コロナ・ワクチンの一覧リスト|ワクチン開発の最前線|消費者経済総研|2020年5月24日
コロナ・ワクチン情報の更新 ◆臨床試験(治験)まで進んだワクチンは、10件に増加 ◆治験前は114件で、合計124件が開発進行中 ◆しかし、ワクチン開発は、ハードルが高く、過去は、9割以上が失敗 ◆このたびのコロナワクチンには、成功を期待し、開発者へ感謝と応援を 「ウイルス対策」は、「最高の経済対策」 新型肺炎から、人々の健康生命を守るため、コロナ・ウイルス対策は、重要なテーマです。 同時に、経済を守るため、ウイルス対策は、同じく重要です。 「ウイルスの制御や制圧」がなされれば、激しく落ち込んだ「景気はV字回復」でしょう。 つまり「ウイルス対策」は、「最高の経済対策」でもあります。 消費と経済の消費者経済総研では、「経済対策」は、主たるテーマの一つであります。 コロナ問題を、公衆衛生の問題としてのみではなく、経済問題として連載していきます。 そのため、消費者経済総研は、コロナ関連テーマを、連載で、お届け致しています。 |
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- ■ ワクチン開発の最前線 2020年5月24日時点
◆「治験中」まで進んだ「候補ワクチン」は?
治験まで進んでいるワクチンは、今回の更新で、8件から下記の10件に増えました。※1
「ノヴァヴァックス」と「中国医学科学院医学生物学研究所」の2件が、加わりました。
*英国系
・オックスフォード大学(英大学)/アストラゼネカ(英製薬)/セラム研究所(印ワクチン製造): P1/2
*米国系
・モデルナ(米製薬)/米国立アレルギー感染症研究所(NIAID) : P1、2
・ノヴァヴァックス(米ワクチン製造) : P1/2
・イノビオ・ファーマシューティカルズ(米医薬品) : P1
*ドイツ他系
・バイオンテック(独医薬)/Shanghai Fosun Pharmaceutical(上海復星醫藥)/ファイザー(米製薬):P1/2
*中国系
・カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物股分公司)/ 北京バイオテクノロジー研究所 : P1、2
・中国生物武漢生物製品研究所 / シノファーム(中国医薬集団) : P1/2
・北京研究所生物学的製品 / シノファーム(中国医薬集団) : P1/2
・北京科興中維生物技術(Sinovac Research & Development) : P1/2
・中国医学科学院医学生物学研究所 : P1
上記10件は、治験P1又はP2まで進んでいますが、まだ「P3」※2に進んだのは、ありません。
※2:「P1・P2・P3」の解説は、下段の2つ先の項目を参照
※1出典:22 May 2020 (WHO)|DRAFT landscape of COVID-19 candidate vaccines|
下の一覧は、全6ページのうち、1ページ目の上段部分
◆治験中と、治験前を、合わせた合計は?
その他に、治験前の段階のワクチン候補が、114件あります。※3
「治験前114件」+「治験中10件」=計124件 の「SARS-CoV2」※4のワクチンが開発中です。
※3出典:DRAFT landscape of COVID-19 candidate vaccines|22 May 2020(WHO)
※4 新型コロナウイルス感染症は、「SARS-CoV-2」がウイルス名称で、「COVID-19」が病名
- ■ ワクチン開発 過去は9割失敗だが、コロナワクチン開発を応援
- ワクチン開発は「承認」に至る保証はありません。有効性・安全性が確立しなければ中止です。
一般に、ワクチン開発の成功率は低く、認可に至るのは、候補ワクチンの10分の1未満です。※1
オックスフォード大学と、アストラゼネカ社は、世界最速のコロナ・ワクチンを目指しています。
しかし、アストラゼネカ社は、ワクチンが効かない可能性があることを、認識しています。
-当総研は、ワクチンの早期開発を期待し、ワクチン開発者に感謝し応援します-
※1出典:「ワクチンの開発と導入」(米国研究製薬工業協会) 52P
「ワクチンの開発プロセスは特有です。ワクチン開発はリスクが高く、莫大な資本を要します。
生物製剤の安全性の重要さを踏まえ、ワクチン業界は厳しく規制されています。
ワクチン開発は反復的な形で進められ、
認可を取得できるのは、候補となったワクチンの 10分の1未満です。
成功率が低い理由は、ワクチンの生産に必要とされる微生物に予測不能性があり、
また、ヒトの免疫系がワクチン抗原をどのように処理し、どう反応するかがはっきりしないためです。
ワクチンの候補の中には、十分な免疫応答を誘発するが、重大な有害反応を引き起こすものもあれば、
安全ではあるが、疾患の予防に有効でないものもあります。
いくつかの抗原を組み合わせて一つのワクチンにするという最近の傾向に伴い、
安全で有効なワクチンの開発はさらに難しくなっています。 」
※2出典:AstraZeneca Press Release 21 May 2020
アストラゼネカは、ワクチンが効かない可能性があることを認識しています
AstraZeneca recognises that the vaccine may not work
- ■ 医薬品の開発 期間 とは ?
- ◆一般的なスケジュールは?
医薬品の開発は、下記のスケジュールで進みます。通常期で、11年~17年の期間が必要です。
「基礎研究」3~5年
↓
「動物実験等」2~3年
↓
「臨床試験」5~7年(治験P1→ 治験P2 → 治験P3※1)
↓
「承認審査」1~2年
↓
「薬価設定・発売」 ※2
※1「P1」とは、Phase 1(フェ-ズ1)の略。日本では「第1相試験」という
なお、P2とP3は、上記の数字を読み替える。
※2出典:臨床試験について(東京大学 医学部附属病院 臨床研究推進センター)
- ■ワクチンでの開発の期間は?
◆ワクチン開発は、どれだけ 急げる?
今まで最速ワクチンとされる「おたふくかぜワクチン」でも、認可までに、4年かかりました。今回のコロナウイルスでは、頑張って急いでも1年半は、必要と言われます。
年内や秋での完成を目指すワクチンもありますが、そのスケジュールは、あくまで目標です。
仮に、スケジュール通りに完成しても、接種の普及には、より長い期間が必要でしょう。
◆最速のコロナ・ワクチンは?
オックスフォード大学は、ワクチン供給の最速を、目指しています。
以前、オックスフォード大学は、9月に100万回のワクチン製造を目指す、としていました。
100万では、77億人の世界人口には、不足です。自国民を優先することも考えられます。
また、優先接種者は、まずは医療従事者であろうと、捉えられていました。
その後、同大学は、アストラゼネカ等と、製造数を増加させる方針になりました。
また、アストラゼネカは、公平な方法で世界中で広く使えるようにする、と述べています。※1
9月からの具体的な供給計画も、より明らかになりました。
9月に英国向けに3000万回までのワクチンを、アストラゼネカは、製造する計画です。※2
その後、早ければ10月に、米国に、最初の投与量が届けられる計画です。※3
オックスフォード大学・アストラゼネカの連合で、当初より供給数は増加見込みとなりました。
しかし、やはり順番は、9月に英国、10月に米国、という順番になりそうです。
順調に開発が進めば、このスケジュールで、進むかもしれません。
しかし、2つ前の項で既述のとおり、過去は9割以上失敗なのが、ワクチン開発の難しさです。
-当総研は、ワクチンの早期開発を期待し、ワクチン開発者に感謝し応援します-
◆日本での開発は?
先行する他国ワクチンが、世界で広く普及する期待の他に、日本国内での開発にも期待です。
(日本での開発は、下段の次の項参照)
※1出典:AstraZeneca Press Release 21 May 2020
*多くの国や多国間組織と協力して、オックスフォード大学のワクチンを
公平な方法で世界中で広く利用できるようにします。
collaborating with a number of countries and multilateral organisations to make the
University of Oxford's vaccine widely accessible around the world in an equitable manner
*2020年9月に最初の納入を開始
will begin first deliveries in September 2020.
*当社は9月から英国に供給
The Company will supply the UK starting in September
※2出典:BioSpace May 18, 2020
AstraZeneca Aims for 30 Million Doses of COVID-19 Vaccine for UK by September」
アストラゼネカは 、英国市場向けに、9月までに3,000万回分までのワクチンの製造を計画
AstraZeneca reported it plans to manufacture as much as 30 million doses of the vaccine
for the UK market by September
※3出典:HHS FOR IMMEDIATE RELEASE May 21, 2020
HHS:United States Department ofHealth andHumanServices(アメリカ合衆国保健福祉省)
AZD1222のコロナウイルスワクチンが、早ければ2020年10月にも最初の投与量が届けられる
a coronavirus vaccine calledAZD1222,with the first doses delivered as early asOctober- ■日本でのワクチン開発は?
- 日本では、いずれも、臨床試験の前段階となっています。
下記4件以外は、臨床試験のスケジュールは、現時点、明確ではありませんでした。
◆大阪大学(アンジェス、タカラバイオ)
2020.04.22 医薬通信社 来春にも新型コロナ感染予防DNAワクチン実用化へ
「"本年7月"から(中略)P1/2試験を実施する方向で調整」
「来春にも新型コロナ感染予防DNAワクチン実用化へ」
◆メディカゴ社(本社:カナダ ケベック市、田辺三菱製薬の子会社)
2020/5/18:臨床試験を、"2020年8月”までにを開始し、2021年11月に終了を目標
(カナダのみならず、日本においても供給できるように推進していくとのこと)
◆塩野義製薬
2020/4/27:"年内"に臨床試験を開始すべく準備中
◆KMバイオロジクス(国立感染症研究所、東京大学医科学研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所)
2020/05/22:"2020年度"に非臨床試験を終え、その結果を踏まえ、速やかに臨床試験開始
※WHOリストに記載の日本関連開発者情報
・Osaka University/ AnGes/ Takara Bio
・Osaka University/ BIKEN/ NIBIOHN
・Osaka University/ BIKEN/ National Institutes of Biomedical Innovation, Japan
・National Institute of Infectious Disease, Japan(国立感染症研究所)
・University of Tokyo/ Daiichi-Sankyo
・Medicago Inc.
- ■ 緊急事態の解除の後も「ウイズ・コロナ」
- 「緊急事態宣言」で、ひとたび、新規の感染数は、減少します。
その後、解除による自粛緩和では、人々の活動が活発になり、ウイルス感染が、再び拡大します。
こうして「 感染の減少 → 自粛の緩和 → 再び拡大 → 自粛の強化 」を繰り返すのです。
繰り返す理由は、抗体を保有しない以上、免疫力がないので、感染してしまうからです。
抗体を獲得するには、「感染する 又は ワクチン接種」の2択です。
ワクチンの早期開発を期待し、ワクチン開発者に感謝し応援します。 - ■更新情報
- 本ページの関連テーマの、下記↓最新情報ページもご覧下さい。
「コロナいつまで・いつ終わる?|収束予想は2021年10月|2021年4月6日更新」
- 【筆者プロフィール】
- 松田優幸が登壇のセミナーの様子
- 【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】
*1986年
私立 武蔵高校 卒業
*1987年
慶応大学 経済学部 入学
経済学部で、
・マクロ経済学(GDP・失業率・インフレーション・投資・貿易収支等)
・ミクロ経済学(家計・消費者、企業・生産者、取引市場等)・労働経済学を専攻
経済学科「高山研究室」にて、貿易経済学・環境経済学を研究
*1991年
慶応大学 卒業 東急不動産(株) 入社
*1997年
親会社の東急電鉄(株)へ逆出向
消費の現場である商業施設と街づくりの計画担当
*2000年
東急不動産(株) 復職
各種の商業施設の企画開発・運営、接客等で消費の現場の最前線に立つ。
*2005年
東急不動産から、消費・商業・経済のコンサルティングをおこなう
株式会社 リテール エステートへ移籍し14年間、
全国の消費の現場を視察・調査。その数は多岐にわたる。
*現 在
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼 リテール エステート リテール事業部長
*資 格
・ファイナンシャル・プランナー
・宅地建物取引士資格者
・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで)
・簿記3級
【消費者経済総研について】
■研究所概要
名称 : 消費者経済総研
所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
事業内容: 消費・商業・経済の、調査・分析・予測のシンクタンク - 【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】
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電 話: 03-3462-7997 (離席中が続く場合は、メール活用願います)
- チーフ・コンサルタント 松田優幸
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