3分でわかる | 「実感なき景気回復」とは?


アベノミクスで、マイナスのトレンドがプラスのトレンドへ。GDPも成長継続。
しかし、なぜ「実感なき景気回復」と言われるのか?
「3分でわかる」シリーズで、わかりやすく解説します。

 
年収と物価の 変動

2012年(平成24年)12月26日から、第2次安倍内閣が発足しました。
安倍総理は、長く続いたデフレを脱却すべく「アベノミクス」という経済政策を進めます。
株価も上昇し、物価下落(デフレ)から、物価上昇(インフレ)へ変わりました。

しかし「景気回復と聞いても、その実感がないなぁ」と言われます。
なぜ、生活者・消費者は、実感を感じないのか?わかりやすく、3分でわかる解説です。


平成24年(2012年)をボトムに、「年収」・「物価」が上昇しましたたが、その両者の上昇率をみてみます。


年収(左図)も、物価(右図)も、安倍政権発足から、同じように「上昇」しています。

年収の単位は「万円」で、物価の単位は「指数」です。比較しやすいように、両方とも100スタートとします。

平成24年(2012年)の値を両方とも「100」とします。
それで比較すると平成29年(2017年)の値は「年収」も「物価」も「約106」となります。(下記↓グラフ)


具体的なイメージ例の話をしてみます。
2012年に、100万円の給料もらった人が、102万円の軽自動車が欲しいと思っています。
でも102万円なので、2万円足りないので、買えません。

その後、2017年には、106万円に給料が増えました。
買える!と思ったけど、軽自動車が、約108万円に値上がりしたので、買えませんでした。

物価の上昇を上回る収入の上昇があれば、「景気回復の実感」を感じますが、
そうでなければ、「実感なき景気回復」ですね。

上記は、3分でわかる「初級編」でしたが、この後、続いて、「中級編」です。
平成元年以降の 年収水準や、CPI、インフレターゲット等を、見ていきます。
 
平成時代 の 年収 水準


 消費者の消費活動の源となる「年収」は、平成元年以降どうなったか?




バブル景気により、平成元年(1989年)から平成4年(1992年)まで大きく年収水準は、上昇した。
その後、平成5年に一度下落するが、同年の452万円から、平成9年(1997年)の467万円へと、12万円ほど微増した。

平成9年(1997年)4月に、消費税率が3%から5%へ引き上げられたことで、9年間にわたり下落に転じる。
デフレ時代の始まりである。

その後、平成19年(2007年)米国の金融商品・資産の価格上昇を伴う好景気で、日本国内景気も恩恵を受け、年収も反転上昇したが、
リーマンショックの影響で、再度下落し、その下落幅は、平成時代で、最も大きなものとなった。

平成24年(2012年)12月26日に安倍内閣が誕生し、のちに「アベノミクス」が始まる。
長く続いたデフレ基調のダウントレンドは終了し、年収水準は上昇を続ける。

 
平成時代 の 物価 変動

 消費者の消費活動に影響を及ぼす「物価」は、平成元年以降どうなったか?



物価水準は、平成10年(1998年)をピークに下落に転じる。

平成9年(1997年)4月1日に消費増税が実施された。同年での増税対象期間は、4月~12月の8ヶ月間だが、
翌年の平成10年(1998年)は、12か月間とフルに対象となったので、
物価水準のピークは、 年収水準のピークより1年後の同年となっている。

 (*上記グラフは、各年の12月抽出だが、平成9年(1997年)と平成10年(1998年)を双方12か月間比較でみても、後者の方が値は高い。)  
 (* なお「消費者物価指数」は、財やサービスの購入と一体となって徴収される消費税分を含めた
   消費者が実際に支払う価格を用いて作成されている。これは、国際基準でもある。 )

平成24年(2012年)12月26日に安倍内閣が誕生し、のちに「アベノミクス」が始まる。
そして、平成20年(2008年)から平成24年(2012年)まで続いたデフレ基調は終了し、物価水準は反転し、上昇を続ける。

しかしながら「デフレからの脱却」→「インフレターゲット2%」とするものの、その目標には達していない。(実績は年率0.5%)

 (*政府は、インフレターゲットに採用する指標は、「コアコアCPI」(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合)としている。)
   なお、上記グラフの値は、「コアコアCPI」ではなく、「総合CPI」である。)

マイナスがマイナスを呼ぶ「デフレ・スパイラル」から脱するためのインフレ政策だが、目標に対して未達であるのと同時に、
賃金は上昇に転じたものの力強さに欠くため、「賃金上昇」を「物価上昇」が、打ち消してしまっている。

これが、俗にいう【 実感なき 景気回復 】である。

さて、令和元年(2019年)10月1日には、消費増税(8%→10%)予定されている。

上記2つのグラフ(年収水準、物価水準)は、共に、
平成9年(1997年)の消費増税(3%→5%)をきっかけにダウントレンドに入った。

令和元年(2019年)10月の消費増税(8%→10%)には、大きなリスクがある。

 
実感なき景気回復

平成24年(2012年)をボトムに、「年収」・「物価」が上昇したが、その両者の上昇率を詳しくみてみる。



平成24年(2012年)の値を「100」として比較すると平成29年(2017年)の値は「年収」も「物価」も「約106」となる。
(下記↓グラフ)



物価の上昇を上回る収入の上昇があれば、「景気回復の実感」を感じるが、
そうでなければ、「実感なき景気回復」である。


物価が上昇し、それを上回る上昇率で収入が伸びていくのが理想だ。

(下記↓グラフのような上昇が理想例)
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