消費税の減税・廃止の効果は?|消費税・経済の専門家 評論家が、わかりやすく解説|2020年5月29日
◆コロナ経済対策で消費税の「減税又は廃止」の効果は? ◆消費税・経済の専門家 評論家が、わかりやすく簡単解説 ◆過去の消費増税では、景気へ悪影響で不況の原因にも ◆消費税の使い道は社会保障等なので、減税できない? ◆社会保障の財源は、国債増発(国の借金)に変更でもよい。 |
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- ■東京新聞に掲載 2020年6月30日
準全国紙の 東京新聞(2020年6月30日)から、筆者(松田)が、取材を受け、
消費税の減税に関する内容が掲載されました。
- ■今回号のポイント
- ◆コロナ経済対策の「真水」部分は、62兆円程度。
◆コロナ経済対策で、消費税を「減税又はゼロ税率」にした場合の効果は?
◆過去の増税での消費者への影響を振り返る(1997年3→5%、2014年5→8%)
◆消費支出の過去グラフを見れば、一目瞭然。増税で、大きな経済ダメージとなった
◆消費税の使い道は、社会保障等で決定済みなので、減税できないと、政府は言う
◆コロナ・ショックにおいて、消費税の減税・廃止は、生活支援策・経済刺激策の両方になる
◆社会保障の財源は、国債増発(国の借金)に変更でもよい。場合によっては通貨増発も
- ■ コロナ対策の額は不足 国債増発へ
- ◆コロナ経済対策 234兆円 の中身とは?
政府はコロナ・ショックへの経済対策として、234兆円の規模で、予算編成しました。
しかし、234兆円には、税金・社会保険料の納付猶予の金額等までも、含んでいます。
貸し付け金の額も、含んでいます。貸付金は、給付(もらえる)ではなく、返済するものです。
税金や社会保険料の納付猶予も、免除(払わなくて良い)では、ありません。
◆コロナ経済対策の「真水」部分は、62兆円程度。
コロナ経済対策の「真水」※部分は、234兆円のうち、62兆円弱程度です。
なお、リーマン・ショックでの、経済対策の真水分は、32兆円でした。
※「真水」とは、政府が支出する金額。支出であって、貸付けや猶予等の額は、含まない。
経済対策では「事業規模〇兆円、うち真水部分●兆円」などと、表現する。
◆コロナ経済対策で、58兆円を、国債発行で調達
コロナ経済対策の今年度の補正予算額は、57兆6028億円となりました。
その全額を、国債発行で調達します。国債発行なので、新たな国の借金が追加発生します。
つまり国の借金が、新たに、約58兆円が、増えることにまります。
◆58兆円も国の借金が増加。しかし問題ではない。
58兆円もの借金が、さらに増加することを、問題視する意見がありますが、問題ではありません。
※上記までの詳細は、過去号
「国の借金さらなる増加も問題ない|その理由とは?|政府と日銀」を参照
◆そもそも、借金大国ではなく、借金の優等生
そもそも、元から、日本は、借金大国ではありません。
借金大国どころか、日本は、借金の優等生です。
※詳細は、2020/3/22の「過去号」
「日本は借金大国では無いと判明|その根拠とは?|IMF報告でG7比較」を参照
◆借金の増加は、どこまでokか?
いままで優等生であっても、さらに借金が増えると、優等生ではなくなる、かもしれません。
しかし、それでも問題ないのです。
では、借金は、どこまで増やしても、大丈夫なのでしょうか? その上限とは?
※詳細は、2020/4/12の「過去号」
「(続編2) 国の借金増加は問題なし|その理由とは?|MMT理論」を参照
- ■ 過去の増税で、消費者へのダメージとは?
- 過去の消費税の増税では、どうなったでしょうか?
1997年4月(3→5%)、2014年4月(5→8%)の2回とも、消費支出が、落ち込みました。※出典:内閣府 実質 原系列 民間最終消費支出 ※年は暦年ではなく年度
- ■ 増税するたびに、下落と減速のダメージ?
上のグラフを、見て下さい。
5%消費増税ショック、リーマンショック、8%消費増税ショックの、3つに、注目します。
それぞれのショックの前まで、拡大していた消費支出は、下落に転じます。
5%へ増税の前までの伸び率と、リーマン・ショック前までの伸び率の2つで、比較します。
赤い➡と、黄色い➡では、後者の方が、伸び率が、低くなってしまいました。
続いて、リーマン・ショック前までの伸び率と、8%へ増税の後の伸び率で比較してみます。
黄色い➡と青い➡では、後者の伸び率の方が、低くなっています。
下記グラフは、その「3つの傾き」を、比較したものです。
消費税を増税するたびに、下落です。反転上昇しても、消費者へ重しが乗っかり、減速します。
2つ前のグラフの黄色➡は、リーマン・ショック前までですが、2013年度まで伸ばしてみます。
それが、下記のグラフです。
この伸ばした黄色の➡で、わかることは、次のことです。
リーマン・ショックで、消費が落ち込んでも、復活しました。そして元の伸び率に戻ったのです。
リーマン・ショックは、一時的なショックですが、消費増税では、毎年毎年、重しが継続します。
- ■ アベノミクス効果も、台無し
- 2012年から、第2次・安倍政権が、始まりました。
下のグラフの緑の➡の右側・濃い方が、アベノミクス効果です。伸び率はアップしています。
しかし2014年の消費増税で、急落してしまいました。アベノミクスも、消費増税で台無しです。
- ■ 2019年10月の増税(8→10%)では、どうなのか?
- 10%へ増税後のデータは、まだ2019年3Q(10-12月期)の1つしか、ありません。
よって、短期の傾向しか見れませんが、前年3Q(10-12月期)と比較した減少を下図に記載です。
- ■ 消費税を減税すると、どうなる?
- 消費税は、1989年に導入されてから、3回、増税されました。
増税するたびに、消費支出は、下落し、その後は減速が継続しました。
消費税の「減税」については、実施したことが無いので、減税した場合の効果は、不明です。
しかし、増税後の消費支出のグラフは、かなり線形性※が見られます。
※線形性とは、変数と変数の関係が直線的であること。
その線形性から、減税したら、上図の紫矢印のように、消費が戻ることは、十分考えられます。
また、コロナ・ショックで、国民の生活経済には、大きな影響が、出ています。
生活経済支援の対策として、1人あたり10万円の現金給付が、支給されます。
◆現金給付と、消費税の減税 との比較は?
1世帯で年間400万円を消費支出するとします。400万円×10%=40万円の消費税の負担です。
消費税をゼロにすれば、1世帯あたり、年間40万円の救済となります。
※消費税が、非課税又は軽減税率が適用される取引もあるが、ここでは全て10%課税とした
緊急にお金が必要な人には、別途、緊急支援で手当てします。
様々あるコロナ支援策は、複雑で煩雑です。時間もかかります。
消費税ゼロ税率なら、消費者の手間は、大きく軽減するでしょう。
自民党の有志は、コロナ・ショック対策として、消費税減税を求める緊急声明を、出しました。
一方政府は、消費税収を、年金、医療・介護、子供・子育て、教育無償に充てる経緯から消極的です。
これら社会保障の予算は、消費税ではなく、国債増発によって、まかなえば、良いのです。
消費税の年間税収は、22兆円程度です。
消費税をゼロにし、22兆円を、国債増発で調達するのは、検討の価値があります。
消費税の減税は、コロナ・ショックでの生活支援策になります。
GDPの約6割が個人消費です。消費税の減税は、同時に、経済刺激策にもなります。
- 【筆者プロフィール】
- 松田優幸が登壇のセミナーの様子
- 【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】
1986年 私立 武蔵高校 卒業
1991年 慶応大学 経済学部 卒業
経済学部4年間で、
・マクロ経済学(GDP・失業率・インフレーション・投資・貿易収支等)
・ミクロ経済学(家計・消費者、企業・生産者、取引市場等)・労働経済学を専攻
経済学科 高山研究室 にて、
・貿易経済学・環境経済学を研究
1991年~東急不動産(株)、東急(株)、(株)リテール エステートで勤務
この間では、
消費経済の最前線の現場である、店舗・商業施設などを担当し、
各種施設の、企画開発・運営、接客等で、消費の現場の最前線に立つ。
また、全国の消費経済の現場を、視察・調査し、その数は多岐にわたる。
また、25年間の間「個人投資家」として活動中。
投資家として、マクロ経済(金利、GDP、物価、貿易、為替など)の分析や、
ミクロ経済(企業動向、決算、市場など)の分析にも、注力している。
*近年は、
消費・経済・商業・店舗・ヒットトレンド等で、番組出演、執筆・寄稿、セミナー・講演等で活躍
*現 在は、
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント (53歳)
兼、株式会社 リテール エステート リテール事業部長
*資格は、
・ファイナンシャル・プランナー他
【消費者経済総研について】
■研究所概要
名称 : 消費者経済総研
所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
事業内容: 消費・商業・経済の調査・分析・予測のシンクタンク - 【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】
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電 話: 03-3462-7997 (離席中が続く場合は、メール活用願います)
- チーフ・コンサルタント 松田優幸 経歴のページはこちら
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