景気を見るなら、GDPではなく、別指標で|3分でわかるシリーズ|消費者経済総研|2019年6月8日


【景気を見るなら、GDPではなく、別指標で】

結局、景気は、良い?・悪い?

GDP 1~3月期 2次速報(6月10日)の前に
各種の経済統計を見た。

6月7日(金)発表の景気動向指数は「2カ月連続 悪化」

~3分でわかる景気の動向~


わかりやすく解説します

令和と平成の消費と経済を科学する「令和平成・消費者 経済 総研」
(以下略称:「消費者経済総研」 東京都新宿区、代表:松田 幸治)は、
掲題内容を掲出します。

2019年6月10日(月)に、内閣府からGDP 2019年1~3月期「2次速報」が発表されます。

5月20日の「1次速報」GDP成長率(季節調整済 前期比)は、
実質四半期で0.5%(実質年率2.1%)でした。

その中で「設備投資」に関しては、1次速報(5月20日)でマイナスであったのが、
2次速報(6月10日)では、プラスへ変わると予想されます。

しかし、GDP全体の値では、大きな変化は、ないでしょう。
(2019/6/11追記:GDP2次速報実質年率は2.2%と発表されました

ところで、GDPは、経済の規模を表しますが、
景気の良い・悪いを、表すとは、必ずしも言えません。

景気の良い・悪いは、どの指標を見ればいいのか? を今回掲載します。

------------------------------
本ページは、修正・加筆等で、上書き更新されていきます。

*初稿:2019年6月7日(金)21:00
*2稿:2019年6月9日(日)21:30
*3稿:2019年6月10日(月)17:00
*4稿:2019年6月11日(火)16:00


【景気を見るなら、GDPではなく、別指標で】

結局、景気は、良い?・悪い?

GDP 1~3月期 2次速報(6月10日)の前に、各種の経済統計を見た。

6月7日(金)発表の景気動向指数は
「2カ月連続 悪化」

~3分でわかる景気の動向~


わかりやすく解説します

令和と平成の消費と経済を科学する「令和平成・消費者 経済 総研」(以下略称:「消費者経済総研」 東京都新宿区、代表:松田 幸治)は、掲題内容を掲出します。

2019年6月10日(月)に、内閣府からGDP 2019年1~3月期「2次速報」が発表されます。

5月20日の「1次速報」GDP成長率(季節調整済 前期比)は、実質で0.5%(年率2.1%)でした。

その中で「設備投資」に関しては、1次速報(5月20日)でマイナスであったのが、
2次速報(6月10日)では、プラスへ変わると予想されます。

しかし、GDP全体の値では、大きな変化は、ないでしょう。

ところで、GDPは、経済の規模を表しますが、景気の良い・悪いを、表すとは、必ずしも言えません。

景気の良い・悪いは、どの指標を見ればいいのか? を今回掲載します。

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本ページは、修正・加筆等で、上書き更新されていきます。

*初稿:2019年6月7日(金)21:00
*2稿:2019年6月9日(日)21:30
*3稿:2019年6月10日(月)17:00

■【先だって、結論】■
GDPは「経済活動の規模」を表します。

しかし、必ずしも「景気の良い・悪い」を示しません。

景気を見るなら「景気動向指数」や「日銀短観」
などの指標を見る方が、良いです。

下記グラフのように、GDPは上昇傾向ですが、
その他の景気指標は、いずれも下落傾向です。
*「景気動向指数」とは?  名前の通り、「景気の動向」を、表す指標です

*「景気動向 一致指数」とは?
  景気と、ほぼ一致して動く指数です。景気の現状を把握します

*「景気動向 先行指数」とは?  
  景気に対し先行して動く指数です。数か月程度、先行するので景気予測に利用します

*株価は「将来の企業業績を映す」と言われます。よって株価は先行指標の性格を有します


【日銀短観は、どうか?】

*「日銀短観」とは?
  日銀が、企業へ、景気等について、アンケートした結果の発表内容です。
  景気(業況)に関して質問し、「良い」「悪い」をダイレクトに示す指標です。

*景気は、良いのか?
  皆さんが実感される通り、景気は、さほど良くありません。
  上記のグラフでも、よくわかります。

~以上が、「先立って、結論」ですが、この後、各指標を解説していきます~


【GDPで、景気が、わかるのか?】

「GDP」とは、簡単にいうと
「個人消費」 + 「企業の設備投資」 + 「政府等の支出」 + 「貿易」です。

この4つの金額を、足し算した合計の金額です。

  ※GDPの中身の詳細は、消費者経済総研レポート「中身は悪い?GDP|2019年5月20日」もご覧ください。

GDPは、経済の規模を見るには、一定の価値があります。
世界各国との比較でも、GDPという統一指標は、役に立ちます。

しかし、GDPには、" くせ者 " の構成項目も、内包されています。
景気の良い・悪いは、別の指標を見る方が賢明です。

2019年5月20日発表「GDP 1~3月期 1次速報」は、実質年率2.1%と、良い数字でした。
続く、6月10日(月)発表の2次速報も、概ね似たような数字となるでしょう。

このGDP速報を見ると、経済は拡大し、景気は良い、と見えてしまいます。
しかし、皆さんが実感される通り、景気は、さほど良くありません。

 (2019/6/10 NHK 世論調査 : 「景気回復は、続いているか?」 では、
 「続いている」が10%「続いていない」が53%「どちらともいえない」が28% :6/11に追記)

GDPは「経済活動の規模」を表しますが、必ずしも「景気の良い・悪い」を示しません。
景気を見るなら、「景気動向指数」や「日銀短観」などの指標を見る方が良いです。

そこで、このページでは、「景気動向指数」を中心に、
「株価」、「日銀短観」等の指数を、GDPと比較しながら見ていきます。


【景気動向指数 は、上昇? 下落?】

景気の動向を、「景気動向指数 CI一致指数」という指数で、見てみます。
これは、名前の通り「景気の動向」を表す指標です。

~用語の定義と解説です~

*「四半期」とは?

  Qは、Quarter(クオーター:4分の1)

  第1四半期 = 1Q = 1~3月期。 第2四半期 = 2Q = 4~6月期。
  第3四半期 = 3Q = 7~9月期。 第4四半期 = 4Q = 10~12月期。

*「景気動向指数」とは?

 名前の通り、「景気の動向」を、表す指標です。
 「景気」の現状把握や、将来予測のための指標です。

 計算方法は、生産や雇用などの、経済・景気に敏感な指標を、統合して計算します。
 
 この指数は「一致指数」や「先行指数」等の項目に分かれます。

*「一致指数」とは?

 景気と、ほぼ一致して動く指数です。景気の現状把握に利用します。

*「先行指数」とは?

 景気に対し先行して動く指数です。数か月程度、先行するので、景気の予測に利用します。

*基準の年と、指数の値は?
 景気動向指数では、2015年を基準年とし、そこが指数「100」となっています。
なお、ここからは、景気動向指数も、それ以外の経済指数も、
比較しやすくするため、それぞれ、2015年を100として、指数化しています。

2014年4月に消費増税(5→8%)がありました。(下記グラフの赤いポインマーカー)

「GDP」も「一致指数」も、両方ともに、2014年2Qに、下落しました。
消費増税が、景気にダメージを与えたのです。

赤いポイントマーカーの左側を見ると、経済・景気は、調子よく拡大・上昇していたのに
消費増税で、ストンと落ちたのが、よくわかります。

しかし、この赤いポイント以降では、「GDP」は、概ね、上昇傾向となります。
※グラフは、四半期ごとの値としています。
景気動向指数は、各四半期の3ヶ月の単純平均値を採用
出典は、内閣府 長期系列 0513ci 版
近年に注目してみます。

方向性が分かれる2018年3Qからの期間(グラフの右上)に注目します。
そこに、ズームインしたのが、下のグラフです。

2016年4Q~2018年2Qの間は、GDPも一致指数も、同じような動きをします。

2018年3Qからは、両者は、異なる方向へ動きます。
「GDPは、上昇傾向」で、「一致指数は、下落傾向」です。
*2016年4Q~2018年2Qの間は、
GDPも一致指数も、同じような動き

*2018年3Qからは、
両者は、異なる方向へ動く。

*「GDPは、上昇傾向」で
 「一致指数は、下落傾向」
*2016年4Q~2018年2Qの間は、
GDPも一致指数も、同じような動き

*2018年3Qからは、
両者は、異なる方向へ動く。

*「GDPは、上昇傾向」で
 「一致指数は、下落傾向」

「GDP」は上昇傾向ですが、「一致指数」は下落傾向です。
米中貿易摩擦が、主な要因と考えられます。



【先行きを示す 「先行指数」 は、どうか?】

景気動向指数には、「一致指数」よりも、先の動向を表す指数として
「先行指数」という指数があります。

一致指数と先行指数を比べてみます。
期間は、2018年1Qからの期間に注目します。
※一致指数は、2018年1Qが、約103ですが、比較するために、
 先行指数も、2018年1Qが、103になるよう補正してあります。
 
 以降、他の指標も、2018年1Qを103で揃えます。

上記のグラフの通り、「一致指数」は下落傾向ですが、
「先行指数」は、さらに、下落の傾向を強く示します。

景気の先行きは、良いとは言えないでしょう。



【株価は、どうか?】

株価は、「将来の企業業績を映す」と言われます。
よって、株価は、先行指標の性格を持ちます。

日経平均株価に注目します。

※四半期単位の比較のため、日経平均株価も、その期間指数としています。
 各四半期内の毎月月末株価(終値)を単純平均した値です。
 前項と同様に、比較のため2018年1Qを指数103に補正しています。

「先行指数」よりも、「日経平均株価」の方が、大きな下落傾向を示しています。

ということで「GDP」は、上昇傾向ですが、
景気動向を表す「一致指数」は下落傾向です。

そして、先行きを表す「先行指数」は、さらに下落傾向で、
「日経平均株価」は、さらにさらに、下落傾向を示します。




【4つの指数を、比較すると、どうなる?】

この4つの指標を、下記に、一つのグラフにまとめてみます。

GDPだけが、上昇傾向で、他の3つの指数は、いずれも下落です。
 (なんか、こうして見ると、GDPだけ、ノンキな感じに見えますね 笑)




【日銀短観 は、どうか?】

メガバンクをはじめ大口機関投資家の株や債券のトレーダーの人たちと話すと、
重要指標は「日銀短観」だ、という人が多いです。

日銀短観も、同様に他の指数とそろえて表現したグラフが、下記↓です。

※「日銀短観」とは?

日銀が、企業へ、景気等について、アンケートした結果の発表内容です。

例えば、景気(業況)に関して質問し、
「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つの選択肢から、1つを回答してもらいます。

「良い」と答えた構成比から「悪い」と答えた構成比を、引いて出します。

例えば、「良い」が60%、「さほど良くない」が25%「悪い」が15%の場合は、
「業況判断DI」という指数は、60%-15%=「45」が指数となります。


  ※下記グラフでは、
   ・2018年3月を2018年1Qとし、以降3か月ごとにて同じ
   ・指数は「大企業 製造業」を採用

こうして、「GDP」だけが、上昇傾向で、
「一致指数」「先行指数」「株価」「日銀短観」は、いずれも下落傾向です。




【景気は、良いのか? 悪いのか?】

2019年5月13日に発表された景気動向指数(3月分)において、
景気の「基調判断」は、6年2か月ぶりに「悪化を示している」とされました。

続いて、2019年6月10日(金)に、
景気動向指数の2019年(4月分)の速報が発表されました。
ここでも「景気動向指数(CI一致指数)は、悪化を示している。」とされています。

こうして、続けて、景気後退の可能性が示唆されています。



【結 論】

GDPは、経済の規模を見るには、一定の価値があります。
世界各国との比較でも、GDPという統一指標は役に立ちます。

しかし、景気の良い・悪いは、別の指標を見る方が賢明です。

GDPには、" くせ者 " の構成項目も、内包されています。

消費者経済総研レポート
3分でわかる|中身は悪い?GDP|2019年1~3月期速報(2019年5月20日)」
にGDPの中身や、その中の「くせ者」について解説してあります。


【 3分でわかるシリーズ 開設の動機 】

チーフ・コンサルタントの松田優幸は、1987年に慶応大学の経済学部に入学して、
4年間、マクロ経済学を始めとした各経済学を研究していました。

研究を開始した時の感想は「経済学の論文や文献は、よくわからない」でした。

その後、理解が進んだ後には
「よくわかった。しかしなんで、わざわざ、わかりにくい表現をするのか?」
との感想を持ちました。

昨今、世の中に登場する解説でも「わかりにくい」表現は、
いまだ少なくない、と感じています。

そこで「3分でわかるシリーズ」を展開することで、
多くの方々に「わかりやすく」お伝えしていく考えです。
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チーフ・コンサルタント 松田優幸