駆け込み購入(経過措置)|消費税、経済の専門家評論家が、わかりやすく解説|消費者経済総研|2019年9月11日
【 連載シリーズ 消費増税 】 ~ 増税の「前・後」どちらが、お得?~ (駆け込み 購入編) 消費増税には、様々な特例措置があります。 増税の 前と後 で、どちらが得なのか? 今回号は、「駆け込み 購入編」です。 [ 3分でわかる 消費増税の 前と後 ] わかりやすく解説します 消費と経済を科学する「消費者 経済 総研」 (東京都新宿区、代表:松田 幸治)は、 2019/9/11に、掲題内容を掲出します。 2019/10/1の消費増税に関連して 「シリーズ 消費増税」を連続して掲載していきます。 チーフ・コンサルタントの松田優幸を筆頭に、 消費税やキャッシュレス等の評論家・専門家として 「3分でわかりやすく」解説をお届けしています。 ------------------------------ 本ページは、修正・加筆等で、上書き更新されていきます。 *初稿:2019年9月11日(水)20:00 *当方が提供する情報は、正確性・完全性・有効性・真実性・最新性・適法性等何らの保証もなく、 利用・活用は、利活用者の自らの判断・責任であり、損害が生じても当方は一切の責任を負いません。 |
【 連載シリーズ 消費増税 】 ~ 増税の「前・後」どちらが、お得?~ (駆け込み 購入編) 消費増税には、様々な特例措置があります。 増税の 前と後 で、どちらが得なのか? 今回号は、「駆け込み購入編」です。 [ 3分でわかる 消費増税の 前と後 ] わかりやすく解説します 消費と経済を科学する「消費者 経済 総研」 (東京都新宿区、代表:松田 幸治)は、 2019/9/11に、掲題内容を掲出します。 2019/10/1の消費増税に関連して 「シリーズ 消費増税」を連続して掲載していきます。 チーフ・コンサルタントの松田優幸を筆頭に、消費税やキャッシュレス等の評論家・専門家として、わかりやすい解説をお届けしています。 ------------------------------ 本ページは、修正・加筆等で、上書き更新されていきます。 *初稿:2019年9月11日(水)20:00 *当方が提供する情報は、正確性・完全性・有効性・真実性・最新性・適法性等何らの保証もなく、 利用・活用は、利活用者の自らの判断・責任であり、損害が生じても当方は一切の責任を負いません。 |

■「先立って、要約編」■ |
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■はじめに 本件のテーマに関連する制度や税制は、大変複雑です。 正確さを追求しますと、複雑化し、わかりにくくなります。 ここでは、わかりやすさを優先し、様々な点において単純化・省略化等をしています。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、要約編→詳細編を見た後であっても 税務署や税理士等へ確認や相談をし、自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、対応してください。また「免責事項」をお読みください。 ■番組出演・執筆・講演等のご依頼は、お電話・メールにてご連絡ください。 ■今回号のトピックス ◆【ラッキー!】10月以降でも、8%になるのは? ◆【注意!】9月に駆け込み購入でも、10%になるのは? ◆映画の前売り券、野球の年間シート席、歯科矯正、年間パスは、 10月以降でも、8%? ■今回号は、「駆け込み購入編」 【連載シリーズ 消費増税】として、消費増税の 前・後 どっちがお得? を連載してきました。 前回号までは「住宅編(その1~4)」や「クルマ編」を、取り上げました。 今回号の「 駆け込み 購入編 」は、 その他の商品・サービスの購入では、消費税増税の「前」と「後」で、 どちらがお得?を、取り上げます。 ご存知の通り、消費税は、2019年10月1日以後は、10%で、 その前日(2019年9月30日)までは、8%です。 [A] 9月に買っても、10月に納品・実施なら、10%になる [B] 10月に実施でも、9月に契約なら、8%になる(経過措置) [C] 10月1日をまたぐ場合は、8%の場合と10%の場合に分かれる [A]の場合は「駆け込み購入」しても、無駄です。 [B] の場合は「駆け込み購入」した方が、お得です。 [C] の場合でも「駆け込み購入」した方が、お得になるケースがあります。 ■[A] 9月に急いで、買ってもダメ ~9月30日までに買っても、10%になってしまう?~ 増税前の9月までに、急いで買ったのに、10%になる場合があります。 この点に関しては、既に各業界の人から、様々な誤解やトラブル発生の話を聞いています。 ~増税前の9月に、急いで買ったのに、なんで10%なの?~ 2019年9月30日迄に契約し、9月までに納品されたり、サービスの実施があれば、8%です。 しかしながら、2019年9月30日までに、契約や支払いが済まされても、 商品・サービスの提供が、2019年10月1日以後に、行われるものは、10%が適用されます。 つまり、「契約時」ではなく「実施時」で、決まります。 こうして、商品の提供・サービスの実施を、9月までに済ませないと、 増税後の税率の10%が課税となってしまいます。 しかし、これには、例外があります。「経過措置」に該当する場合です。 ■[B] 10月以降でも、8%になる「経過措置」とは、何? 「2019年9月に映画のチケットを買って、2019年10月にその映画を観に行く」 という場合は、どうでしょうか? 前記の[A]のルールからは、10%になりそうです。 映画の上映というサービスの「実施時」が、10月だから10%だと思えます。 しかし、この場合は、「経過措置」という措置により、消費税は8%になります。 「映画の鑑賞」は、「経過措置」という制度の対象となるからです。 なので10月に映画を見に行くなら、9月30日までに、前売りチケットを買った方がお得です。 ~こうして「経過措置」とは「購入が9月までで、サービスの実施が10月以降」 であっても、10%ではなく8%が適用される制度措置の事です~ ◆「経過措置」の対象とは? 映画以外に何がある? 「経過措置」の対象は下記です。 ① 汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機の旅客運賃・料金 ② 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物での入場料金 ③ 競馬場、競輪場、小型自動車競走場、モーターボート競走場への入場料金 ④ 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場などの入場料金 ※詳細は「詳細編」をご覧ください。 ◆電車の定期券や回数券は? 電車の定期券や回数券も「経過措置」の対象なので、8%となり、お得になります。 ◆プロ野球の年間予約席は? これも、経過措置の対象なので、9月までに契約すれば、8%となり、お得です。 ◆テーマパークの年間パスポートは? テーマパークは、前述の④のジャンルの中の「遊園地」に該当するのではないかと 考えられます。 また「プロ野球の年間予約席」が「経過措置」の対象なら 「テーマパークの年間パスポート」も、対象になりそうですね。 経過措置に該当しそうですが、明確な解説文や案内文がないため確実とまでは言えません。 ※この件は、詳しくは「詳細編」を、ご覧下さい。 いずれにせよ、USJもディズニーも、入場料は、長年にわたり値上げ傾向にあるので、 早めに買った方が、お得かもしれませんね。 ◆高額医療は? 健康保険が適用されない診療(自由診療)は、消費税が課税されます。 歯のインプラント治療や歯科矯正の場合、100万円近くになることも多いでしょう。 10月に治療完了であっても、9月までに支払えば、 10%ではなく、8%となる場合があります。 増税前までに、治療代を、返還なしで、一括支払いし、 そのときに収益に計上されている際は、8%になる場合があります。 ■再度、原則論を確認です。 8%になるか、10%になるかは、 ・契約や支払いの時期ではなく ・商品の納品・サービスが実施された時期 でした。 その時期が、2019年10月1日よりも、前なのか、以降なのかが、ポイントでした。 「目的物の全部完成引渡し」や「役務の全部完了」が、10月1日以降なら、10%でした。 冒頭で前述の「A」のテーマでは、この「原則論」を述べています。 「B」のテーマでは、「原則論」とは異なる例外措置である「経過措置」を述べました。 では、1年間契約のように、期間に幅があり、 2019年10月1日をまたぐ場合は、どうなるかという問題があります。 ■[C] 2019年10月1日を、またぐ年間契約は? 下記の場合には、8%になることがあります。 ・料金が年額で、役務提供が、年ごとに完了 ・中途解約でも、代金返還の規定がない ・事業者が、継続して1年分のお金を受領した時点の収益として、2019年9月30日迄に計上 この条件に該当しそうな場合は、「消費税は、何パーセントなのか」を、 確認してみる価値はありそうです。 続いて下記に続く 「詳細編」 をお読みください。 |
続いて下段に続く「詳細編」をお読みください |
■筆者プロフィール 松田優幸 ◆番組出演・執筆・講演等のご依頼は、お電話・メールにてご連絡ください。 ◆実績一覧(番組出演・執筆・寄稿・講演等)は、 こちら を、ご覧下さい。 1987年に、慶応大学 経済学部 入学 1991年~東急不動産、東急電鉄、リテールエステートに勤務 現在は、消費者経済総研 チーフ・コンサルタント ・ファイナンシャル・プランナー認定研修修了者(ファイナンシャルプランナー3級相当) ・宅地建物取引士資格者 ・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで) ・簿記3級 |
■ご留意事項 ※当総研が提供する情報においては、情報の簡略化・省略等をしている箇所があります。 ※ご自身が記載内容と全部又は一部において一致又は類似していても、制度がご自身に同様に適用又は非適用とはならない場合があり、また、同じ計算や同じ計算結果とならない場合があります。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、税務署や税理士等へ確認や相談をし、自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、対応してください。 また「免責事項」をお読みください。 |
~以上が、「先立って、要約編」ですが、 この後、詳細編です~ |
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■■ 詳 細 編 ■■ |
[A] 9月に買っても、10月に納品・実施なら、10%になる [B] 10月に実施でも、9月に契約なら、8%になる(経過措置) [C] 10月1日をまたぐ場合は、8%の場合と10%の場合に分かれる [A]の場合は「駆け込み購入」しても、無駄です。 [B]の場合は「駆け込み購入」した方が、お得です。 [C]の場合でも「駆け込み購入」した方が、お得になるケースがあります。 ■[A] 9月に急いで、買ってもダメ ~9月30日までに買っても、10%になってしまう?~ 増税前の9月までに、急いで買ったのに、10%になる場合があります。 この点に関しては、既に各業界の人から、様々な誤解やトラブル発生の話を聞いています。 ~増税前の9月に、急いで買ったのに、なんで10%なの?~ 2019年9月30日迄に契約し、9月までに納品されたり、サービスの実施があれば、8%です。 しかしながら、2019年9月30日までに、契約や支払いが済まされても、 商品・サービスの提供が、2019年10月1日以後に、行われるものは、10%が適用されます。 つまり、「契約時」ではなく「実施時」で決まります。 なお「契約なんて、大げさなことは、していない。」という人も、いたりしますが、 契約書なしの口頭でも、契約は成立します。 口頭で、「レタス1つを、買います・売ります」というのでも、契約成立です。 こうして、商品の提供・サービスの実施を、9月までに済ませないと、 増税後の税率の10%が課税となってしまいます。 しかし、これには、例外があります。「経過措置」に該当する場合です。 ■[B] 10月以降でも、8%になる「経過措置」とは、何? 「2019年9月に映画のチケットを買って、2019年10月に、その映画を観に行く」 という場合は、どうでしょうか? 前記の[A]のルールからは、10%になりそうです。 映画の上映というサービスの「実施時」が、10月だから10%だと思えます。 しかし、この場合は、「経過措置」という措置により、消費税は8%になります。 「映画の鑑賞」は、「経過措置」という制度の対象となるからです。 なので10月に映画を見に行くなら、9月30日までに、前売りチケットを買った方がお得です。 ~こうして「経過措置」とは「購入が9月までで、サービスの実施が10月以降」 であっても、10%ではなく8%が適用される制度措置の事です~ ◆「経過措置」の対象とは? 映画以外に何がある? 改正令の「附則4ー1」※に、「経過措置」の対象が、列記されています。 「映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ又は見せ物を 不特定かつ多数の者に見せ、又は聴かせる場所への入場料金」 となっています。 映画以外では「演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物」が対象です。 この映画を含むジャンルは「附則4-1」の②番目に登場で、 附則では、①~④の4つのジャンルがあります。 ① 汽車、電車、乗合自動車、船舶又は航空機に係る旅客運賃(料金を含む。) ② 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ又は見せ物を 不特定かつ多数の者に見せ、又は聴かせる場所への入場料金 ③ 競馬場、競輪場、小型自動車競走場又はモーターボート競走場への入場料金 ④ 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場 その他不特定かつ多数の者が入場する施設又は場所で これらに類するものへの入場料金 ※「改正令」とは 消費税法施行令の一部を改正する政令(平成26年政令第317号) ※「附則4ー1」とは 「附則 第4条 第1項」 ◆電車の定期券や回数券は? 電車の定期券や回数券も「経過措置」の下記①に該当しますので、 お得になります。 「① 汽車、電車、乗合自動車、船舶又は航空機に係る旅客運賃(料金を含む。) 」 ■「経過措置」でお得になる? その他の具体例とは? ◆プロ野球の年間予約席は? これも、経過措置に該当し、9月までに契約すれば、8%となりお得です。 ※国税庁の解説:(プロ野球の年間予約席等) スポーツ等を催す競技場等における年間予約席等について、31年施行日の前後を通じて、 又は、31年施行日以後の一定期間継続して独占的に利用させるため、 あらかじめ当該一定期間分の入場料金を一括して領収することを内容とする契約を 26年施行日から31年施行日の前日までの間に締結している場合 ※原文を若干、筆者編集 ◆テーマパークの年間パスポートは? テーマパークは、前述の④のジャンルの中の「遊園地」に該当するのではないかと 考えられます。 また「プロ野球の年間予約席」が「経過措置」の対象なら 「テーマパークの年間パスポート」も対象に、なりそうですね。 「プロ野球の年間予約席は対象」の旨は、国税庁の解説に記載がありますが、 「テーマパークの年間パスポート」に関する記載は、ありませんでした。 なので、USJとディズニーランドに聞いてみました。 USJの公式サイトを見ると「ユニバーサル年間パス」という種類の年間パスポートは「¥23,889(税込¥25,800)」と記載されています。(2019年9月10日時点) ¥23,889 × 1,08 =¥ 25,800 なので、消費税率は8%です。 「購入時に、有効期間開始日(初回入場日)を、ご指定ください。 有効期間開始日から1年間が、年間パスの有効期間となります。」 との案内文が、記載されています。 USJの公式サイトで、有効期間開始日を、9月30日にしても10月1日にしても、 どちらも¥23,889(税込¥25,800)と表示されます。両方とも消費税率は8%です。 これは、2019年10月1日から1年間使う年間パスポートを、 2019年9月に買えば、消費税率は8%ということですね。 なので、この点からは「経過措置」の対象になっていると、解釈できます。 この料金サイトを、2019年10月1日以降に見てみれれば、 消費税率10%の料金に変更になるはずですね。 筆者が、2019年9月10日に、電話で問い合わせたところ、USJもディズニーも、 ・10月1日以降に表示される料金は、現時点では未定 ・現在(9月時点)の料金表示が、経過措置を反映したものかどうかは、ご案内の対象外 という趣旨の回答でした。 2014年4月1日の消費増税(5%→8%)のときは、増税前の3月に年間パスポートを購入したら 8%ではなく5%で、増税後の4月1日以降に購入すると「特典が付く」 ということを聞いたことがあります。(現時点ではこの点は確認できず未確認情報です) もしかしたら、2019年10月1日以降に特典があるかもしれません。特典があっても、 「特典 + 増税で料金アップ」 「特典なし + 増税前で料金アップ無し」 どっちがうれしいかは、内容によりますね。 また「2019年10月からディズニーランドは入場料の値上げを検討?」 という一部報道がありました。 消費増税に加え、本体料金も、値上げの可能性があるのでしょうか? テーマパークの年間パスポートは、経過措置に該当しそうですが、 明確な解説文や案内文、回答がないため、確実であるとは言えません。 しかし、USJもディズニーも、名長年にわたり、入場料は値上げ傾向にあるので、 早めに買った方が、お得かもしれませんね。 ◆高額医療は? 健康保険が、適用される場合は、医療費の消費税は非課税です。 しかし、保険が適用されない診療(自由診療)は、課税されます。 例えば、保険適用ではない歯のインプラント治療の場合、 料金は、1本あたり30~40万円が相場と言われ、高額です。 3本を治療すれば、100万円くらいになります。 歯の矯正治療も、概ね自由診療で100万円近くになることも多いでしょう。 しかし、インプラントや矯正の治療は、10月に治療完了であっても、 9月までに支払えば、10%ではなく、8%となる場合があります。 増税前までに、治療代を、返還なしで、一括支払いし、 そのときに収益に計上されている際は、8%になる場合があります。 詳しくは、下記の国税庁Q&A※をご覧ください。 「インプラントや矯正の治療」は、具体例の一つの例として、掲載されたものと思われます。 そうだとすると「インプラントや矯正の治療」以外でも、条件に該当すれば、 8%になるケースも、ありそうですね。 逆に言えば「インプラントや矯正の治療なら8%ということでは無い」です。 ※国税庁Q&A 「矯正治療代やインプラント治療代は、申込時に一括して受領する場合があり、 契約において受領した治療代について、返還しない旨を定めている場合があります。 このような契約において、継続して受領した時の収益に計上している場合には、 収益を計上した時の税率を適用して、差し支えありません。 したがって、この場合、 平成31年施行日(2019年10月1日)前までに治療代を一括受領しており、 受領した対価について返還することがなく 収益として確定しているものとのことですので、 経理処理上も継続的に対価を受領したときに収益に計上している場合は、 収益に計上した時の税率(8%)を適用して差し支えありません。」 ※原文を若干、筆者編集 ■再度、原則論を確認です。 8%になるか、10%になるかは、 ・契約や支払いの時期ではなく ・商品の納品・サービスが実施された時期 でした。 もう少し、言いますと、、 「モノ」つまり商品は、目的物の全部を完成して引き渡した日で、 モノ以外つまり「サービス」(役務)は、役務の全部を完了した日です。 その時期が、2019年10月1日よりも前なのか、以降なのかが、ポイントでした。 「目的物の全部完成引渡し」や「役務の全部完了」が、10月1日以降なら、10%でした。 冒頭で前述の「A」のテーマでは、この「原則論」を述べています。 「B」のテーマでは、「原則論」とは異なる例外措置である「経過措置」を述べました。 では、1年間契約のように、期間に幅があり、 2019年10月1日をまたぐ場合は、どうなるかという問題があります。 ■[C] 2019年10月1日を、またぐ年間契約は? 下記の場合には、8%になることがあります。 ・料金が年額で、役務提供が年ごとに完了 ・中途解約でも、代金返還の規定がない ・事業者が、継続して1年分のお金を受領した時点の収益として、2019年9月30日迄に計上 正確には、下記の国税庁Q&A※をご覧ください。 なお前述の「インプラントや矯正の治療」は、この理屈の応用形ではないかと想像します。 ※国税庁Q&A 2019年10月1日を含む1年間の役務提供を行う場合 【問】 平成31年9月1日に、同日から1年間の役務提供を行う契約を締結するとともに、 1年分の対価を受領しています。この場合、消費税法の適用関係はどのようになりますか。 【答】 役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、 物の引渡しを要するものにあっては、その目的物の全部を、完成して引き渡した日、 物の引渡しを要しないものにあっては、その約した役務の全部を、完了した日とされています。(基通9-1-5) 役務提供契約が、 その契約期間を1年間として、料金を年額で定めており、 その役務提供が、年ごとに完了するものである場合には、 その資産の譲渡等の時期は、役務の全部を完了する日である平成32年8月31日となり、 31年施行日(平成31年10月1日)以後に行う課税資産の譲渡等となりますから、 原則として新税率(10%)が適用されます。 ただし、 1年分の対価を受領することとしており、 中途解約時の未経過部分について、返還の定めがない契約において、 事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、 31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに、収益として計上したものについて 旧税率(8%)を適用して差し支えありません。 ※原文を若干、筆者編集 ■2019年10月以降に、追加請求される? 増税前に契約し、料金を一括払いした場合で、増税後に、消費増税分に相当する金額が、 追加請求されるケースがでてくるのではないでしょうか。 一般の消費者の立場からすれば「追加請求するとは、何事だ!」となるかもしれません。 前回の消費増税(2014年4月1日の5%→8%)では、 内閣府の相談センターにも相談があり、Q&Aで紹介されています。 なおそのQ&Aでは、原則論※を述べるに留まり、個々の取引は、その契約内容を踏まえての判断なので、詳細は所轄の税務署に問い合わせるよう、言っています。 ※原則:増税日以後に行われるサービスの提供など(中略)については、 原則として、その代金の支払の時期にかかわらず、増税後の消費税率が適用 今回の10%への増税でも、2019年10月より前の支払い済みの年間契約に関して 同じようなケースが、出てきそうですね。 追加支払いの必要がない場合も、あるかもしれませんので、 内閣府が言うように、税務署等へ問い合わせしてみる価値は、ありそうです。 ※内閣府の相談センターの応答事例 【Q】 (私は)消費者である。消費税率引上げ前に締結した、車のメンテナンスサービスの提供を 受ける取引について、料金を先払いしていたが、 消費税率引上げ後、事業者から3%相当分の消費税を徴収された。 こうしたケースに適用される消費税率については、どのように考えるのか。 【A】 平成26年4月1日以後(5→8%への増税後)に行われる サービスの提供など課税資産の譲渡等については、 原則として、その代金の支払の時期にかかわらず、8%の消費税率が適用されます。 個々の取引における適用税率等消費税法について詳しくお知りになりたい場合には、 お手数ですが、所轄の税務署にお問い合わせください。 ※原文を若干、筆者編集 |
■筆者プロフィール 松田優幸 ◆番組出演・執筆・講演等のご依頼は、お電話・メールにてご連絡ください。 ◆実績一覧(番組出演・執筆・寄稿・講演等)は、 こちら を、ご覧下さい。 1987年に、慶応大学 経済学部 入学 1991年~東急不動産、東急電鉄、リテールエステートに勤務 現在は、消費者経済総研 チーフ・コンサルタント ・ファイナンシャル・プランナー認定研修修了者(ファイナンシャルプランナー3級相当) ・宅地建物取引士資格者 ・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで) ・簿記3級 |
■ご留意事項 ※当総研が提供する情報においては、情報の簡略化・省略等をしている箇所があります。 ※ご自身が記載内容と全部又は一部において一致又は類似していても、制度がご自身に同様に適用又は非適用とはならない場合があり、また、同じ計算や同じ計算結果とならない場合があります。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、税務署や税理士等へ確認や相談をし、自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、対応してください。 また「免責事項」をお読みください。 |
■筆者プロフィール 松田優幸 1987年に、慶応大学 経済学部 入学 1991年に、東急不動産へ入社し、途中に親会社の東急電鉄へ逆出向もし、 都市開発・街づくり・不動産営業を、おこなった。 大規模タワーマンションの開発や、賃貸住宅の開発・営業も手掛けた。 ・ファイナンシャル・プランナー認定研修修了者(ファイナンシャルプランナー3級相当) ・宅地建物取引士資格者 ・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで) ・簿記3級 現在は、消費者経済総研 チーフ・コンサルタント |
■ご留意事項 本件のテーマに関連する制度や税制は、大変複雑です。 正確さを追求しますと、複雑化し、わかりにくくなります。 ここでは、わかりやすさを優先し、様々な点において単純化・省略化等をしています。 住宅ローン控除制度を利用するには、このページ記載情報以外にも様々な条件があります。 このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、 行政庁や税理士等へ確認や相談をし、自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、 対応してください。また「免責事項」をお読みください。 |
■【 3分でわかるシリーズ 開設の動機 】 チーフ・コンサルタントの松田優幸は、1987年に慶応大学の経済学部に入学して、 4年間、マクロ経済学を始めとした各経済学を研究していました。 研究を開始した時の感想は「経済学の論文や文献は、よくわからない」でした。 その後、理解が進んだ後には 「よくわかった。しかしなんで、わざわざ、わかりにくい表現をするのか?」 との感想を持ちました。 昨今、世の中に登場する解説でも「わかりにくい」表現は、 いまだ少なくない、と感じています。 そこで「3分でわかるシリーズ」を展開することで、 多くの方々に「わかりやすく」お伝えしていく考えです。 |
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