4月からの働き方改革|70歳・中途・非正規の社員活躍へ?|2021年3月23日訂正更新|消費者経済総研

2021年4月1日から働き方改革のルールが変更。

パートタイム・有期雇用労働法:中小企業も同一待遇。
高年齢者雇用安定法:定年を65→70歳等へ。
労働施策総合推進法:中途採用を促進。

同一労働・同一賃金等で正規・非正規の格差解消、
人生100年時代、中途社員も活躍へ。

消費者経済総研は、チーフ・コンサルタントの松田優幸を筆頭に、
消費・商業・経済の評論家・専門家として、
わかりやすい解説をお伝えしています。


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初稿:2021年3月21日 訂正更新:3月23日
 本ページは、修正・加筆等で、上書き更新されていく場合があります。

ご注意
このテーマに関連し、なにがしかの判断をなさる際は、自らの責任において十分にかつ慎重に検証の上、
対応して下さい。また「免責事項」をお読みください
今回号のポイント
2021年4月1日から、複数の 働き方のルールが、変更に

*正社員・契約社員の待遇の格差の解消を、中小企業にも広げる

*定年を、65歳→70歳とする等の努力義務が、始る

*中途採用の活性化へ向けて、正社員における、中途採用の比率の公表が、義務になる


働き方の多様化・平等化・自由化が、進む

*「同一労働・同一待遇」が、さらに進む

*人生100年時代に向けて、70歳まで働ける社会へ。

*なお「70歳まで働ける権利」であって、「70歳まで働く義務」 ではない

*年金支給の開始年齢の、65歳→70歳へ変更 へ向けての伏線?

*お金を貰う働き方だけではなく、社会にかかわる・役立つ働き方の視点が加わる

*多様な働き方スタイルが広がる(中途採用、雇用契約・委託契約、有期・無期)



労働施策 総合推進法|中途採用の活性化 とは ?
正社員における、中途採用の比率の公表が、義務になります。

◆法改正の背景、経緯 とは ?

労働施策総合推進法が、改正され、2021年4月1日から施行されます。
その改正は、中途採用を促進することが、目的です。

人生 100 年時代で、働く年数は、長期化していきます。
中途採用の促進で、再チャレンジや、職業生活の一層の充実へ、寄与します。

企業比較を容易とするため、中途比率を「見える化」し「統一的な可視指標」が義務となります。
これにより、「中途求職者と、企業とのマッチング」が促進が期待されます。


◆中途採用の比率とは?

中途採用比率=「中途採用者数」÷「正社員の採用数」

ある年度で、10人の正社員を、採用したとします。
10人のうち、7人が新卒採用者、3人が中途採用者であった場合は、「30%」です。


◆公表 とは ?

公表義務となる対象は、常時雇用する労働者が、301人以上の大企業で、中小企業は対象外です。
大企業では、中途採用比率が低い傾向にあるので、大企業が本件の対象となっています。

過去3年度分の値を、自社のホームページ等に掲載する等で、「公表」します。
下記は、公表のサンプルです。


高年齢者 雇用 安定法|定年を70歳へ とは ?
70歳まで働ける社会に向けて、定年を70歳とする等の努力義務が、はじまります。
「高年齢者 雇用 安定法」が改正され、2021年4月1日から施行されます。

事業主は、70歳定年等とする義務ではありません。現時点は、義務ではなく努力義務です。
一方、働き手の方は、70歳まで働かなきゃいけない、ということでは、もちろんありません。


◆70歳まで働ける制度の目的 とは ?

*近年の50歳代、60歳代は、元気?

歌手の福山雅治さんは、52歳です。若々しく元気ですね。
ちなみに、サザエさんのお父さんの磯野波平さんは、54歳です。

二人は、同世代ですが、見た目は全然違いますね。※磯野波平さんのルックスとは


近年の日本人シニアは元気です。シニアの元気度は、過去より向上したとの研究結果もあります。

※下記↓の新体力テストでは、1998→2018年の20年間の推移です。
 若手世代では、例えば35-39歳では、男子は、ほぼ横ばいですが、女子は体力が下がっています。



*シニア世代は、体力の近年の向上が、顕著です(下記↓)



60歳や65歳でリタイアするのは、もったいないのです。
1億総活躍社会ですが、シニアも活躍する社会です。


◆100歳まで生きる としたら?

「人生100年時代」とよく言われます。
2007年に日本で生まれた子供の半数が、107歳よりも長く生きるとの推計も、されています。

20歳前後で働き始め、60歳でリタイアしたら、働く年数は、約40年ですね。
一方、100歳まで生きるなら、リタイア後は、40年間もあります。(60歳~100歳)

公的年金の支給開始は、原則65歳です。
少子高齢化の進展から、70歳支給開始になるのではないか、という憶測もされています。

70歳定年は、年金支給の開始年齢を、65歳→70歳へ変更する伏線?との憶測も言われます。


◆政府(厚生労働省)による定年延長の目的 とは ?

政府は、高年齢者雇用安定法を、下記に位置付けています。

・少子高齢化が急速に進行し、人口が減少している。

・そこで、経済社会の活力を、維持するために

・働く意欲がある人なら誰でも、年齢に関係なく
 能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が、活躍できるようにする。



改正前の定年 とは ?
2021年4月1日から改正内容が施行となりますが、改正前のルールは、どうでしょうか?
改正前は65歳までの雇用確保の義務でした。具体的には、下記いずれかを選択する義務です。

「定年の年齢を、65歳以上とする」
「そもそも定年制を廃止する」
「65歳までの継続雇用制度を導入する」

①や②を導入している事業者は少数派で、大半が、③を選択しています。
2020年6月1日での割合は、③継続雇用制度が76%、①65歳以上が21%、②定年廃止が3%です。

①と②は、わかりやすいですが、③は、どういうことでしょうか?


◆65歳までの継続雇用制度 とは ?

③の「65歳までの継続雇用制度」の例は、

「定年を60歳にしてもよい。しかし、その場合で、働き手が雇用の継続を希望したときは、
 60歳になったら一度、定年退職し、再度、新規の雇用契約を結び直す制度」などです。

つまり、60歳定年を採用していても、希望者は、65歳まで働ける制度が、③の趣旨です。
定年の年齢は、60歳~64歳でもokなのです。(65歳まで働ける③の制度があるという条件付)

なお、定年の年齢を、59歳以下に定めることは、そもそもできません。

この③の継続雇用制度の対象は、原則「希望者全員」です。

定年になった働き手が、事業者に「働きたい」との希望を示せば、
事業者は対応する義務があります。
もちろん、働き続ける義務はないので、働き手が60歳の定年で、自ら退職を希望すれば退職です。

「継続雇用制度」とは、
上述の再度新規の雇用契約を結びなおす「再雇用制度」のほかに「勤務延長制度」もあります。

「再雇用制度」は、定年で一度退職とし、新たに雇用契約を結びなおす制度でした。
「勤務延長制度」は、定年で退職とせず、引き続き雇用する制度です。

前者は、雇用条件は、新契約にて、変更されるのが一般的です。
なので、定年前の賃金水準などの条件が、維持されないことも多いのです。

後者は、原則変更されません。よって、定年前の条件が原則、継続します。

今回の改正のポイント とは ?(2021年4月1日施行)
前項は、2021年3月31日までの改正前の65歳ルールの解説でした。
この項では、改正後の新ルールについて見ていきます。

改正前(3/31まで):65歳まで (義務)
 ↓
改正後(4/ 1 から):70歳まで (努力義務)

改正にて、下記の①②③④⑤の、いずれかの措置をする努力義務が、新設されました。

①「定年は、70歳以上」
②「そもそも、定年制を廃止する」
③「70歳まで、継続雇用制度を導入する」

上記3点は、改正前の65歳ルールが、改正後に70歳の新ルールになったということです。
新たに下記④⑤が、新ルールで登場します。

④ 70歳まで、「業務委託契約」で、働く制度の導入
⑤ 70歳まで、下記 aまたはb で、働ける制度の導入

a.事業主が自ら実施する「社会貢献事業」
b.事業主が、委託、出資等する団体が行う「社会貢献事業」

①②③は、改正前65歳→改正後70歳になったので、わかりやすいです。
④⑤は、今回の改正での新しいポイントです。この④⑤を「創業支援等措置」と言います。

改正にて、新たに2つの選択肢が、誕生したのです。
その2つが「業務委託契約」と「社会貢献」です。

シニア向き、ベテラン向きの働き方なども含め、多様な働き方が、広がります。
近年の「多様性」へ寄与します。年を重ねることも、楽しみになりますね。


◆④の「業務委託契約」とは?

最近、筆者(松田)の周りにも、40歳代、50歳代の人で、会社員(正社員)の人で、
「雇用契約」から「業務委託契約」へ変わった人が、だいぶ増えました。

この雇用契約と業務委託契約の違いの解説をすると、長くなるので、簡単に述べます。
業務委託契約社員は、自由度、独立度、専門度、完結度が高く、フリーランサーに近いイメージです。

専門性が高い仕事や、長年の経験での深い知見を活かせる仕事には、よりマッチします。


◆⑤の「社会貢献事業」とは?

「社会貢献事業」とは、「有償ボランティア」などのことです。
下記が、社会貢献事業の「例」です。

*メーカーが自社商品を題材に、小学校への出前授業を行う事業で、
 定年等退職者が企画立案を行ったり、出張授業の講師を有償ボランティアとして務める

*希望する定年等退職者が、会員となることができるNPO法人に、
 里山の維持・運営に関する事業を委託し、
 定年等退職者がそれらの事業に関する業務(植樹、ビジターセンターでのガイド等)に
 有償ボランティアとして携わる

サラリーマン生活を、単に延長するのではなく、
シニアだからこそ「やりがい」や「社会とかかわる」ことを望む人への選択肢です。

まさに、SDGsですね。企業側も、シニアメンバーを通じて、社会や環境に貢献できます。




パートタイム・有期雇用労働法|格差の解消が、中小企業にも?
2021年4月1日から、契約社員の格差の解消が、広がります。
今まで大企業だけのルールだったのが、中小企業にも広げられます。

◆待遇差 とは?

「正社員」と「非正規社員」の待遇に差があっては、NGということです。

「同一労働・同一賃金」というワードが、注目されてきました。
この法律は、賃金だけではなく、手当などの待遇も、対象です。「同一労働・同一待遇」ですね。


◆正社員 とは ? 非正規社員 とは ?

①「正社員さん」
②「パートさん」 (非正規社員)
③「契約社員さん」(非正規社員)

本ページでは、この3つのパターンが登場します。それぞれ下記の定義とします。

*正社員:フルタイムで働き、無期の雇用契約の社員です。

「無期の雇用契約」とは、雇用契約期間の定めのない雇用契約のことです。

「無期雇用=終身雇用」とは言い切れませんが、
簡単に理解するなら「無期雇用≒終身雇用」と、捉えてもよいでしょう。

*パート:短時間の労働者のことです。

正社員より所定労働時間が短い労働者なので、契約期間は関係ありません。
よって、有期契約か無期契約か、つまり、雇用契約の期間の定めの「ある・ない」は、関係ないです。

*契約社員:雇用契約の期間の定めがある労働者です。有期雇用労働者のことです。

全部を、長い通称や正確な法律用語にすると、長いし、ややこしいので、
ここからは、「正社員」、 「非正規社員」=「パート社員」または「契約社員」
の呼称とします。


◆2020年4月1日では、何が変わった?

1年前の2020年4月1日に、法律が、下記A→Bへ変わりました。 ※「 」は、法律の正式名称

(通称:パートタイム労働法)
「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」
 
(通称「パートタイム・有期雇用労働法」)
「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」

これで、「同一労働・同一待遇」の方針に、
2020年4月は、パート社員だけでなく、契約社員(有期雇用労働者)も、対象になりました。


◆パートタイム・有期雇用労働法 の趣旨は?

この法律の趣旨は次のとおりです。

同一企業内での「正社員」と「パート社員・契約社員」との間の不合理な待遇差をなくします。
どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けることが、できるようします。
ポイントは、下記↓3点です。

① 不合理な待遇差の禁止

同じ企業内において、正社員と非正規社員との間で、待遇差があるのはNGです。
待遇とは、基本給や賞与などのあらゆる待遇についてです。

なお、不合理な待遇差がNGなので、合理的な待遇差は、NGではありません
では、不合理または合理的とは? 

*正社員には、通勤手当があるが、非正規社員には、ない。

 →不合理です。
  正規か非正規かで、通勤の費用が、変わるわけではないからです。


*正社員には、住宅手当があるが、非正規社員は、ない。

 →不合理ではない(場合がある)
  正社員にのみに、引っ越し転勤がある場合は、
  契約社員よりも、住宅関連費用が多くなることが、あるためです。

② 労働者に対する 待遇に関する 説明義務の強化

「正社員との待遇差の内容・理由」等について、非正規社員は、事業主に説明の要求が、できます。
要求があった場合は、事業主は、説明をしなければなりません。

③ 非正規社員と雇用主との トラブルの解決を 支援

都道府県(都庁や県庁等の労働局という部門)が、トラブル解決の支援してくれます。

具体的には、都道府県から、事業主に対して、助言・指導等をします。
また、裁判を行うことなく、解決へ向かうことができ、無料で非公開で、できます。


◆2021年4月1日での変更 とは ?

「パートタイム・有期雇用労働法」が、中小企業にも適用です。


◆時系列で整理すると?

*2020年4月1日~

「パートタイム労働法」から「パートタイム・有期雇用労働法」へ変更
同一労働・同一待遇の対象が、パート社員だけだったのが、契約社員にも拡大※

 対象は、大企業のみ。 中小企業は、2021 年3月末まで旧法のパートタイム労働法が適用

*2021年4月1日~

パートタイム・有期雇用労働法の対象が、大企業のみだったのが、中小企業にも拡大

今回号のポイント(まとめ)
 ~同一労働・同一待遇で、正社員・契約社員の格差解消
   人生100年時代、中途社員も活躍へ~

◆ 2021年4月1日から、複数の 働き方のルールが、変更に

*正社員・契約社員の待遇の格差の解消を、中小企業にも広げる
*定年を、65歳→70歳とする等の努力義務が、始る
*中途採用の活性化へ向けて、正社員における、中途採用の比率の公表が、義務になる

◆上記の改正法 とは ?

*中小企業も同一待遇 → パートタイム・有期雇用労働法
*定年を65→70歳等へ → 高年齢者雇用安定法
*中途採用を促進   → 労働施策総合推進法

◆ 働き方の多様化・平等化・自由化が、進む

*「同一労働・同一待遇」が、さらに進む
*人生100年時代に向けて、70歳まで働ける社会へ。
*なお「70歳まで働ける権利」であって、「70歳まで働く義務」 ではない

*年金支給の開始年齢の、65歳→70歳へ変更 へ向けての伏線?
*お金を貰う働き方だけではなく、社会にかかわる・役立つ働き方の視点が加わる
*多様な働き方スタイルが広がる(中途採用、雇用契約・委託契約、有期・無期)


◆ 関連テーマは?

2021年4月から変わることでは、下記の関連テーマのページもご覧下さい。

4月からの値上げ・値下げとは?

4月から税抜のみではダメ|7年半ぶりに変更の消費税

【著作者 プロフィール】
松田優幸が登壇のセミナーの様子
【松田 優幸 (消費者経済総研 チーフ・コンサルタント) 経歴】

*1986年
私立 武蔵高校 卒業

*1987年
慶応大学 経済学部 入学

経済学部で、
・マクロ経済学(GDP・失業率・インフレーション・投資・貿易収支等)
・ミクロ経済学(家計・消費者、企業・生産者、取引市場等)・労働経済学を専攻
 経済学科「高山研究室」にて、貿易経済学・環境経済学を研究

*1991年
慶応大学 卒業  東急不動産(株) 入社

*1997年
親会社の東急電鉄(株)へ逆出向
消費の現場である商業施設と街づくりの計画担当

*2000年
東急不動産 復職
各種の商業施設の企画開発・運営、接客等で消費の現場の最前線に立つ。

*2005年
東急不動産から、消費・商業・経済のコンサルティングをおこなう
株式会社 リテール エステートへ移籍し14年間、

全国の消費の現場を視察・調査。その数は多岐にわたる。

*現 在
消費者経済総研 チーフ・コンサルタント
兼 リテール エステート リテール事業部長 (52歳)

*資 格
 ・ファイナンシャル・プランナー
 ・宅地建物取引士資格者
 ・不動産コンサルティング技能登録者(新制度更新前まで)
 ・簿記3級


【消費者経済総研について】

■研究所概要
名称  : 消費者経済総研
所在地 : 東京都新宿区新宿6-29-20
事業内容: 消費・商業・経済の、調査・分析・予測のシンクタンク
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チーフ・コンサルタント 松田優幸   経歴のページはこちら