2009年7- 9月期119,512
→2008年10月~2009年9月の合計494,246(LS後12か月)

494,246(LS後12か月)-525,801(LS前12か月)=-31,555→約32兆円
494,246(後) ÷ 525,801(前) = 94.00% → マイナス6.00%

◆震災ショック
*震災前の12か月
2010年4-6月期123,409 2010年7-9月期124,113
2010年10-12月期130,663 2011年1-3月期121,244
→2010年4月~2011年3月の合計499,429(ショック前12か月)

*2011年3月11日に震災発生
比較対象のGDPは、震災前が2011年の3/31まで、後が4/1以降

*震災後の12か月
2011年4- 6.月期119,748 2011年7- 9.月期121,519
2011年10-12月期128,897 2012年1- 3月期123,878
2011年4月~2012年3月の合計494,042(震災後12か月)

494,042(震災後12か月)- 499,429(震災前12か月)= -5,387
494,042(後)÷ 499,429(前) = 98.92% → マイナス1.08%

■コロナ・ショックでの下落を算出

事象/補正後株価下落率(A)/GDP下落率(B)/指数(B÷A)

◆LS/-32.24%/-6.00%/0.19
◆震災/-8.59%/-1.08%/0.13
→指数Ave:0.156

◆CS
補正後株価下落率(A)/GDP下落率(B)/指数(B÷A)
-30.96%/B/0.156 → B=-4.82%
553,962※×-4.82%=-26,720十億円→約27兆円

※GDP統計の既発表分は2019年12月分までのため、2019年1~12月期を採用


おわりに

あらためて、新型コロナウイルスに、罹患された患者さま、被害に遭われた皆さま、
影響を受けられた皆さま、またその関係者の皆さまに、心より、お見舞い申し上げます。

【筆者プロフィール】
松田優幸が登壇のセミナーの様子
【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】

*1986年
私立 武蔵高校 卒業

*1987年
慶應義塾大学 経済学部 入学

経済学部で、
・マクロ経済学(GDP・失業率・インフレーション・投資・貿易収支等)
・ミクロ経済学(家計・消費者、企業・生産者、取引市場等)・労働経済学を専攻
 経済学科「高山研究室」にて、貿易経済学・環境経済学を研究

*1991年
慶應義塾大学 卒業  東急不動産(株) 入社

*1997年
親会社の東急電鉄(株)へ逆出向
消費の現場である商業施設と街づくりの計画担当

*2000年
東急不動産(株) 復職
各種の商業施設の企画開発・運営、接客等で消費の現場の最前線に立つ。

*2005年
東急不動産株式会社から、消費・商業・経済のコンサルティングをおこなう
株式会社 リテール エステートへ移籍し14年間、

全国の消費の現場を視察・調査。その数は多岐にわたる。

*現 在
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼 リテール エステート リテール事業部長 (52歳)

*資 格
 ・ファイナンシャル・プランナー
 ・宅地建物取引士資格者
 ・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで)
 ・簿記3級


【消費者経済総研について】

■研究所概要
名称  : 消費者経済総研
所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
事業内容: 平成・令和時代における消費者経済の調査・分析・予測のシンクタンク
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チーフ・コンサルタント 松田優幸   経歴のページはこちら